見出し画像

絶対に西麻布で飲みたい男 VS はやく帰りたい女たち


約半年前に時を戻そう。前職の同期に呼ばれた合コンで、私は「絶対に西麻布で飲みたい男」と出会った。
恵比寿で何度か女子会をした事のあるオシャレな店が送られてきた時、私は期待に胸を高鳴らせていた。アクセスも店選びも時間も良いし、これは幸先良いぞ〜!と思いながらルンルンで、合コンへ向かった。
当時はリモートワークとたまに出勤、みたいなスタイルで(今は完全フルリモート)、その日はリモートワークだったのだが、オンラインの朝礼の際に「もぐさん、今日何があるでしょ」と言われるくらいには、バッチリ化粧をキメこんでいた。(いつもほぼすっぴんでごめん)

全員広告代理店系の女子だったため、女子側のコミュ力も安心できた。
いつもは場を回すことが多い私も、この布陣なら気ィ抜いてられるわ〜と思うくらい、コミュ力モンスター揃いの強力な女性陣。

いざ、合コンが始まった際、4対4のはずが、男女1人ずつ遅れてきていた。合コンは3対3で、つつがなく始まった。
幹事の男性はイケメンで、1年のうち300回くらいは合コンをしている、と言っていた。すげーパリピ来たじゃん、と初めは思ったが、意外と真面目そうでしっかりした人だった。
投資系の不動産営業をしているとのことだったので、営業も兼ねて合コンしてるのかな〜と思いつつ。
話は途切れることもなく、程よく盛りあがっていた中、遅れてきた女性陣の1人がやってきた。3対4になっても、楽しく会話は続いた。

そして最後にやってきた男性こそが、西麻布に取り憑かれた男なのである。


「ごめんごめん遅れて」

高そうなスーツ姿で現れた彼は、席につくなり、遅れた分取り返すわ、といってスパークリングワインを一気飲みした。

一気に、場の雰囲気が変わり、彼が話の中心になった。
外資系のコンサルをやっている彼は、都心の会社で、会社のすぐ側に住んでいる。暗に仕事が忙しいアピールとお金を持っているアピールが始まった。家の近くにスーパーがないため、わざわざ車に乗ってスーパーに行っているという、車を持っているアピールもチラつく。

初めはちょっとひきつつも、ニコニコしながら、聞いていた女性陣だったが、
クラブで遊ぶ話を延々と話し始められてからは、空気が一変した。


「女の人の付けてるブラジャーとかヒールとか、
お金渡してその場で買って、その中にお酒入れて飲むんだよね。
そんで、インスタにあげると映えるじゃん?」

という謎の武勇伝をかましてきたのだ。

一体、彼は何を言っているんだ?
最終的に私は笑顔を作ることすら出来なくなった。
どんな靴がインスタ映えするんですかー?という全く興味のない質問をしながら、このレベルのやばい男に久しぶりに会ったな、という感動すら覚えてしまった。

男性陣は、
①幹事の男性、②幹事の友達A、③幹事の友達B、④西麻布男で構成されており、
④西麻布男は、③幹事の友達Bの友達として呼ばれたようだった。
つまり①幹事の男性と②幹事の友達Aは、④西麻布男とは初対面であり、女性陣と同様にドン引きしていた。

一次会がお開きになり、女性陣はもれなく早く帰りたいオーラを全面に出していた。

「西麻布で行きつけのバーあるんだけど、そこで飲もう」

西麻布男は、空気を全く読まずにそういった。

「いや、明日仕事はやいし」
「西麻布だとちょっと帰りにくいんですよね」

それぞれ言い訳をかましはじめる。

すると、西麻布男と初対面だった、男性Aが、

「そしたら、このまま恵比寿か、渋谷で一杯だけ飲まない?」

と提案してきた。
ちなみに今回の被害者は完全に西麻布男と初対面だった男性陣2人だと思う。西麻布男の機嫌をとりながら、女の子ともろくに話せず、高いお金を払わされただけである。

「まあ、渋谷なら・・・」という空気感が出てきたので、1杯だけ飲んで帰ろう〜となり、タクシーを止めた。

しかし、西麻布男は絶対に、西麻布で飲みたかったらしく、まだゴネていた。無視して女性陣がタクシーに乗り込むと、幹事の男性が、申し訳無さそうにやってきて、

「ごめん、どうしても西麻布で飲みたいらしいから、俺たちこのままそっち行くわ。本当にごめん」

といってタクシー代を渡してくれた。
あ、全然いいよ、飲みたくなかったし〜!と心の中で思いながら、可哀想なくらい謝る彼に手を振り、タクシーは発車した。


「まじ、あの男やばすぎだろーーーーー!」
タクシーの中は、笑い声で一気に騒がしくなった。

「あのクラブの話なに?ドン引きなんだけど!」
「スーパー、車でいくの何のアピール?」
「勝手に、うちら料理しないって決めつけて、ずっとサラダばっか食べてるんだろ?とか、草すぎwww」
「てかどんだけ西麻布行きたいんだよ!こえーよ!」

恵比寿から渋谷に向かうタクシーの中が、今日一番楽しすぎて、困った。


幹事の子も、申し訳無さそうにしていた。
一度タバコで席を外した際に、幹事の男性と、西麻布男がやばすぎて暴走が止められない、という会議が繰り広げられていたらしい。

「高い飲み代払って、タクシー代も払って、幹事の男の子まじで可哀想」

という結論に至りながら、ゲラゲラ笑った。

当時は、時間の無駄した〜!と思っていたが、
緊急事態宣言下の今、西麻布男の香ばしさを懐かしく思っている自分がいる。

今年は何回合コンできるだろうか。

∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵
1週間に1〜2本投稿しています。
フォロー、スキ、コメントをいただけると
とても嬉しいです!🥰
仲良くなって下さる方はTwitterからどうぞ🐦!
∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵

▼マルチの男との合コンのNoteはこちら

▼合コンの心構え的なテキーラなNoteはこちら


やさぐれた28歳女に、1杯奢ってやってもいいよ、という優しいお方は、サポート頂けると嬉しいです😌😌😌🍻✨