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雪幻|冬と春 / backnumber

私の勘違いだった。

そんな言葉で終止符を打てるほど爽やかじゃない、
悔しさと憎しみに溢れたこの気持ち。
私とあなたの将来に勝手に酔いしれていたら、足元を掬われた ─────

小さい頃から一緒にいた私たち。
あなたは私のことが好きで、私もあなたのことが好き。
それは誰が見てもわかることで、今さら私たちの間に入ってこようとする人なんていないの。

そう高をくくり、言葉や態度で伝えることを怠った私への罰なの?

私が信じて疑わなかったあなたとの未来は、
ふと目をそらした先にいただけの女に奪われるほど
脆く危ういものだったらしい。

私に見えていた未来予想図に突然踏み込んできたあの子。
私とはちがう香りがする花。
そのめずらしさに惹かれただけでしょう?
そんな負け惜しみが漏れるくらいには、あなたの気持ちが読めてしまう自分が苦しくて。

「あいつ、酔うと口が悪くなるから気を付けてね」
『たしかに!そういうとこありますよね。でも私、そこも面白くって好きなんですよね~』
不発に終わったマウントと、それに追い打ちをかけるように飛んできた純粋な恋心。

誰にも邪魔されることはないと思い込んでいたから。
気づかないうちに低くなっていた攻撃力では何も言い返せなかった。

あの子がどんどんあなたとの距離を縮めていくのに、私にはそれを止める術がなかった。

今さらあなたが好きと言葉にするのが恥ずかしかった?
私から想いを伝えるなんて…と無駄なプライドを守ったから?

あなたが最後に、いつになく真剣に私の目を見つめて口にしたあの言葉。
”お似合いなんじゃない?”
最後まで強がりを捨てられなかった私に降りかかる、
虚しさと数年間の片想いの歴史。

私が雪に埋もれたまま、春がこの雪を溶かすのをただ待ちわびていたとき、
一足先に春を見つけその雪を溶かしたあの子。

どれだけ一緒に過ごしてきたかなんて、これからともに過ごす時間に比べたら短いもので、何の優位性も持たなかったんだ。

あなたは誰がいい?
そう言われて指をさした相手が違ったってだけなんだ。


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