【読書感想】「走れ!T校バスケット部」 松崎洋

中学時代、バスケ部キャプテンとして関東大会二位の実績を残した陽一は、強豪私立H校に特待生として入学。だが部内で激しいイジメに遭い自主退学する。失意のまま都立T校に編入した陽一だが、個性的なクラスメイトと出会い、弱小バスケ部を背負って立つことに―。連戦連敗の雑草集団が最強チームとなって活躍する痛快ベストセラー青春小説。
「 BOOK」データベースより

長男がバスケをはじめてから、気付けばすっかりバスケ好きになってしまった。
Bリーグ好きになり、日本代表も好きになり、Bリーグチームの経営本なんかも読んだりして、とうとう小説までバスケ(笑)

ちょっと前に映画にもなった「走れ!T校バスケット部」。
映画では主人公陽一を志尊淳が演じている。
昨季、千葉ジェッツの試合を観戦しにいったら志尊淳たちが映画の宣伝で会場にきてたなぁ。
映画の前に読んどいたほうが盛り上がれたな。
読む時期、間違えた。

内容は、青春小説で、とっても読みやすい。
1-2時間もあれば読み終わるのではないかしら。
バスケの動きや試合を小説でどうやって表現するんだろうなぁ、と思って読んでたんですが、絶妙な表現具合で何の違和感も難しさもなく、バスケ漫画を読んでるようにするすると読み進めることができた。
これくらいなら3年生の長男も読めそうな気がする。
ヒマヒマ言い出したタイミングで、勧めてみようかしら。

主人公の陽一は、バスケの強豪校に特待生で入ったものの、部でのいじめが原因で学校をやめ、都立高校に編入。
バスケは辞めると決めていたけど、友人に勧められて再開。
チームワーク良く、楽しく、練習をしていくなかでどんどん力をつけて、最終的には弱小バスケ部がめっちゃ強くなる。
というお話で、ストーリーとしては王道中の王道。
良いアクセントになっているのは、俊一という部員かな。彼の存在がバスケ通をニヤリとさせてくれるんじゃないかしら。

陽一がいじめられていたとわかったとき、陽一のお父さんは怒って学校に抗議しにいくんだけど、陽一パパ、ポリシーも発言もめっちゃかっこいい。
私が今まで読んできた物語のなかにでてくるお父さんって、家庭を省みなかったり、むかつくことを言ったりするイマイチな人のほうが多かったので、こんなにもちゃんとしたお父さんを読むのは清々しくとても気持ち良い。

このお父さんも嘆いていたんだけど、いじめた側は結局軽い反省しかしなくて(軽い反省すらしてるんだか…)、いじめでどれだけ相手を傷つけたのか説明しても、わかってはくれない。
そして、時間がたてば、また同じように人を貶めたり、傷つけたりする。
ホントに悲しいなぁと思う。

いじめは、いじめられる側には問題なくて、いじめる側の心に、満たされない思いとか、焦りとか、恐怖とかがあることがほとんどなんじゃないかと思う。
いじめられた子とその家族のケアもももちろんだけど、同時にフォーカスしないといけないのはいじめた側にもあるように思う。
たぶん親の日々の態度や発言や価値観、周囲とのコミュニケーション、相対比較した結果感じてしまう劣等感、とかそういう鬱屈を、他者を落とすことで一時的に晴らそうとしてるんだと思う。
そいつがケアされない限り、同じことは続くよね。


私の場合、なんだか必要以上にいじめについて考えてしまったけど、基本的にスカッとする話だし、漫画のように読みやすくいので、小説初心者にもおすすめ。
ただ、想像してたより、あっさりと終わって、あっさりと後日談が語られるので、スラムダンクほどの感動はないかな。
あっさり終わった感じだけど、どうやら物語は続いていて、part10まであるらしい。

面白かったけど、続きを買うかは正直ビミョーかな。
終わりかたがキレイすぎて、「続き気になる~」という要素が少ないように感じてしまった。

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