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ヴィーナスに近づいた気分になれるジャム

将来トスカーナのオルチャ渓谷地方に移住したいという夢のある私は、一番厳しい冬の様子を知るために、来年の夏前までペトロイオという人口400人ちょっとの村に家を借り、2/3くらいの期間をこの地でリモートワークをしています。

車で15分も走れば、あちらこちらに郊外型の巨大スーパーマーケットはたくさんあるのですが、私は近所にあるさまざまな村で、週に一度開催される市場で買い物をするのが好きです。

小さいペトロイオの村には、1ヶ月に一度しか市が立たないのですが、10キロ圏内で探せば、毎日どこかで市場が開かれています。家から近く、一番品が豊富なのがシナルンガの市場。先日買い出しに行ったら、珍しくMela cotogna (メーラ・コトーニャ)が見つかったのですぐ購入しました。

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メーラ・コトーニャをごぞんじですか?

私は、イタリアに来るまで知りませんでした。
少し甘くて高貴な忘れられない香りを保ちながらも、舌にざらつくような酸味があるのでそのまま食べることができません。そのため、生産量が少ないのかもしれませんが、イタリアでもどこでも見つかるわけではありません。

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ちょっと調べてみたら、日本では「マルメロ」または「西洋カリン」と呼ぶようですね。

カリンは、バラ科カイドニア属に属する果樹で、紀元前2000年頃にはバビロニアで栽培されていたとされ、ギリシャではアフロディーテの聖なる果実とされ、ローマ時代にはCato(カトー)Plinius(プリニウス)Virgilio(ヴェルギリウス)が言及しているほど有名な果樹のひとつとのこと。

と前書きが長くなりましたが、アフロディーテの聖樹にふさわしい香りを持つメーラコトーニァをしっかり買い込んで、ジャム作り。

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Berti刃物店で購入した大きな包丁で硬い身を切り、砂糖とレモンとシナモンと一緒にコトコトと煮詰めジャム状になったら、イタリアが誇るジャム瓶の王様Bormioliに詰めて、上からカルヴァドスを適量入れ蓋を閉めます。

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しばらくして、瓶の中が真空になる時の「パチン」という蓋の音は、日常の小さな幸せを知らせる「小確幸」の知らせ。

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それにしても、メーラコトーニァのジャムの香り高さは特別で、焼きたてのパンにバターを塗り、ジャムをたっぷり乗せて口にいれる時、「愛と美と性の女神」に少しだけ近づいたような気がします。あはは、もちろん冗談ですけど。

最後に…ジャムやバターには、Memories of Italyで扱っているBerti刃物店のバターナイフをどうぞ。

https://memoriesofitaly.it/ja/products/butter-knife


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