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ぼうやにプリンセスの靴を

ジェンダーレスなこの世の中で
自分の事は自分で決められるように、と
名前も中世的なものにしたぼうや。

「違うよ、アンドレ。中性的な名前だ。」「そうだったね、男の子でも女の子でも大丈夫な名前にしたんだった。」


が、しかし
ぼうやにかわいい靴が買えなかった。

すごい、試された気がしたけど
母は負けた。買えなかった。ごめん。


今日ぼうやが欲しがったのは
バチバチプリンセス仕様の靴


ラメでキラキラで反射する。
そりゃもう美しい靴なんだけど

これを保育園でドロドロにしてくるのどうなのよ。
これ履いて公園で恐竜ごっこするの?え。

ぼうやの意思は尊重したい
性別を理由に服を決めたくない
好きなものを好きだと言える人になってほしい
のに
買えない親が私。

だせぇ。矛盾しすぎ。
誰かが私を叱る

それは女の子の靴よ。
誰かがぼうやに言う

批判の声は両側から聞こえるのに
決心がつかない。



ともかく聞くことにした。

「わあ、きれいだね。
この靴どんなところが気に入ったの?」

「キラキラで星ついてるとこ」

「わかった、そういうのが好きなんだね」

「あと、女の子がかわいい」

「ん・・・・わ、わかった。」


もしや、ただの女好きかと疑うが
少女と同じくこの可愛い世界観が良いのかもしれない


星でキラキラ付きの靴なら
男の子用もあるんじゃないかと期待し探す
が、ない。
最大手ニューバランスも俊足もイフミーもない。


もう男の子用を探してる時点で
母としては悔しいのだが
とりあえずぼうやが何に惹かれてるかは知りたい。

今日は最初こそ靴を選びに来たが
こうなると背負ってるものがちがう。
サイズなんかどうでも良くなる。
探すべきはぼうやの趣味趣向。
私が探すのはキラキラの星だ。


店内を血眼で探す母
ぼうやがニコニコと声をかける。



「ねえ、これはどーお?」


わお、まじか。
なんて綺麗な靴。


しかも、棚の中で1番ちゃんとセンスいい。
彼の審美眼は間違ってない。
将来メイクアップアーティストとかになればいい。

が、試されるのは今この私だ。
こんなに素敵な靴だが。
え、どうしたらいいのよ。

買う?買って私の中の常識を打ち破ると何か成長したりする?ぼうやが違和感を感じたら感じたでいいのか。

え、ちょっと、待てよ?
いや、でも、どうしよう!!!


キラキラな紫という事はわかった。
が、男の子の靴
もとい、走れそうなスニーカーの意見も聞きたい。
探しても探しても紫のキラキラがない。

買いたいと嘆くぼうや
チュッパチャプスの2本目なら買う
靴下がプリンセスでも買う
Tシャツでもギリ買う

でも、何故か
今日はママ買ってあげられない。

なんだろう。自分にこんな気持ちあったのか。
ショックで悲しくなってくる。
知らない自分がすごく嫌いなやつでがっかりしてる。

世間一般の偏見として買えないのか
あの頃の私が可愛すぎて買えなかった嫉妬か
はたまた両方なのか
何がそうさせるのか分からなかったし
理由も本当は無いのかもしれない

買えなかった。悲しい、恥ずかしい、惨め
なんだか居た堪れないような気持ちで帰った。


どうしようと悩んだ末
ネットで見ていたら俊足を見つける

すみっコぐらしの紫!
男の子って書いてある!!!


これなら買えるのでは
と思うと同時に

これが買えて
何故プリンセスは買えなかったのか。
という思いも湧く。



誰かが「男の子」と書いてくれた。
結局それだけなんだ。

AIの仕事かもしれないし
実は全く意味のない表記かもしれない
検索で引っ掛かりやすい為かもしれない
そんなくだらない事でいちいち気が軽くなる。

こんなくだらない事で安心したがるなんて
余計に浅ましいと言うか軸がないと言うか。

まだまだね。買っちゃえばよかったのよ。
履いてどう思うかはぼうやが決めることだ。

私が子どもの頃買いたくても
可愛すぎて買えなかった物を
ぼうやがひらりと舞いねだる。

自由な我が子のなんて眩しいことか


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