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札幌の人のオシャレに気付く

初めて北海道に行ってみた。広大な自然と食べ物の美味しさには感動するとみんな言うけど、日本海沿岸の雪国育ちの私には、うちの実家付近とあんまり変わらないんじゃないの?と思って、正直、あまり興味がわかなかった。だから今回も、自主的じゃなく、出張です。

お昼過ぎに新千歳空港に着いて、札幌駅までの電車に乗る。眺めていたら、雪が舞ってきた。天気予報では降るとは言ってなかった。どんよりグレーの空色が、ガラスにどんどん雪がぶつかってきて見えなくなり、視界は一気に真っ白になる。ああ、これこれ、これが雪国の車窓です。

近くに座った働くママさんらしい人の会話が聞こえた。私と同じく出張で来てるっぽい。「うちの子、5歳なんだけど小さい頃こっちで過ごしたから、冬イコール雪になってるみたいでね、東京には冬がないって思ってるの」。なるほど、それはよく分かる。東京に住んで10年以上経つが、確かに私も、ずっと季節が1つ欠落している気がしている。サイクルになっていないカンジ。始まっても終わらないカンジ。同じところを、ただうろうろしてるカンジ。

仕事を終えて夜、外に出ると、少し降った雪のせいで道路のあちこちが凍結し始めていた。外気温-2℃の表示。やっぱり東京よりずいぶん寒い。せっかくだから地下道じゃなく大通りを歩いてみようとぶらぶらしたが、ローファーだと結構滑って、何回か転びそうになった。雪国育ちとして、これは恥ずべき失態。悔しい。

夕飯はホテルのレストランで、北海道らしいものをと思って魚をたのんでみた。美味しいけど、やっぱり食べ慣れたものの気がして、そんなに大きな感動はない。そして、お鮨の中トロ一貫が940円はやりすぎでは!?いや、美味しかったし、サービスはとってもよかったのですけどね。マグロって北海道関係ないのかな‥。魚もうちょっと勉強しよう。

東京に戻る朝、カーテンを開けたら冬らしい景色で嬉しくなった。うっすら雪が積もったうえに朝の日差し。人工物が白く隠されて、世界がパァっと明るい。暖かい部屋の中からそれを眺めるのは、本当に幸福感があるのです。観光する時間もないし、せめて札幌駅から新千歳空港まで、ゆっくりバスで外を眺めながら向かおうと思った。

白い公園、白い学校の校庭、ちょっと影になったところがツルツル光る歩道、スリップ注意でちょっとずつ渋滞する道路。やっぱり雪国の景色はどこも変わらないな、と満足してしばらく見ていたけど、途中から、歩いてる人が本当に誰も凍結した路面を滑らず歩いていることに気付いた。いくら慣れてるとは言え、降り始めの初日は、結構滑るよね?

気になって歩いてる人を観察してたら、もう一つ気付いた。札幌の人の靴、オシャレです!女性も男性も、若い人もおばあちゃんくらいの人も子供たちも。ショートブーツもフラットシューズも、革タイプやヌプシやワラビーも、いろいろなタイプがあるけど、みんな歩きやすくてオシャレな靴。東京だけじゃなく、私の実家の周りでも、その年初めての雪が降り始めたときは、何を選べば正しいのか分からなくて、オロオロしている。普通のローファーやペタンコのスニーカーの人に混ざって、ロングブーツや長靴の人がいたり、明らかに危険だなというハイヒールのままとか、何だか足元が落ち着かない。動揺が表れてるというか。でも、札幌の人は、機能的で小慣れた、安定した足元だった。迷いのないスマートなセレクト。

やっぱり北海道すごいな。冬の受け止め方に、実力の差を感じた。寒い間に、また行ってみよう。今度は、靴屋さんを目当てに。



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