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能登半島地震をきっかけに、猫にマイクロチップを装着する話。大切な、命だから。

能登半島地震から三ヶ月が経つ。東日本大震災の時は、原発事故での避難の際、ペットなどを置き去りにせざるを得ず、野良犬、野良猫になってしまったり、殺処分された乳牛など、動物の命がだいぶ犠牲になった。能登半島地震では、ペットの処遇については東日本大震災時よりは進み、ペット専門の捜索も入るなどしている。ちなみに東日本大震災時のペットのその後についてはこのような記事もある。

我が家には四匹の猫がいる。そのうち二匹にはマイクロチップが入っている。このような震災など予期しない事が起きた時の対策だ。なぜ四匹のうち二匹だけなのか。避妊手術で麻酔をかける必要があったので、その時についでに入れてもらったのだ。残りの二匹は避妊済みで麻酔をかける機会がなく、今まで入れてこなかった。しかし、能登半島地震を受けて考えた。これは麻酔をかけるリスクをとってでも入れるべきではないか。

調べたら、本格的な麻酔とまで行かなくても、すぐに醒める鎮静でも処置できるようだ。そうとなれば話は早い。マイクロチップを入れよう。

いつもお世話になっている動物病院に電話を入れた。マイクロチップを入れるにあたっての予算や、処置できる日程を問い合わせた。その結果、1/17に処置をすることになった。能登半島地震をきっかけにマイクロチップを入れることにしたが、その処置日が阪神淡路大震災の日になるとは、なんという奇遇だろうか。

連れていくのはチャコさまとハナちゃんである。この二匹は野良上がりで、身体に触れるのが大変難しい。嫌がり、逃げる。強引に捕まえるしかない。その様子はこちらにある。

説明文を引用する。

チャコさまハナちゃんを動物病院に連れて行く際の捕獲の様子をご紹介します。触れない猫、暴れ猫を御するには、「相手の虚を突く」「全力で首根っこを押さえに行く」です。首根っこを掴まれると動きが止まります。その隙にネットに入れ、逃げられないよう宙に浮かしてジップを閉めるのがコツです。

このときに使っている「洗濯ネット」は猫専用のものです。「猫壱」ブランドの「おちつくネット 平型」です。全体は黒く、ジップのところだけ白いので、ジップがどこにあるか見やすく、作業しやすいです。

使っているタオルは、大型犬対応のペットタオルで、大判です。約100×100cmほどあります。猫の身体を全て包み込むにはこれくらいのサイズが必要です。人間用のバスタオルだと幅が足りず失敗しやすいです。

この動画は、少し残酷に見えるかも知れません。しかし、野良猫を保護したなど、家猫として過ごしていても触れない、逃げる、暴れる猫を最低限のストレスで御するにはこの方法が適しています。捕獲するために追い回すのはよりストレスになりますので、手早くするのが猫にも楽です。

YouTube「触れない猫・暴れ猫の捕獲からネット入れまで(動物病院・爪切りなどに応用)」

私はこの猫たちと過ごすうちに腕前を上げ、最初の頃は一時間ほど追い回さないと捕獲できず、おまけに手は傷だらけという始末だったが、今はこのように手早く捕獲できるようになった。詳しいやり方については前述の引用を参考いただきたい。

繰り返しになるが、残酷に見えるかも知れないがこのやり方が短時間で済み、猫の習性を利用しているので結局猫にも負担がかからない。

私は両手にふたつのキャリーをぶら下げ、動物病院に赴いた。いざ診察室で、ネットに入れたままきちんと猫を保定できている私の様子を見、当初鎮静をかける予定だったが、獣医師が「このまま行けそう」と鎮静なしで二匹ともマイクロチップを入れた。猫を入れたネットの目が荒く、マイクロチップの注射器の太い針も通せた。

これは幸いだった。鎮静から醒める時間もなくすぐ帰宅することができたし、鎮静にかかる費用もなくなったのはありがたかった。ただ、チャコさまはその日の夕方には御機嫌が直ったのに対し、ハナちゃんは御機嫌が直るまで一週間かかった。

その後。マイクロチップを入れたから安心、と過ごしていたら、ある大切な情報を目にした。これだ。

長いので引用する。

【災害時の命綱・マイクロチップ】

2022年6月から一部義務化(すでに飼っている子は努力義務)飼い主されたマイクロチップ、 装着に関しては今も賛否両論ですが、 災害時の捜索からのボランティア視点からのお話し、 今回の能登半島地震でも多くの猫が倒壊した家屋などから飛び出して迷子になりました。

首輪や迷子札、これはペット防災でよく言われていますが、 災害から1ヶ月が経ち、発見された猫は痩せていたり、 容姿から直ぐに確認が難しいことがあります。 痩せてしまったり首輪や迷子札は取れてしまうことも多いですし、 瓦礫の中で首輪が引っかかって首を吊ってしまい 命に関わることもあります。

まだまだ低い装着率のマイクロチップ、
(環境省のデータ)
2024年2月6日の登録数
犬864,988頭
猫357,474頭

少ない中で猫はさらに少ない。 それでも装着されている可能性が少しでもあれば 飼い主さんとの再会の可能性は高くなります。

マイクロチップには15桁の数字で登録されます。 災害時のためにお薦めしたいのはこの「15桁」の番号の携帯です。 ◯スマホのメモに入れておく、 ◯財布などに書いたメモを入れておく。 ◯同居している、していない家族間で共有しておく。

私たち、被災地に入り、迷子猫捜索をしているボランティアは 必ずマイクロチップリーダーを持参しています。 情報収集時には必ず入っているかお聞きします。 (少なくとも連携させていただいているボランティアさんは・・・) もし番号を控えてあれば行政や動物病院に照会の手続きをしなくても その場で瞬時に確認できます。

またマイクロチップが入った子を保護して飼い主さん情報を照会すれば 飼い主さんの元に帰れます。 亡くなってしまった飼い主さんの子だったと 判ることもあります。 残念ながら亡くなってしまった子も読み取れます。

生きているのか? それだけでも確かめたいと願う飼い主さんも・・・ 予測できない突然襲われる大地震、 瞬時に一緒に逃げるのが困難な犬や猫、 倒壊した家屋から生きるために逃げ出す。 ペット防災の中でも優先順位は高い対策だと思います。

マイクロチップは決して高額ではありません。 一万円前後、自治体によっては補助もあります。 不妊去勢とマイクロチップ、 最低限の、最優先の対策です。 家族である子、人間で言えば戸籍だと思って欲しい。 そしてこれが当たり前になって欲しいと思っています。

「横浜市マイクロチップ装着推進事業」 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/pet-dobutsu/aigo/hiyojosei/microchip.html

#ペット防災 #マイクロチップ #迷子猫 #能登半島地震

Cats・Knight(X(旧Twitter))午後3:46 · 2024年3月2日

ハッとした。そうか。マイクロチップIDを常に持ち歩いていれば、照会しなくてもその場でわかるのだ。早速私はカードを作った。こういうものだ。

マイクロチップIDカード

写真をきれいに出すために写真用紙に印刷し、切り取って硬質カードケースに収めた。自分の住所と電話番号も入っている。

これを常日頃持ち歩くことにした。いつどこで何が起こるかわからない。まさに一寸先は闇なのである。今日と同じ明日が来るなど誰にもわからない。元日被災になった能登半島地震などまさにその例だろう。

マイクロチップは、すでに飼育している動物については現状、努力義務となっている。しかし装着することを強くおすすめしたい。本当に、明日何が起こるかわからないのだから。後から後悔しても遅いのだ。

マイクロチップの登録については、ここ数年で大きく変わっており、以前は登録団体から登録済みハガキが来たが、現在はPDFのダウンロードおよびメール送付のみとなる。このPDFも印刷しておきたい。電気がなくなったら、パソコン、スマホの中身は見られなくなる。紙に印刷しておけばその心配はない。

これだけでも少しは安心できる。万が一何かあった時に四匹連れて避難する方法を次は考えておかねばならない。まだ結論は出ていないが、おそらく四匹分のキャリーを肩にかけ両手に下げ、という具合になるのではないか。非常に重たいが、いざという時にはなんとかしなければならない。飼い主の覚悟とはそういうものであろうと思う。

サポートしてくださると猫のゴハン代になり、猫じゃらしの素材代になります。趣旨に賛同できる方はお願いできれば幸いです。