最近書こうと思っている物語は、民俗学や古来の神様の話をベースにしようと思っているので神様の起源と言われる宮古島に行ってきました。 まずは大自然を感じたい!とレンタカーで東平安名崎へ。 風に吹かれて地平線を見ていると猛烈に「自由だ!」と感じて、叫びそうになったけれど、中年女が1人で塔の上から叫ぶ姿は、他から見てなかなかのホラーなのと、あらぬ心配をされそうなので、踏み留まりました。 果てしない地平線を眺めながら、いろいろ考えていると、私の頬を暖かい風がふわりと撫でていきまし
「みんな!!起きて!」 弟の大きな声で、私は目覚めた。玄関の方からしきりに「早く!早く!」と弟の声がする 重い頭を振りながら、私は玄関の方へふらふらと向かった。同じように起こされた父と母も寝ぼけた様子で、部屋から出てきていた 「外!外見て!」 弟ははしゃいでいる。その様子に「もう、なんなのよ!」と私は少しむかっとしながら、外へ出た途端、景色が見えることに驚いた 薄暗闇になってからほとんど見えなくなっていた景色、隣近所の家や近くのマンション、電柱などが、いま
美術館の入り口の前には、広くて長い階段がある。足元に気をつけながら、私は入り口へと急いだ。入り口には人混みができており、賑わった声が聞こえてくる ぶるぶる......認識アラームが震える。急いで確認しようとする前に、リアンの声が人混みの賑わいの中からでも、はっきりと聞こえてきた 「ホルテスさん!」 リアンとおぼしき人が、人混みから離れたところから手を振っているのを見つけた。私はその人の元へと近寄る 「リアンさん、遅れて本当にごめんなさい」 「いいんですよ。こう
「おかえり、姉さん」 家に戻ると玄関ポーチに弟が座っていた 「ただいま」 「あれ?今日は美術館に行くから、遅くなるんじゃなかった?」 「ああ、うん。なんか疲れてやめちゃった」 「そっか」 私は、弟の隣に座った。姉弟で隣り合わせで座るのは久しぶりだった 「もう少しだね、眼の手術」 「うん。だね」 弟は少し黙ったあと、顔を下に向けながら口を開いた 「あのさ、もし手術受けないって言ったら、怒る?」 私はその言葉に少し動揺したが、なんでもないような声を出
あれからリアンと何度か会ったのだが、結局私は何も言えないまま、リアンとの約束の日を迎えた。今朝はリアンと会えなかったが、私は少しほっとしていた いつものように仕事の机につくと、デスクライトの下に紙が挟まっているのに気がついた。眼をしっかり明るさに慣らし、紙を引き抜こうとしてそれが自分宛の手紙だと分かった。周囲を気にしながらその手紙をそっと開けてみた ー エナへ 今までありがとう。一緒に働けて楽しかった。もし、私たちの活動が気になったら、かつてのブルームーンの前に
その夜、仲の良い同期10名が、結婚祝いの食事会のためにルルナの新居に集まった。ルルナの婚約者は、大きなキャンドル工場を持つ2代目社長の息子で、家業を継ぐ予定だ。ルルナも結婚後に仕事を手伝うことになる 私たちが広いリビングに入ると、貴重なキャンドルが何本も部屋中に灯っており、幻想的な雰囲気を醸し出していた。私たちは暖かな明るさに感動しながら、ダイニングテーブルについた 食事会とはいえ、食料確保が薄暗闇の影響で難しくなっている。普段の食事は栄養や食べ応えに配慮したものが
でも......私はクリックできなかった 就業時間を知らせるベルがなっていたのが分かっていたが、私は動けずにいた 「どうしたの?」 隣の席の先輩に声をかけられて、私は我に返った 「すみません。ぼうっとしちゃって」 先輩は少し周りを気にしながら、私に顔を寄せてきた 「体調悪いなら、仕事代わろうか?急ぎの仕事があるんでしょ」 「え、大丈夫です。本当にぼうっとしちゃっただけなので」 「代わるよ。前に代わってもらった借りも返したいしね。返せなくなる前に」
歩き始めてしばらくすると認識アラームが震えた。確認する前に、リアンの声が聞こえてきた 「ホルテスさん!この時間帯に会えるなんて」 リアンの声はいつもより明るかった 私たちはいつも少し距離を置いて話している。お互いの顔がよく見えないこの距離が、私にはちょうど良かった 「リアンさん。確かに初めてですね」 「ちょうど良かった。実は来週から美術館で始まる詩の展示会に僕の詩が選ばれたんです。他の人達の作品と一緒にキャンドルでライトアップされるんですよ」 「え!すごいじ
お昼休憩になり、私はいつものようにルルナが待つ休憩室に入った。仕事で明るいデスクライトを使っているので、休憩室の照明の暗さに慣れるまで時間がかかるが、ルルナはいつものテーブルにいるので、私は困ることなくそこへと行ける 今日もテーブルに近づいてルルナに声をかけようとした時、ルルナと同僚たちの話がぴたっと止んだ 「じゃあ、私たちは早休憩だからそろそろ戻るね」 「エナ、じゃあね。食事会でね」 同僚たちの表情はよく分からなかったが、少し戸惑った雰囲気だけは伝わってきた。
いつもの通勤の途中に、ぶるぶると認識アラームが震えた。急いで確認する前に、少し離れたところで声が聞こえた 「おはようございます。ホルテスさん」 リアンだった。私は少し緊張する。 「おはようございます。リアンさん」 「良かった会えて。実はホルテスさんにまた会いたかったんです」 私が戸惑っているうちに、リアンが続けた。 「僕が突然掲示板から消えたことを、謝りたくて......。あの頃、いろんなことが一気に押し寄せてきて、ある日突然、全てが嫌になったんです。良いこと
姉とはそれ以来会っていない いま姉の眼にはシャンパンゴールドの眼球と、右の瞳には虎が入っており、赤い眼球に左の瞳に龍が入った男と一緒にいると、偶然出会った姉の友人に教えてもらった 私は去年、もう使わなくなった自宅のポストにまとまったお金が入った封筒を見つけた いつ誰が入れたのか分からないが、きっと姉だと私は思っている。封筒に入ったお札がきちんと表裏揃えてあり、姉はいつもそうしていたからだ 私はこっそり弟に、「もう少しお金が貯まったら、好きなジュエリーアイを入れてあ
薄暗闇が続くのであれば、それに適応できる人工の眼を作ればいいと、もともと病気のために開発されていた人工眼が、用途が変わり光を調節できる人工眼として完成した そしてあっという間に人工眼は、ファッショナブルな商業用のジュエリーアイという名前で、人々の手に入るようになったのだ 当初は健康な眼を人工眼に替えるということに反発や批判が多かったが、どこかの国の有名なセレブが先頭をきって替え、当時かろうじて見れていたテレビで世界に発信すると、ジュエリーアイの美しさは世界中にセンセ
お昼休みはいつも同僚のルルナと過ごしている。ルルナは来月結婚するので、最近の話題は結婚式のことが話題の中心だ 「でね、ドレスはこれに決めたの」 ルルナが一枚の写真を見せてくれた。私は彼女から写真を受け取ると、休憩室のわずかに灯されている電灯に照らしながらじっくりとみた。薄明かりの中でも眩く見える白いマーメイドドレスは、彼女によく似合っていた。 「素敵ね!ルルナを引き立てるドレスだわ」 「本当?嬉しい!」 ルルナの眼が薄暗い中でもキラキラと光っている ルルナは
あれは2年前になる 人々が薄暗闇にパニックになり、楽観視する者、絶望する者、現実逃避する者、人々が一通りの感情を出し切ると、たいていの人は現状を受け入れて逞しく生きていくものらしい 薄暗闇によって太陽光からの電力が得られなくなると、電気は一般的庶民に手が届きにくいものになった。テクノロジーがかつてのように自由に使えなくなり、そのうち昔のように文字を書いて交流しようというブームが起きた 各地域の掲示板に、それぞれ自分の自己紹介や興味があるものを書いて貼っていく。それをみて
望都 もこ 「灯りをつけるよ」 そう言って彼はキャンドルに火を灯した 薄暗闇から彼の顔が浮かび上がってくる 彼の柔らかな緑色の瞳に、キャンドルの炎が揺らいで映っていた それは、神秘的な美しさを放っていて、思わず私は目を伏せた 🌟🌟🌟 数年前、世界が突然、原因不明の薄暗闇に包まれた。 一歩外に出れば、霧がかかったように先が見えず、昼夜問わず薄ぼんやりとした明るさしか感じられなくなった すれ違う人々の顔がまと
私は子どもの頃、外で遊ぶのが大好きだったが、本を読むのも大好きだった 学校の図書館でよく本を借りたり、市立図書館でもよく借りた あの頃は何の本に夢中だったかな?と思い起こしてみると、海外の物語や、探偵もの、家族の物語が多かったように思う 人によって本の読み方は様々なんだろうけれど、私はまずはさらっと本を読み、何ヶ月か何年かたって「あ、またあの本が読みたいな」と思うと、またその本を読む さらっとしか毎回読まないので、毎回「こんな文章あったっけ?」というある意味、毎回新鮮