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【短編】 ニゲル・フォレストの決断

「どうするか。この二択が後々大きく影響するんだ。慎重に決断せねば」

ニゲル・フォレストは朝8時の駅前のベーカリーで、バターたっぷりクロワッサンとクイニーアマンのどちらにするかを決めかねていた。

隣でパンを選ぶ客のトレーには、艶のある大きめのクロワッサン。とても美味しそうだ。
決めた。クロワッサンにしよう。

オフィスに到着し、コーヒーとともにクロワッサンを食べていると、ボスが出勤してくる。
「おはようニゲル。昨日のA社向けの提案資料だが、やはり2パターン提示しようということになった。悪いが今日中に3つのうち2つを選んでおいてくれないか。あ、それと、今日はB社の担当者とランチミーティングだ。君も同席してほしい。いいかい?」

「かしこまりました、ボス」

まったく。昨日まで時間をかけて作った提案資料が無駄になった。だから一つにまとめない方がいいと言ったのに。
3つの提案はどれも一長一短で、2つに絞るのは難しい。しかし、今日中に決めなければ。ああ、胃が痛くなってくる。

ランチミーティングの時間。ニゲルとボスは、オフィスとは通りを挟んで反対側にあるカフェでクライアントと待ち合わせる。

「B社のアンダーソンさんが、どうしてもここのクロワッサンサンドが食べたいと言っていてな。パストラミのやつだ。あれは旨いからな」

マジかよ。朝クロワッサン食べちゃったよ。ああ、今日は朝から選択ミスだ。決断力が鈍った時ほど裏目に出るんだ。

オフィスに戻ったニゲルが選定した資料案は、一つはチャレンジ要素の強いもの、もう一つは中庸なものだった。

ボスに確認を取ると、
「いやあ、ニゲル。この2つではちょっと弱くないか。こっちの振り切った案を入れよう。5部印刷しておいてくれ」

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