もこmoko059

稀に文章を書きます。エンジニアの卵として日々勉強しています。数学が専門の大学院生でした。

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最近の記事

理系の父

山間部の集落に引っ越してきた。 私の父は物理が専門の大学の教員だ。 車で通える距離に大学があること。 山間部であるにもかかわらず幼稚園、小学校、中学校が揃っていること。 何より自然の豊かさを父親が気に入った。 自分はまだ4歳で、この引っ越しを楽しみにしていた。 新居を建てる途中で何度も親と見に来ていたから、家が徐々に出来上がる様子を見ていたし、長い時間をかけて出来上がるプレゼントを待っているような感覚だった。 家は両親が建築士の引いた図面に口を出しまくった特注品だ。建築士も

    • 数という概念

      もこと申します。ご無沙汰の方はご無沙汰しております。 私はたまたま7年ほど大学で数学について学び研究する機会があり、修士を出ました。 論文も受理されてなかなか満足しました。 読者から信用を得るパートはこんなもんで、今回は素朴に私が感じている「数字」というアイデア、概念に対する素朴な感想を紹介します。 数を見た事がない話 まずは私の数というアイデアへの感覚を共有するために、素朴なところからお話したいと思います。 皆さんは数を実際に肉眼で見た事があるでしょうか? ち

      • 中庸

        保育園のお昼寝の時間、僕は眠れなかった。 周りの友達はみんな気持ちよさそうに寝ていて、僕は床にゴロンと寝そべり天井を見上げていた。 白くて高い天井には黒いブツブツがついていて、それをぼんやり眺めていると、そのブツブツたちが歪んで動き出す。 あのブツブツはなんだろう。いつからあそこに住んでいるんだろう。 そのブツブツは天井みたいで、でも生きてるみたいだった。 先生たちに話しかけたら友達が起きてしまう。そう思った。 すると静かにしていることが目的になった。 ぼうっと

        • 授業はエンターテイメントだ

          授業とはエンターテイメントだ. という言説にすぐ賛同してくれる人はこのあとの文章を読む必要があまりないので,是非ともブラウザバックして,今日は1ユーロ何円なのかでも調べたほうが有意義だと思います. 正確には,授業はエンターテイメントの類だ.と言ったほうが良いかもしれません. ここで授業というのは何か先生なり講演者なりがいて,それを受講する人が居て,先生が何かものを話すという形式のイベントを指しています. 今から書く話は自分が「授業をする側」になる機会が訪れた際に役立て

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        • 小説
          5本
        • 考察
          4本
        • 大人なぼくらの集合論
          0本
        • ささやか数学
          3本
        • きらめき数学
          2本

        記事

          やったああああああああああ!!!!

          $$ \lim_{h \to 0}\frac{f(x + h) - f(x)}{h} $$ 数式が書けるううおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!! Foooooooooooo!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

          やったああああああああああ!!!!

          コロナの数学科1年生

          はじめまして.現在どこかの大学で数学を専攻している大学院2年生です. ここ2年ほどコロナウイルスが流行っていましたが,私個人としては理論系の大学院生ということもあって社会的にはかなりダメージの少ない人間でした. もちろん幾許か不便はありましたが.そうは言っても一人でも進められることが多かったので,世間的には苦労をしていないほうだと思う,という意味です. 特にコロナの流行り始めた初期段階では学部生の入校が激しく制限されていたのに対して,研究のために通学する必要がある大学院

          コロナの数学科1年生

          きらめき数学2

          このシリーズは私の書いている「ささやか数学」シリーズと対を成すシリーズであり,私の数学への感覚などの話を,難易度や読みやすさを問わずバリバリ書いていくシリーズです. 今回は歴史の話に見せかけた日記です.全然含蓄のない内容です. 私は数学を専門にしてそろそろ7年が経過しそうという感じの人です. 数学好きな人にはいろいろな人がいますが,私のは自分の専門について誰よりも詳しくなりたいというタイプではありません. どちらかといいますと,自分の学んだ数学のエモい部分を周りに共有

          きらめき数学2

          きらめき数学1

          このシリーズは私の書いている「ささやか数学」シリーズと対を成すシリーズであり,私の数学への感覚などの話を,難易度や読みやすさを問わずバリバリ書いていくシリーズです. 今回は自己紹介を兼ねまして,私の持っている数学への感覚的な話をしようと思います. 私は数学を専攻している大学院生です.数学をしていると自分がある種の表現者であると思うことがほとんどです.これは数学のことを世の中に隠された真実を暴き利用する為の手段であると考える実際家の人からすれば幾許か不思議に思われるかもしれ

          きらめき数学1

          VRC上で全29回の数学イベントをしました。

           おはようございます、こんにちは、こんばんわ。VRC上ではもこ059という名前で活動している者です。 タイトルの通りなのですが、2021/2/28から始めて全体で29回、ほぼ毎週日曜日にVRC上で数学の事を私が喋るというイベントをVRChat上で開催し、やり切りました。 https://twitter.com/mokomokoVR/status/1364832510690033664?s=20  開催当初は「数学のイベント」というのがかなり狭い層にしか刺さらないと思って

          VRC上で全29回の数学イベントをしました。

          ささやか数学3

          こんばんわ。数学の話がしたくなった時に文章が正しいかとかあまり気にせず数学の話をするだけのシリーズです。マジでテキトーな事しかいいません。 経歴:どこかの大学で数学専門の大学院生をしています。 今日の話は途中式の話です ●テストの点 私は中学生の時には数学が好きだなあと思ってたタイプなんですけどね 実際の私の数学のテストの点数とかはそんなに高くなかったんですよね。 100点満点のテストに対して平均70点ぐらいだったと思います。 なんでそんなに点を落としていたかと

          ささやか数学3

          ささやか数学2

          こんばんわ。数学の話がしたくなった時に文章が正しいかとかあまり気にせず数学の話をするだけのシリーズです。マジでテキトーな事しかいいません。 経歴:どこかの大学で数学専門の大学院生をしています。 今日の話は小、中学校の話です。 ●引き算 引き算って小学生のころ難しく感じませんでした? 自分は「理屈は分かるけど実際やるとムズイ」って思ってたんすよね。 なんか5個あるものから3個のものを差し引く、みたいなことって世の中でものすごく自然にあるじゃないですか。 だから考え

          ささやか数学2

          ささやか数学1

          こんばんわ。数学の話がしたくなった時に文章が正しいかとかあまり気にせず数学の話をするだけのシリーズです。マジでテキトーな事しかいいません。 数学ちゃんとやってる人向けのコメントは最後にまとめておきますね。 経歴:どこかの大学で数学専門の大学院生をしています。 今日の話は小学校の時の話です。 ●円すげ~ 円とは? という風に説明を求められて、説明できない理系大学生はほぼ存在しないでしょう。(そうだと信じたいですが…。) 円の説明をしたいと思ったら、先ず紙を用意しま

          ささやか数学1

          自我

          風呂上がり、クーラーの効いた六畳一間。 ゲーミングチェアに座ると、今日の疲労が胸筋を肺に腰掛けさせる。 呼吸は浅くゆっくりとしていて、何かを成し遂げる体力などは、もう全く残っていない。 畳まれている布団を敷けば眠ることができる。 部屋の明かりがぼんやりと映っている僕の目は、夜間モードに設定されていないデスクトップPCのディスプレイを少しまぶしく感じている。 エアコンの働く音とPCのファンの音が、椅子の上の重力を1.5倍にする。 僕らの深夜二時間半は、いつの間にかど

          【読むのは】メンタル童貞について【自己責任で】

          〇注意(必読)  初めに、私が以下に書いた文章はとても偉そうである。これは私が普段から偉そうなわけではなく(偉そうなわけではないと信じたい)、私の専門が数学で以下のような文体の文章ばかり読んでいるためそれが移った結果である。ほんとすみません。 問題解決は一般的には、問題を正確に定義することから始める。世の中にある男性に関する問題の中であまり言語化されていない問題のうちの一つに、私が「メンタル童貞」と呼んでいる概念がある。今日はこの問題を読者の皆様に理解していただくために、こ

          【読むのは】メンタル童貞について【自己責任で】

          夜明け

          冬の深夜四時、大学周りの学生街は何かを輸送するトラックの走行音とじりじりと鳴る街灯の音、それと虚空からのしんとした緊張感に包まれていて、その中をすき家に向かってのらりくらりと潜り抜けていくことは大学三年生の特権だった。 その特権を行使したいが為に、僕とサークルの友人は全身の強張りに耐えながらこたつに入ってカードゲームをし続けていた。友人の家とすき家の間の距離は徒歩十分程で、その距離を寒さに耐え忍びながら歩くことへの抵抗感が二人の空間を支配していた。 「いやブルブルパンチだるい

          VRC開始1分後まで

          ぴぴぴ。ぴぴぴ。判然としない意識が判然としないまま立ち昇る。腰に負担がかからないように状態を起こす。掛け布団を剥ぎながらのそりと立ち上がって、机の上で鳴っている目覚まし時計をほとんど視認出来ないまま叩いた。少し意識がはっきりする。視界がもやもやとしている。カーテンが開けっ放しで、目覚まし時計が鳴る前から陽の光によって少しずつ覚醒していたらしいことに意識が向く。重心のふわふわしている体が敷布団を畳む。一連の作業がしにくいのは視界が不明瞭な為だと気がついて、机の上に置かれていたメ

          VRC開始1分後まで