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『映画クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛の勇者』感想(2008年12月19日記述)

※この記事は、過去に私のmixiで書いたレビューを転載したものです。記述内容や感想は当時のものになります。ご了承ください。

ネタバレ有りです。



 一言でいうと、ものすごく眠かったです。
 ここ数年は、毎年映画の宣伝を見て期待しては裏切られるの繰り返しでしたが、今作は特に酷かったです。
 いや、やりたいことはなんとなくわかるのですが、そのほぼすべてが空回りしてるといいますか…。
 おそらくやりたかったのは原点回帰
 『大人帝国』がヒットして「しまった」とき以来から感動インフレ&迷走している映画『クレしん』を一度リセットしたかったんじゃないかなぁと。
 おそらく本作を見て『ヘンダーランド』を思い出した人も多かったんじゃないかと。
(※註1:今作の監督である本郷みつる氏は、映画第1弾「アクション仮面VSハイグレ魔王」から4弾「ヘンダーランド」までを担当)
(※註2:念のために言っておきますが、私はいわゆるシリーズヒット作である『大人帝国』と『戦国』は、 「映画としては面白いと思うけど、クレヨンしんちゃんじゃないので好きじゃない」というスタンスです。)


 で、なにがどうつまらなかったかですが。
 私は子供向け映画に理屈を求めるほどヤボじゃないつもりですが、それでも「なぜ?」と思える唐突な設定が 山ほどでてきます。でも一番の問題は、いちいち「なぜ?」と思ったことが心の中でず~っとモヤモヤ残るくらい話に集中できないというか、話に惹きつけられない。魅力がない
 小理屈なんて、お話がおもしろければ正直どーでもいいんです。特に『クレしん』映画の場合は。

 クレしん映画に求められるものは「おバカとアクション、そして隠し味に人情(家族愛)」って感じでしょうから、多少お話に難があっても演出的に惹きつけてくれればたいした問題じゃないんですけどね。

 冒頭の竜が暴れ回るシーンとかはちょっと迫力があったんですが、それ以外のアクションシーンはアクション的にもおバカ的にもいまいちで、どうも入り込めない。
 特に空中戦のシーンは、あらためて「クレしん」の絵と3DCGは馴染まないなぁというしょんぼり感と、ほとんど笑えるところがない(飛行機の穴から尻が見えるところくらい?)ガッカリ感の、2倍やるせない。

 あとアクションシーンが全体的に、長くてくどい。
 派手なアクションを盛り込みたかったのはわかりますが、もう少しその時間を状況説明や会話ギャグにまわした方が、お話しに入りやすかったと思います。

 そして一番気になったのは、キャラの扱いがすごくぞんざいだと言うところ。
 私がクレしんアニメ(テレビにも映画にも)のよさと考えてるものの一つが、家族の何気ない会話に感じる雰囲気なのですが、今作のみさえさんはほとんど条件反射のように、型にはまった怒りかたをするし、ひろしもどうも
上っ面の言葉しか感じられない。
 これだと今までの映画にあったような、「そんな仲のいい家族が危機に陥って結束を固める」という部分が 説得力がなくなってしまってテンションが上がらんです。
 しかも、一番肝心な今回のしんのすけのパートナーであるマタとの信頼関係を築く過程がほぼゼロなので、 プリリンに騙されてしんのすけマタを封印してしまったことを酷く責めるシーンを見ても怒りしか湧いてこない。
 しんのすけからみれば、マタもプリリン同様に「信用するに足りるものがなかった」のだから。

 入り込めないのはキャラだけじゃなく、世界観もぞんざいだったからじゃないかなぁ。
 ドン・クラーイという世界がどういうものかという表現がほとんどないので、なぜ白黒であり夜なのか、なぜマタは道化師っぽい動きをするのか、なぜマタの父はカブトムシなのか、などなど、題材の統一感も感じられず、上記のように退屈も相まって、変なところがひっかかって仕方がないし、どうも入り込めない。
 『ヘンダーランド』の時のように「ここはこういう世界なの」って素直に納得できないといいますか。

 そんなこんなで、ジェットコースター的なおバカムービーとしても、ハートウォーミングな人情ドラマとしてもノルことができず、ひたすら退屈と戦うのみ。
 おそらくクレしん映画で初めて「つまらなくてDVDを一時停止する」ことをしました。

 ただ、一つだけ評価できるのは、『大人帝国』以降延々と続いた、マニアックである意味複雑なノリをリセットしてくれたことかなぁ。
 本作中でしんちゃんが自らを「5歳」だと連呼するシーンは、見方によっては今までの映画での「どう考えても5歳児以上のスペックを発揮するしんちゃん」へのアンチテーゼにも見えなくもないです。

 要するに、本作は評価できないけど、本作をきっかけに今後の作品がいい方向に進んでいくといいなぁと。
 …結局誉めてないじゃん('A`)


次回作への架け橋という意味合いを込めて、星ひとつ追加。
(※註:mixiのレビューには1~5の星評価があり、今作は星2入れてました)

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