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「真珠の日」に寄せる雑学

6月1日は「真珠の日」です。
というわけで、今日は真珠に関する雑学を書いてみたいと思います。

1、「真珠(Pearl)」の語源

真珠という言葉は、紀元前1000年頃の中国の文献、そして日本書紀にも見られます。
海や川で産出する玉石(=珠)のうち、特に美しいものを真の珠、つまり真珠と呼んだのだと考えられます。

また、「Pearl」は、天然真珠の形が「洋梨」に似ていたため、ラテン語で洋梨を意味する「Perla」が転化した言葉という説があります。
他にも、ラテン語で「貝」を表す「Perna」が語源であるという説もあります。

ちなみに、真珠は古代ギリシアで「Maragarites(光の子)」と言われました。
マーガレット(Margaret (フランス語でマルグリット Marguerite))は真珠という意味ですし、花のマーガレットの語源もこちら。
「宝石の女王」と言われる真珠らしく、女性的な単語の語源になっています。

変わりどころで言えば、「マーガリン(Margarine)」 は、真珠色(Margarique)という意味のフランス語 から作られた言葉であると言われています。

2、真珠とクレオパトラ

真珠が最初に知られるようになったのは、紀元前3200年頃のエジプトと言われています。
ちなみに、日本は同じころ、中国から水稲耕作の技術が伝わったと言われています。縄文時代ですね。

エジプトの真珠に関するエピソードと言えば、エジプトの女王クレオパトラ

のエピソード。
クレオパトラは、ローマの将軍アントニウス

と、宴の豪華さを競う賭けを行いました。
彼女は、「私なら1回に1000万セステルティウス(今で言えば30億円以上)を費やすような贅沢な宴会を開くことができる」と主張したのです。

当日クレオパトラが催した宴は確かに豪華なものでしたが、とてもそれほどの金額がかかっているとは思えません。
アントニウスは、この賭けは自分の勝ちだと確信し、クレオパトラを詰ります。
すると、クレオパトラは召使に命じて、ビネガー(酢)の入った皿を持ってこさせました。
そして、耳につけていた世界最大の真珠のイヤリングの片方をはずし、酢の中に入れてしまったのです。
真珠が溶けた酢を、クレオパトラは一気に飲み干しました。
さらに、クレオパトラがもう片方の真珠も酢の中に入れようとした時、賭けの審判をしていた将軍、ルキウス・ブランクスがそれを制し、アントニウスに負けを宣告したのです。

当時の高品質な天然真珠は、1つで数十億円分の価値があったということになります。
実際、15世紀にダイヤモンドの「テーブル・カット」や「ローゼンツ・カット」など、輝きを引き出す研磨技術が確立する以前は、真珠が宝石の女王として君臨していました。

アメリカの鉱物学者、そしてティファニーの副社長でもあったジョージ・フレデリック・クンツ博士が「自然なままで、その完璧な美しさを誇る真珠は人類が最初に出会った宝石である」述べている通り、無加工で宝飾品として用いることができる唯一の宝石である真珠は、古来から珍重されたのです。

なお、中国では紀元前2300年頃、ペルシャで紀元前7世紀頃、ローマでは紀元前3世紀頃から真珠が用いられていたという記録があります。
日本からも、卑弥呼が中国の皇帝に対して真珠を献上した記録があります。

天然真珠の採取を行っていた世界最古の地域はアラビア地域、その中でもバーレーンが真珠採集の中心地でした。
バーレーンの真珠は古来からの地場産業で、今ではすっかり産油国のイメージが強いバーレーンは、元々は真珠の国として有名だったのです。

その後、バーレーンの真珠産業は、1930年代以降、日本の真珠養殖業の発展、そして世界恐慌の影響によって壊滅的な打撃を受けて急速に衰退しています。
今ではその名残が、「バーレーン真珠採取の道(Bahrain pearling trail)」 

という世界遺産として残されています。


3、「豚に真珠」は日本の諺?

「猫に小判」などと共に、「豚に真珠」は、「価値の分からない人に良いものを与えるな」という意味の諺です。
何となく日本の諺のように感じますが…実はこの諺、出身は日本ではありません。

その由来は新約聖書(マタイによる福音書・7章6節)のイエス・キリスト

の言葉です。

“神聖なものを犬に与えてはならない。また、真珠を豚に投げてはならない。恐らく彼らはそれを足で踏みつけ、向き直ってあなた方に噛みついてくるだろう”

これ。
実はイスラエル出身なんですね。


というわけで、今日は真珠に関する雑学でした。
ひとつでも、あ、そうなんだ!と思っていただけるものがあれば嬉しいです。
いずれ、宝飾品としての真珠の歴史についてもまとめていこうと思っています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


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