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【読書感想】「DREAM WORKPLACE ―だれもが「最高の自分」になれる組織をつくる」 ロブゴーフィー、ガレスジョーンズ

読了日:2018/7/15

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この本の概要

世の中、いろんな職場・組織がありますが、社員ひとりひとりが
「あー、仕事おもしろい!やりがいある!毎日仕事するのが楽しみ!」
と思える職場って、今の日本にどのくらいあるんでしょう?

職場じゃなくても。
家族、学校、部活、習い事、趣味のサークル、近所のコミュニティ。
個人がのびのびと自分の強みを発揮して活動できる場所って、今、どのくらいあるんでしょうね…。

この本は、
「『世界で最高の職場』とは、どんなところだろうか?」
という問いからスタートします。

さまざまな企業・組織と、そこで働く人たちに多くのアンケートを取り、それをもとに「夢の職場」とはどのようなものかを調査。
その調査結果を6つの原則にまとめ、ひとつひとつについて詳しく説明しています。

「夢(DREAMS)」の職場 6つの原則

夢(DREAMS)の職場の6原則は以下のとおり。
・Difference(違い)
・Radical honesty(徹底的に正直であること)
・Extra value(特別な価値)
・Authenticity(本物であること)
・Meaning(意義)
・Simple rules(シンプルなルール)

頭文字をとって「夢(DREAMS)」。
この6つの原則と、ポイントになりそうなところを抜粋します。

・違い(Difference)
ありのままでいられる場所、他者とは違う自分の在り方やモノの見方を表現できる場所で働きたい。

物の見方や思考のクセ、考え方の中核をなす前提、世界観の違いを受け入れ、さらに、単なる受け入れを超えて、違いを大切にし、違いから付加価値を生むような組織をつくることだ。違いを正しく理解すれば、高いレベルのコミットメントやイノベーション、創造性を得ることができる。

・徹底的に正直であること(Radical honesty)
今実際に起こっていることを知りたいという思い。

企業はもう情報をコントロールすることなどできない。ウィキリークスや内部告発、情報公開制度がある世界では、「誰かが言う前に自分で本当のことを言う」ことが企業の責務であるべきだ。そうすることで、やっと、組織の内と外の両方で、長期的な信頼の構築が始まるのだ。

・特別な価値(Extra value)
私の強みを大きく伸ばしてくれて、私自身と私個人の成長に特別な価値を付加してくれる組織で働きたい。

組織のどのような場所であっても、個人が仕事を通して成長できると感じられたときに、パフォーマンスが高くなる。つまり、組織が個人に価値を付加するから、個人が組織に価値を付加してくれるのだ。ここでの個人とは、幹部や管理職だけでなく、事務スタッフやレジ係のことも含む。

・本物であること(Authenticity)
誇りに思える組織、良いと思えることを本当に支持しているような組織で働きたい。

「本物」は夢(DREAMS)の組織の6つの原則の「すべて」を貫く概念と言っていいだろう。組織が本物であれば、そこで働く人が、仕事を通じて最高の自分になり、最高の力を発揮できるからである。
「本物であること」をより具体的に理解するために、私たちは3つの指標を作成した。
一つ目は「企業のアイデンティティが一貫してその歴史に根差している」
二つ目は「社員が、企業が支持する価値観を行動で示している」
三つ目は「企業のリーダー自身が本物である」

この三つがそろって初めて、社員たちは目的意識を持ち、自分の仕事を誇りに思い、信頼のレベルを高める。

・意義(Meaning)
毎日の仕事を意義あるものにしたい。

社員は、自分の仕事が他者の仕事とどうつながっているのかを知る必要がある(縦割り構造が妨げになっている場合があまりにも多い)。
彼らは帰属意識を後押ししてくれるような職場を必要としている(流動性が激しい世界ではどんどん難しくなってくる)。
そして、自分の仕事が長期的な目標にどのように貢献しているかを知る必要がある(株主が四半期の報告を求める場合には問題となる)。

・シンプルなルール(Simple rules)
バカげたルールや、一部の人にだけ適用されて他の人に当てはまらないようなルールに邪魔されたくない。

理想の会社とは、ルールのない会社のことを言っているのではない。社員が納得して従えるような明確なルールがあり、その明確さとシンプルさを維持することに決して注意を怠らない会社のことである。

色々な環境をこの原則で数値化してみる

読みながら、今、自分がいる職場や、過去に働いていた職場、そのほかの自分が所属するコミュニティはどうだろう?
と、考えてみました。
私は転職経験が1度だけで数値化する対象が少ないので、ちょっと毛色は違うけど、息子が所属しているスポ少団体でも数値化してみました。
※あくまで主観です。

<前の会社>

前の会社は、開発・運用・構築・教育などを手がけるIT企業で、私は新卒で入社してからずっと教育グループに所属していました。
この6原則をもとに数値化してみると、前の会社もけっこういい会社。
いくつかポイントを絞って説明を加えてみます。

違い(Difference):
私が所属していた教育グループに関していうと、社員の多様性を受け入れる土壌があって、いろんなタイプの人を受け入れて成長を促してくれました。
オタクなおじさんも、尖った若者も、子育て世代も、受け入れるマインドはあったほうじゃないかなぁ。
飲み会とか、いろんなタイプの人がいて楽しかった。
単純に、いい人が多かったよね。

意義(Meaning):
教育グループに関してはその意義がわかりやすいというのもあって、働きがいを感じやすい仕事でした。

シンプルなルール(Simple rules):
たぶん多くの企業や組織からすればシンプルなルールだと思います。一般的な企業レベル。
ここの数値が低いのは、私の問題。
そもそも私は、校則や服装規定といったルールがきらいなんですよね。
入社したての頃は割とそこらへんも個人裁量だったんですが、だんだんルールが増えてきて、そこに窮屈さを感じるようになりました。
なので、主観的に数値は低め。
でも、前の会社のせいというよりは、社会の変化のせいだと思います。

<今の会社>

私が今、働いているのは、サイボウズ株式会社。
2年前に転職しました。

伸びしろへの期待混みでけっこう厳しめに数値化したつもりですが、軒並み数値は高いです。
はっきりいって、前の会社とか、他の一般的なところと比べると、全部の項目が「5」です。

この本のなかで、「6原則すべてを満たす企業は存在しない」と記述があったんですが、「今の会社は6原則を満たしているのでは?」と思えます。
若い人もそうじゃない人も、活躍している人たちはみんな仕事が楽しそう。「仕事はつらくて当たり前」と思っている人は、たぶんこの会社では評価されないような気がします。

ひととおり、伸びしろ部分を説明しておきます。

違い(Difference):
会社全体で「多様性」は重要なキーワードなので、制度も風土もかなり浸透している。ただ、個人レベルでみると浸透しきっていないし、多様性を認めない同調圧力タイプの人もそこそこいるので、-1しました。
(多様であれば、同調圧力をかける人は必ずいるわけなので、むしろ健全なのかもしれませんが。)

特別な価値(Extra value):
これもほぼ5なんですよね~。
私も入社していろんな人と接するなかで、
「マイナスを普通にする」「できないことを頑張る」
っていう意識から、
「得意なことをもっと伸ばそう」「自分が最大限尖ることができるのは何だろうか?」
と、意識の方向性が変わってきている気がします。
「自分が型からはみ出してないかを気にする」イメージだったのが、
今は「いかにいい感じに型からはみ出すか考える」イメージ、みたいな。
なんていうか、特別な価値を自分で探すことができる環境。
上司も、会社も、その人の活躍できる場所を見つけてくれようとする文化があるし、勉強会など、個人が成長できる環境も整ってる。
ただ、ソフトスキル系、マインド系、リーダーシップ系の勉強会がもっとたくさんあったらもっと化学反応が起きておもしろいなぁと思うので、そこらへんを伸びしろとして無理やり-1。

意義(Meaning):
仕事の意義も、ほぼ「5」なんですよね…。
縦割りになりそうなところも、色々な制度のおかげで風通しはすごくいい。
理想マップなるものもあり、会社の理想と部署、グループ、個人の理想を中長期的に俯瞰できるものもある。
ただまぁそれが完全に個人に落とし込まれているかというとそうでもなかったりするので、その部分で無理やり-1にした感じ。

シンプルなルール(Simple rules):
「100人いれば100通りの人事制度」と謳っているので、シンプルじゃあないと思うのよねwww
でも、ルールを決めるまでの過程が全公開されているし、その公開されるなかで、全社に制度の意味が浸透していっていると思うので、ルールへの理解度とか共感度は高い。
なので、これもほぼ「5」なんだよね。。
ただ、うちの会社がこのルールで成り立っているのは、ツールと風土のおかげで、そこが欠けている組織ではこのルールは破綻すると思う。
他組織での汎用性のなさ、という点で無理やり-1。

<スポ少団体>

前の会社も、今の会社も、私が所属している会社組織は、恵まれた会社だと思うんですよね。
ただ、現実はそうじゃない企業の方が多い。
今、私が所属している組織のなかで、息子のスポ少団体は、一般的な企業にいちばん近いように思えるので、比較として数値化してみました。

カドがたつといけないので、詳しくは書きません。
が、まぁ正直「うーーーん」と思う点は多々あります。
誰も悪くないんですよ?
みんないい人だし、それぞれ一生懸命、頑張っているんだけど、
暗黙知と、空気を読むスキルを最大限に煮詰めてしまった組織。
とでも言いましょうか…。

前向きに言えば伸びしろだらけ。

でもねぇ…。
ホント、難しい…。

ホント、難しい…。(←2回言う)

ただまぁ、今の会社に属しているだけでは見えないものがたくさん見えます。
「組織」とか「チーム」を変えることの難しさや、自分の限界を知ることができる。

うちの会社は、うまくいっている部分が多いけど、そうじゃない組織とくらべると、すごく、すごく、すごーーーーく大きな隔たりがある。
そうじゃない組織にいる人たちにとって、サイボウズのような会社が発信する情報は、机上の空論にしか思えない。
その差を体感できることも、その差を埋めていくためにどういうアプローチができるんだろうな、と四六時中考えられる環境にいるのはとても有意義だなぁと思う。
とてもしんどいけど。


色々感想を書きましが、正直、この本をちゃんと咀嚼できたかというと、まったくダメ。たぶん、飲み込み度は30%以下。
お風呂場でしか読んでなかったけど読み切るのに1ヶ月くらいかかってしまったし、なんか、スー――っと入ってこなかったんですよね、表現が。
つまづくことが多かった。


感想も書くのやめようかと思って、だいぶ放っておいたんですが、それもなんか悔しいので無理やり書いてみましたよ。
無理やり書いてみると、それはそれでひねり出せるものがあるもんですね。結果、けっこうおもしろい分析ができたかもしれない。

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