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前科あります(8)

1.弁護士と面会
私は国選弁護人を選びました。
どうせ執行猶予がつくこともわかっていたので、あえて金をかける必要がないだろうと思ったからです。

捕まった時に担当の刑事が、一応当番弁護士と話してみないか、といってくれたので、来てもらいました。

たら、あんまりさえなさそうな弁護士が、電車で二

私が罪を認めます。国選で行きますと言ったら、とたんにやる気をなくして、あ、そうですか、じゃ頑張ってくださいって帰って行きました。

おいおい、なにしにきたんだ、私選にしてくれって売り込みかよ。

ま、弁護士も仕事だから、金にもならん、名前も売れないとなるとやる気なくすんだろうな、そんなことを思ってしまいました。

だから、裁判所が選んだ弁護士が、なかなか顔を見せなくてもなんとも思わなかったのですが。

私の弁護士はわりと真面目で、私選も抱えていながら、いろいろ手回しやなんやをやってくれていたのです。

ある日の昼寝時間中、看守がやってきてドアを叩いたのです。
何ですかって訊ねたら、彼女はこれ、って言って顔を掌で隠しました。

私が怪訝な顔をしたので、彼女曰く「知らないの面会のことだよこれ」
だそうです。

私の仕事柄、そんな隠語を知っていると思ったようです。
でも私は警察系の隠語には疎いと言ったら、不思議そうな顔をされてしまいました。

その世界ではどこでも一般に通用すると思っていたみたいです。
あ、ちなみに累犯者は、警察系の隠語等もよく知っています。

弁護士との面会は、刑務官の立ち合いがありません。これは留置場でも同じで、警察官や刑務官が話を聞いていたら、大ごとになってしまいますというより、裁判そのものが維持できなくなります。

場合によってはそれだけで起訴取下げに発展する場合もあるとか。実際にあったかどうかは知りません。

2.面会室
面会室は、テレビドラマなんかでよく再現されています。
まあ、大体あんなものです。

アクリルの仕切りがこっちとあっちを隔てています。
やる人はいないだろうけれど、弁護士が協力してくれて、アクリルを糸鋸で切れば向こう側に行けます。

さらに弁護士がドアを開けたまま帰ってくれたら、サクッと逃げ出せそうです。

って刑務所や拘置所では、面会室から逃げても、塀の外には出れません。
未遂でも器物損壊がついて、おまけの罪状がついてしまいます、やめましょう。

でも警察の留置場で確かやった人がいるはずです。警察の場合はそのまんま外に出れてしまいますから。

確か弁護士が、面会が終わったことを担当に知らせず帰ったら、外側の鍵が掛けられないままで、結果アクリルを壊した被疑者が逃げたとか。

もちろん捕まって、弁護士側が謝罪し、その後留置場規則が変わったはずです。

弁護士は、想定問答を作ってきてくれていました。
検察官が尋ねそうなことと、それに対する回答。

弁護士である彼が質問する内容と模範解答。
嫌そんな大層な、どんな答えをしても執行猶予ですって、とおもったけれど、彼の真面目さを無にするのも悪いし、どうせ暇だし、ということもあって、お付き合いしました。

結局、三時間ぐらいかかってしまい、そのあとの入浴がバタバタ。風呂から上がったら、すぐ夕食。疲れました。

真面目ないい人で、のちにもっと大きな事件でテレビに移っていたのを見ました。

たぶんその事件も官選だろうと思いましたが、圧倒的に不利な事件をひっくり返して一審で無罪を勝ち取りました。ただ、彼が頑張って無罪にした被告が、数年後に再び事件を起こすと言いう後日談が付きます。

あ、ちなみに官選弁護人は無料だと思っている人が大半だと思いますが、有罪(執行猶予も含む)になった場合は、財産の状況などを勘案し、費用を裁判所から請求されることもあります。

ちなみに、私も判決にそのおまけがつきましたが、懲戒免職になってお金がないという申し立てを行い、免除されました。

それやこれやで、改めて裁判は茶番だなあ、と思っています。

朝食 シーチキン 海苔 さつま揚げと油揚げの味噌汁
昼 カレーうどん 小魚の佃煮 鶏とにらとこんにゃくの炒め物
夜 ちらし寿司 かきたまスープ



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