夜のカフェで、ひとり思うこと 2024/01/19
20時、お洒落なカフェに来た。
カウンターの1人用の席だが、案外広く、ゆったりとくつろげる。席の前には一面の窓があり、窓の向こうでは、これから帰るのだろう人が、バス停に列をなしている。
その様子をちゃっかり観察できる、お得席に座れた。
自分1人で来るにはいささか洒落っ気が強いなあ、と、結構緊張している。
席に座ったがいいが、どうやって注文すればいいのかわからない。
どうやら、このカフェは席についてから注文するタイプらしい。
わざわざGoogle先生に聞いてしまった。
となりに人もいるし、お洒落カフェ初心者だとバレないよう、さっさと注文をしてすました顔で小説でも読もうと思い、メニューを開けたが逆さまだった。恥ずかしい。
ここの名物は、なんともお洒落なサイフォンから流れ出る、これまたお洒落なコーヒーらしい。だが、自分はこの時間にコーヒーを飲むとちっとも寝られなくなってしまうので、スパイスチャイを頼んだ。珈琲店と名乗っている以上、コーヒーを頼まなければいけない圧力を感じたが、気にしない。
我ながらお洒落なものを頼んだ。ちょっぴり照れくさくなる。
となりには、ニット帽を被った男性がいて、名物のお洒落サイフォンコーヒーを飲んでいる。もはや、ニット帽さえ洒落て見える。いや、ニット帽に罪はないのだけれど。
彼も、窓の向こうを見て、帰路につく人を観察しているようだ。図らずも同士だった。
チャイが届き、ほくほくした気持ちで写真を撮っていると、となりから観察されているような気がした。
「たかがチャイ一杯で、お洒落なインスタグラマーに勝てると思ってんのか!」と声が聞こえた。(気がした)
ってことは、自分は、人間観察をしているようで、実はされている方なのかもしれない。
となりの男性だけでなく、窓の向こうの、バス停に並んでいる人たちにも。
そう思い前を見ると、もう並んでいる人たちはいなくなっていた。どこかへ行くバスに乗っていったんだろう。
となりの彼は、スマホをいじっている。
そうか、こうやって人間観察をしたりスマホを見たりしてぼーっとする、ふわふわとした時間を楽しんでいるんだな。自分といっしょだ。
また前を見ると、なにかと目が合った。
それは、窓に映った自分だった。
自分は、ものすごくこっちを見てくる。(そりゃそうなんだけど)
普段、人間観察と言って、人を見ているようで、本当は人に映った自分を見ているのかもしれない。ただただ自分を観察していただけなのかもしれない。
そう思うと、人に嫌われないようにとしていた行動は、自分の理想を押し付けていただけだったんじゃないかと気づいた。私は自分に何を課していたんだろう。
ふと前を見ると、またバス停に人が並び始めている。
すると、次のバスがやってきて、自分にかまわずその人たちを連れ去って行った。
外ではこうやって、日常が流れている。
自分もさっきまで日常に流されていた。
でも今は、流されずに、もうちょっとだけここで観察していようと思う。
ふと気が楽になることもあるし、
チャイも美味しいから。
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