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強いチーム

自分の今いる会社サイボウズの企業理念は
「チームワークあふれる社会をつくる」
「チームワークあふれる会社をつくる」だ。
とても覚えやすい。
もともとそういうのを考えるのが好きだから、というのももちろんあるが、会社がこういう会社なのもあって、自然と、チームやそこにいる人々について考えることが多い。

チームワークと聞くと、ちょっと「うげっ」となる人がいる。
気持ちはとてもよくわかる。
チームワークは誤解されやすい。
誤解してるほうの解釈でチームワークを語られたら、私も「うげっ」と思ってしまう。

チームワークというと、
「一致団結!」「みんなで一緒に!」
みたいな表現に脳内変換されがちだ。
それは気持ち悪い。
私はそういうことばの裏に見え隠れする同調圧力があまり好きではない。(っていうかはっきりいって嫌いだ)

本来のチームワークは、
「共通の理想や目的のもとで、人々が役割分担して共働すること」
と定義されている。
「絆」とか「一致団結」は、よいチームワークを育んだ結果得られるもののひとつであって、チームワークそのものではない。


チームワークによって得られる効果というのもある。
・効果
・効率
・学習
・満足
の4つだ。

それぞれ、例をあげるとわかりやすい。
・効果: 試合で勝つ、売上が上がるなど
・効率: 短時間練習、残業少なく成果を出す
・学習: 学びがある、成長する
・満足: 達成感ややりがい、貢献感など気持ちの充足

強いチームには、この4つの効果がフルに存在する。
が、これがどうして、なかなかフルにするのは難しい。
特に今の日本は(世界の多くも)、効果や効率にしか目がいっていないので、そこのノウハウや仕組みにばかり力を注いでしまいがちだ。
だが、個々人が感じる学習や満足がないと、それは長期間にわたって持続しない。
サスティナブルなチームにはなれないのだ。

強いチームは総じて組織体制や風土がよい。
弱いチームはその部分に綻びがあることがとても多い。

数日前まで、バスケットボールのワールドカップがあった。
日本は予選の時、しょっぱなで4連敗を喫し、崖っぷちになったのだが、八村累や渡邊雄太、ニックの加入で勢いづき予選を勝ち続けた結果、見事、本線への出場を決めた。

八村がNBAの正面玄関から入ったこともあって、今回のワールドカップ、一勝くらいはできるかな?!
とブースター(バスケファン)たちはドキドキしながら観戦していたと思うが、残念ながら全敗。
一勝もできずワールドカップは終わってしまった。

日本のバスケ界は長いこと組織運営でごたついていた。
リーグが2こあって、国際大会出ちゃダメよってことにもなった。
統一して盛り上がってきたのは本当につい最近のことだ。

運営がごたついている組織で、強いチームは作れない。
リーグ統一して、三屋さんが会長になって、大河チェアマンも東野さんもがんばって、選手も頑張ってて、だんだんといい風向きにはなってきているが、まだまだ足元は出来立てホヤホヤで不安定。
これまでのバスケ界の経過からすれば、仕方がないというか、むしろ上出来な結果なのかな、とも思う。
現状認識の場、という点では納得できる結果なのではないかしら。

色々な記事で日本の課題や足りない部分が指摘されている。選手自身も自分たちに何が足りないのか痛感している。
だが、選手だけに強さを求めても、それではおそらく勝てないだろう。
国際大会にも出れなくなるほどの内輪揉めや、足の引っ張りあいのような組織運営では世界には太刀打ちできないし、そんな不安定な環境では選手も育たない。
夫婦喧嘩ばかりの家庭で子供が安心して育たないのと同じだ。
JBA、Bリーグ、リーグの各チームがそれぞれ、良いチームを作っていかないといけないんだなぁ、とワールドカップを見て改めて思った。

息子がバスケットボールをはじめたことをきっかけに、私はバスケ大好きおばはんになった。
息子が最初に入ったのは、地元のスポーツ少年団。
基本の運営はお母さんで、コーチは外部からきている方だった。
コーチは平日は働いているので来るのは土日だけ。ほぼボランティアなのでほぼ無給。

このチーム。
どうやらコーチと保護者の関係性もよろしくなく、部員も少なく、あまり強くなかった。
(別に強さは求めてなかったからいいんだけど。)
子どもの学年に依存したほのかな上下関係や、女同士のかげの悪口なんかもあったりして、表面上は良好そうだが親同士の雰囲気もビミョー。
息子が入部して1-2年はまだよい方だったが、コーチが自身の引退を決めた前後からなんだかごちゃごちゃっとしてきたことと、我が家が上の学年のお母様がたに嫌われていたこともあって、めんどくせーな、と思ってスポ少を辞めることにした。
今はちょっと遠いけど地域のクラブチームみたいなところに通っている。
最近、噂をきいたが、どうやら、その後もコーチの交代が発生したりしていて、相変わらずチームは弱めなようだ。

同じスポ少でも、毎年強いチームもある。
そういうチームはコーチが複数人いて、コーチ陣もコロコロかわらず安定していて、保護者とのコミュニケーションもうまくまわせている(ように見える)。
まぁ保護者同士は基本が女の集団なので、やっぱりどこでも大なり小なりあるようだったが、とりあえずコーチ陣と保護者との関係性は悪くないところが多い。
そういうチームは総じて強い。

「コーチのスキルの問題だ」とすぐにお母様がたはいう。
もちろん、コーチのスキルはある。
バスケスキルやバスケ知識だけではなく、子どもや親とのコミュニケーションも含めてコーチの力量なので、それはそうなのだが、よく考えたら彼らはほぼ無給だ。
部員のお父さんという場合もあるが、外部から来てるコーチもかなり多い。
毎週土曜日がほぼなくなって、保護者からの文句や交渉なんかもあしらいながら、ほぼ無給。
しかも最近のバスケ界は、コーチのコーチングスキル向上も激しく求められている。
(保護者にとっては誠にありがたい。)
「来てやってやってるんだから、言うことを聞け!」
みたいな横柄な態度のコーチは(実際そこまでひどい人は見たことないがw)、コーチとしてやっていけなくなりつつある。

そんななかでもほぼ無給でコーチをしている人がこの世の中にはたくさんいる。
よくやるなぁと思う。
やりがいがあるからやってるんだろうし、それは本当にすばらしいなぁと思うけど、この超弩級なやりがい搾取の構図と、それにすら気付かないうわべの感謝しかなさそうな保護者たちってのはなんだかちょっと良くないよね、と思う。(もちろん、感謝してるお母さんたちもたくさんいる。)
スポーツ界のやりがい搾取の構図は、すでにここから始まってる。

バスケ界は(っていうかバスケ界に限らずだと思うが)、上から下まで、なかなかにして闇が深い。

スポ少に入ってわかったが、ミニバス界には、
バスケットボール協会とミニバス連盟というなんか似てるけど何が違うのかよくわからない組織があったりする。
何が違うのか調べても、誰かに聞いても、その違いはちゃんとはわからない。
なんかまぁ過去の経緯とか、それぞれの存在目的とか、お互いに言い分は色々あるんだろうけど、外から見て何が違うのかよくわからない似たような組織が2つあるって、やっぱりおかしな話だ。
どうやら将来的には協会に一本化する方向のようなので、早いとこシンプルになるといいな、と思う。
そういうところも、闇のひとつ。

バスケ界ひとつを取っても、チーム力や組織運営、利権のぶつかり合いと二重化組織、やりがい搾取の構造などなど、あらゆる問題がある。
で、そういう問題、実は根っこでつながっている。
結局コミュニケーション。チームワークなのだ。

闇も深いように感じられるけれども、正しいチームワークの理解と普及がひとつの光なのかな、と私は思っている。

共通の目標をもって、みんなが、それぞれの立ち位置で、それぞれの粒度で、目標や理念に共感して動いていけば、きっと強くて楽しいチームに変わっていけるのだと私は思う。

同調圧力はなしで。
みんな違ってみんないい、そんなスタンスで。
それでも強いチームはつくれる。
そんなだからこそ、強いチームがつくれる。

バスケもそれ以外も、まだまだ日本のびしろだらけ。
トップダウンとボトムアップで、変化を加速させていけるといいな。

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