5.幼児教育の充実指導

私は僅かな違いでも、指導という言葉の上に充実という言葉をつけて置きました。
単に教育指導ではない。目的に基づくだけの指導ではない。それはまだまだこちらの話です。充実指導とは彼等において自己充実が出来ているかどうかというところに重きを置いて指導するのです。

一体、人の世話をするということは、大層な気苦労なものだそうです。 私はそんなしおらしいことに余り経験がありませんが、こっちの思う一ぱいの親切を通せば、たいていの場合、電球が切れてしまうのです。

そこで話のわかっている人は、向うの程度相当の所へ、程よくこちらをあわせて行きます。人を使うのは使われるのだということも、気の利いた奥さん方はご存 じの家政法則ですが、幼児を指導するにも同じで、こちらの目的の強さだけで指導したのでは、指導という形式があるだけに無理が起り易い。

決して押しつけているのではない、指導しているのだとおっしゃるけれども、その指導のもとはこちらについているから自然押しつけていることになる。

そこで、私が特に充実指導と申すのは、子供が自分の力で、充実したくても、自分だけでそれが出来ないでいるところを指導してやるという趣旨であります。

太郎が自己充実している。それ以上の ところまで、余計なおせっかいはしないのです。

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