見出し画像

24/4/12(金) YouTuberでは笑えない側の人間という、ただそれだけ

「酒のツマミになる話」というテレビ番組で
面白い議論が行われていた。
霜降り明星の粗品さんが「YouTuberは芸人より面白くない」
という発言をし、
今売れっ子の千鳥の二人もそれについて意見を
述べるという、個人的に興味深い回だった。
https://mezamashi.media/article/15227882

僕は元々テレビ番組のディレクターだったので、
Youtuberが台頭し始めたときは、
気が気じゃなかった。と言うより嫌いだった。
そういう意味では粗品さんと同じ考えだったのかも知れない。
何が嫌いだったかと言うと、
企画と編集の素人っぽさが見てられなかった。
陽気な大学生が芸人の真似事をしているようにしか見えず、
こんなことでお金もらえるのかという、
僻みもあったと思う。
今でこそ、Youtuberのみなさんも、
編集に結構力を入れているが、
当時は、同ポジでカットを繋いだり、
ダラダラと長回しをしていたり、
音声も聞き取りづらく、
テレビ番組を真似たようで真似きれてないテロップなど、
ディレクターとしてはありえないような
完成度のモノが多かった。
(ただTVディレクターの資格というものはないので、
 自称プロでしかないのだが)
しかしYoutuberは人気をどんどん獲得していき、
再生数も何万回と回り始めていた。
僕としては、
ADの頃より怒られ殴られ、
長い時間をかけて培った
編集技術や、企画力や構成力やこだわりが、
実は多くの視聴者には全くどうでも良い要素でしかなく、
こんなに荒い作りの動画でも
喜んで見るんだな、というのが、
自分の努力と時間を
否定されているようで悔しかった。

10年かけて修行をし、
やっと自分の店を持てた寿司職人が、
握り方の動画を1日見て学んだだけの、
若者のお店に負けてしまうようなものかと思う。
自分の仕事が侵されることが怖くて、
認められなかったのだ。
今だったら、効率を考えれば、
そんなお店の形態も全然ありだし、
そこは市場の原理で自ずと変化し淘汰されていく
ものだと思う。
長く人気を博すお店を目指しても良いし、
短い期間で一気に稼いで、次の事業に移行する
ことだってありだ。

Youtuberたちのことも全く面白いと思えなかった。
プロの芸人さんたちを間近で見てきた僕としては、
あまりにも稚拙で、浅い芸としか思えなかった。
しかし、芸人さんたちが、
売れるために死にものぐるいで
積み重ねてきたものも、
こうもあっさり抜かれてしまうものかと、
というかこれも多くの視聴者には
伝わってなかったのかと
悲しい気持ちになった。

でもこれは一方的な逆恨みで、
僕の思い違いだったのだと今は思っている。
ただ新しいプラットフォームができただけ。
新しいビジネスが生まれてきただけ。
テレビしか娯楽がなかった時代から、
自分に合うものを見る時代になっただけ。
それだけのことだったんだと思っている。

現在多くの芸人さんやタレントさんも、
自分のチャンネルを持っている。
そしてかなりの再生回数を稼いでいる。
それをサポートしているスタッフの多くが、
一緒に仕事をしてきたテレビマンたちだ。
彼らのやってきたことは決して無駄ではなく、
その技術と能力は、
しっかりと視聴者の方々にも伝わっていたと
いうことを証明している。

一方で、Youtuberより芸人のほうが面白いという、
粗品さんの芸人至上主義の考え方は、
僕はなんとなく理解できる。
でもそれはどっちが上とか下という意味ではなく、
自分はそっち側ということなんだと思う。
知能、知識、経験、感情、感覚、いろいろな要素が絡み、
面白いと感じ笑うポイントは、本当に人それぞれだ。
お笑いの頂上決戦のようなM1ですら、
優勝者に対し賛否両論が巻き起こるくらいだ。
そして僕は、
Youtuberではなかなか笑えないが、
芸人では笑う側の人間という
ただそれだけのことだ。
Youtuberが好きな人たちを決して否定するものではない。

ちなみにそうは言いながらも、
僕も最近は民放はほぼ見ない。
NHKかABEMAかYoutubeばかりだ。
Youtubeは政治、社会、経済、歴史、科学、生物、
このあたりのいわゆる意識高い系、お勉強系と、
芸人、タレント関連のものばかりだ。
あんなに憎んでいたYoutube だが、
今は見ない日はない。
むしろこんな有益なコンテンツを、
無料で見させてもらって良いんですか!?
と日々動画を上げてくれている方々に
感謝している。
本当に素晴らしい時代になった。
そしていち早くその新しいプラットフォームを
使って自身のビジネスを打ち立て、
道を切り開いてきたYoutuberの方々に対しては
尊敬の念を持っている。
(調子良いこと言ってすみません。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?