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江ノ島デートで「カプリチョーザ行きたい」と言われた件(30歳DT後編)


~前回までのあらすじ~

父親がYouTubeのおすすめに出てきた事件の影響で男性不信をぶり返した私は、ピュアな男の子と付き合いたいと言い始め、友人から魔法使いこと30歳DTを紹介された。終始震えている彼に、まあこのくらいピュアな人の方がいいかもな、と思い、2回目のデートを受けることにしたのだが.........

彼の地元は鎌倉辺りで「鎌倉なら案内は任せてください」ということで2回目のデートが決まった。彼は帰省をするため、年末は鎌倉にいるらしく、
日程調整の際に、私の会社の忘年会の次の日を指定してきた。私は飲みベーションの高い、朝まで張り切る意識高い系の社員のため、その日は避けたく、調整をかけたのだが、「そしたら午後からにしましょう」と半ば強引にその日に決まった。

しかし、まあそこも女性慣れしてない感じだし、前はわざわざ新幹線乗って来てくれてたわけだし、私は沢山のものを飲み込んで、行くことを決めた。鎌倉駅で待ち合わせをして、江ノ電に乗って、江ノ島に向かった。彼は相変わらず緊張しているようだったが、さすがに震えは止まっていたし、敬語もとれており安心した。忘年会の話などをしながら、江ノ電に揺られていると、突然資産形成の話になり、積立NISAやiDeCoの話となった。私は日経WOMANが愛読書のマネ活大好き女なので、その話は楽しかった。
でもよくよく考えると会って2回めでする話ではない。

江ノ島に辿り着いたあと、鍾乳洞があり、景色が綺麗なのでそこまでいきましょうと言われた。私は江ノ島の大きさがあまり分かっておらず、いいですね、と軽く返事をした。
いざ歩き始めてみると、江ノ島は私の想定の3倍くらい大きく、10倍くらい過酷だった。エグいほどの階段が二日酔いと寝不足の私を容赦なく襲ってくる。しかも階段の角度が急であるため、ものすごく体力が奪われるのだった。
彼は全く私の歩幅に合わせる気はなく、寧ろちょっと得意気に「自分は全然平気です」といってズンズン進んでいった。

特に食べ歩きなどをするわけでもなく、神社で参拝するわけでもなく、一番奥の鍾乳洞めがけて、私達は歩いた。
その間に私と私の足の間で、明日の筋肉痛が固く約束された。
謎の鍾乳洞の前には列ができていて、目の前は思いっきり岩場の海だった。鍾乳洞についてあとから調べてみると、岩屋洞窟というところで、「夏でも涼しい」と書いてあった、言い換えると「冬は激寒」である。
海風はとんでもなく寒かった、並びながら、忘年会の話などをしたが、メーカー技術職の彼と、ずっとWEB業界にいる私のカルチャーはあまりに違いすぎた。彼はそれを面白がっていたので、良しとする。
謎の鍾乳洞には参拝料がかかり、彼が払ってくれた。

一旦休憩しようとなり、空いているお茶屋さんで、お抹茶を飲んだ。彼はお汁粉を、私はおまんじゅうを頼んだ。彼はお汁粉の甘さにしきりに言及し、死にそうになっていた。参拝料払っていただいたので、と私はお茶代を支払った。帰りも地獄のような階段があり、彼は得意気にスイスイ降りていった。ようやく江ノ島の出口へたどり着いて、ご飯でも食べましょう、という話になった。
「ピザとか食べたいんだよね。」と私の好みを全く聞かずに彼は言い、ネットで調べ始めた。
江ノ島にわざわざ来たのだがら、さすがに予約はしとけよ、と私は思いながら、Googleマップでごはん屋さんを検索する。
風が死ぬほど寒くて、はやくどこか入りたいと思った。

「あ、カプリチョーザがある。カプリチョーザにしない?」
と彼はいい、私は絶句した。
年末のせわしない中、私は彼に合わせて鎌倉まで来たのである。さすがにチェーン店はないだろ、カプリチョーザなら都内でいい。
カプリチョーザに罪はない、けど会って2回目の江ノ島デートでいくところでは絶対にない。

「いや、さすがにわざわざ江ノ島まできたんだから、チェーン店は・・・」と言ったら、あ、カプリチョーザってそんなどこでもあるんだ、と彼は不思議そうに言った。いや、都内主要駅にあるわ、カプリチョーザ舐めんなよ、となぜかカプリチョーザ側に立って怒りが増した。
私は、「お腹空いていないので軽いものがいい、和食の居酒屋とかは?」といって、何件か店の候補を提示したが、
彼は、「いや、江ノ島のしらすのピザとかあるし。ピザがいい」と頑なにピザは譲らなかった。
私は、じゃあそれで、といって、近くのチェーン店ではなさそうなイタリアンに入ることにした。予約していないので少し待って、そこに入った。

彼のご希望のしらすピザといくつかおつまみを頼んだ。
待っている間、彼は仕事の話をしていて、彼のつまらない話を聞くのもいい加減にしんどくなり、自分の話をしていると、そのままリスティング広告のオークションと実際の課金額の仕組みについて説明してしまった。
彼はそれを興味深そうに聞いていて、「明日学生時代の友人に会うのでその話します」と言っていた。自分でしておいて、絶対楽しくないからやめとけ、と思った。

彼がほとんどピザを食べてお会計となり、私が細かいの無いからカードで払うね、といった。その時点でいいよ、払うよ、となってほしいところではあるのだが、じゃあお願いしますとなり、私が払った。
お会計は7000円ちょっとだったが、彼はじゃあ俺が4000円払うよ、とドヤ顔で言ってきたので、てめえのほうが食べてるんだから当たり前だろ、という言葉を飲み込み、4000円をありがとう、と受け取った。

帰り道、「モノレールに乗って帰ろう」と彼は言った。
「私高所恐怖症なんで、普通の電車が良い」というと「いや、全然下とか見えないから大丈夫。モノレールのほうがはやいよ」と彼は説明したので、まあ地元民がそういうなら・・・と思い、湘南モノレールに乗り込んだ。

しかしこれが、国家問題くらい揺れるのである。高所恐怖症&乗り物酔いする私には過酷すぎる乗り物だった。彼はモノレールの途中に最寄り駅があるらしく、私を残して去っていったため、私は7分くらい一人でこのとんでもない乗り物に揺られることとなった。
地獄過ぎて、揺れ方がすごいと動画に撮って友達に送ってしまったくらいだ。泣きそうになりながらモノレールを降りてJRに乗り込み、JRっていいなと心から思った。(小並感)

こうして、私は「彼とお付き合いする未来はない」と帰りの電車で確信したのである。
30歳DTくらいのピュアな人と付き合いたいと思っていた私だったが、結局「1から育て上げる」体力は残っていないことに気づいたのである。
私はもう一生男性とお付き合いすることはできないかもしれぬ・・・という恐怖を覚えながら2021年の年越しをした。

年明け彼から、ご飯のお誘いがあったが、スルーさせていただき、ふたりの関係は幕を閉じた。
恋愛の難しさを改めて教えてくれた彼に、改めて感謝している。真面目に仕事はしてそうだし、学歴も高いし、多分彼と結婚したがる人は多数いると思う(専業主婦希望の子とか)
ぜひ、良い人に出会って幸せになってくれ〜!と思う。

久しぶりのNote更新、待っていてくれた読者の方、ありがとうございます。
2022年は自分的には大恋愛をしたので、少しずつ振り返りながらも、
2023年は更新頻度を上げていけたらと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします!

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