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【記事和訳】フィリックス”耐えた分だけいいことがやってきます”(GQ 23年12月号)

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2023 GQKOREA MEN OF THE YEAR – FELIX
フィリックスが向き合うことをいとわないもの

GQ 今日のカメレオンとの撮影は怖くなかったですか?
FL 怖くなかったです。オーストラリアでキャンプをよくしていたんです。キャンプをしているとカンガルーがすっと通り過ぎていくこともあるし、コアラが木の上に座っていることもあるんです。実はカメレオンはオーストラリアではあまり見ないけど、むしろそれが良かったです。あまり見たことないから。
GQ あのカメレオンはイエメンから来たそうです。
FL なでてあげたら、いい子にしてました。カメレオンと一緒に撮影したことが光栄に思えました。動物はみんなかわいいし、大切です。
GQ  オーストラリアの Coogee Beachを旅行地にお勧めしてましたね 。フィリックスさんにとってどんな思い出がある場所なんですか?
FL 子供のころほんとによく行ってたんです。家族や友達の家族、いつも一緒にレストランでおいしいご飯をたべたり、海を見ながらぼーっとしたり、泳いだり。そんな思い出がとてもたくさんあります。それから思いだしたんですが、メンバーたちとも行きました。ツアーのとき。みんなで一緒においしいもの食べて散歩をした絵のような風景が、とても美しく記憶に残っていて、それで教えてあげたかったんです。ヒーリングを存分にできるところということで、お勧めしたいです。

GQ 以前エリック・ナムの<デバクショー>というコンテンツで子供のころを語る歌は何かという質問に、なんて答えたか覚えてます?
FL  Imagine Dragons? そうですよね? 実はあの時なんて答えたか覚えてないんですけど、でも子供の時僕がImagine Dragonsというバンドの曲をよく聞いてました。
GQ  そうです。<Amsterdam>という曲をあげてました。
FL  おお、そうです。
GQ  理由は出てなかったので、気になってたんです。<Amsterdam>とフィリックスの子供時代はどんなつながりがありますか?
FL  高校生の時だったんです。高校に入学した時、学校がちょっと遠かったんです。1時間20分くらいかかったかな?汽車に乗って、次にバスにのらなくちゃならなかったんだけど、とにかくその長い時間、たくさん曲を探して聞きました。その中でも、朝早く汽車に乗って窓を眺めてぼーっとして、ぼーっとしながら<Amsterdam>って曲をたくさん聞きました。学校に行く時も帰ってくるときも、日が昇るときも沈むときもです。そんな思い出があります。すこしつらかった時や、ちょっと幸せだった時、じゃなかったらちょっと疲れていた時、いつもこの曲を聴きながら「がんばろう」「今日も一日、いい日にしよう」っていうマインドを、この曲のおかげでそう思えるようになりました。

GQ  聞いてみます? 明るくて力がありますね。
FL  リズムもいいし、サビの歌詞もいいんです。
GQ  そうですね。「Time Will Come」という歌詞が心に響いたと言ってましたね?
FL  はい。「Your Time Will Come If You Wait For It」
GQ  フィリックス式に翻訳するならどういう意味ですか?
FL Your Time Will Come If You Wait For It···, それから最後に「It’s Hard, Believe Me I’ve Tried」という歌詞が出てきますが、その最後のほう「It’s Hard, Believe Me I’ve Tried」が「つらいのはわかる。僕も経験したことがあるから」という表現で、そこまで聞いたときに共感できました。自分だけがつらいわけじゃないんだな。自分だけじゃない。自分だけさみしいわけじゃない。むしろ、たとえば自分の友達や家族、誰でもつらいことはあるだろうから、みんなつらくなかったらいいのにって思いました。だから周りの人たちのつらさを、少しでも理解して、少しでも聞いてあげようとポジティブなマインドに変わったと思います。この歌のおかげでつらさを少し耐えられたし、耐えた分だけいいことがやってくるんだと思えます。誰にでもそうやって、また。バランスを見つけた気分になります。
GQ  バランス。
FL There Is Bad, There Is Good. There Is Evil, There Is Good. There Is Dark, There Is Light. こういうバランスがあるから。それをいつも考えています。

GQ  フィリックスがきっかけで聞いてみてびっくりした曲があるんです。<Deep End>。
FL  あ、そうですか?
GQ  フィリックスさんが初めて単独で作詞、作曲家のシム・ウンジさんと共同作曲した歌です。この歌を聞くと涙を流す人もいるって知ってますよね?
FL 
いいえ、知りませんでした。
GQ なのに、なんでファンたちにはこの歌をたくさん聞かないで、悲しくなるから、って言ったんですか?
FL 冗談まじりにたくさん聞いたら泣くこともあるかもって言ったんですけど、ほんとに泣いたんだったらとても申し訳ない気持ちです。 
GQ  この歌を作ってたときのフィリックスさんの感情はどうでしたか?
FL  あの頃を思い出すと憂鬱になる、とかではなくて、憂鬱だった時期をよく覚えているから、歌詞や歌として表現したんです。あの頃よりは少し成熟したんだけど、だからあの時傷ついた気持ちをもう一度思い出しても、もう大きな意味はないから。もう自分に影響はないから。ひとまずたくさんの方が共感できる歌を作ってみたかったんです。

GQ どうして作ることになったんですか?
FL  メンバーたちが作詞作曲をがんばっていて、僕も参加しながら少しずつ経験していたんですが「自分だけの歌も一度作ってみようかな」って思ったんです。聞いたときに楽で自然だったらいいなと思って、だから曲を無理には作らないでゆっくり自分だけの時間で作りました。それでも思ったより早く出来上がったと思います。
GQ
 どのくらいですか?
FL  一週間。
GQ  すぐにできたんですね。
FL 歌詞は2,3日で書いたんですが、曲の全体を作るのには一週間くらいかかりました。
GQ  言葉通り率直で、誰もが共感できると思いますが、実話なのかフィクションなのかは気になりませんね。どんなことを考えていたらこんな歌詞を書くんだろう? それが気になりました。どうやってこんな歌詞を書いたの?
FL  子供の時オーストラリアでとても感情が深い、エモーショナルな「F」でした。今も「F」だけど(笑)。それで傷つくと深く傷つほうでした。それに子供のとき、けんかして友達じゃなくなっちゃったりとか、違う学校に進学して離れてしまったり、忙しくて友達に会えなくなったりということがあるじゃないですか。レファレンスとして見た映画があるんですが…、ちょっとまって、探してみますね。 <Bridge To Terabithia>です。
GQ 『テラビシアにかける橋』という名前で2007年に公開されてますね
FL   主人公が新しい友達に会ってほんとに親友になるんだけど、友達が死んじゃうんです。悲しい内容です。ドラマもいいんですが(回数が多いドラマよりは)終わりを見たくって映画のほうをよくみます。

GQ  <Deep End>が入ったアルバムの全25曲中、この曲だけ、音律より歌詞が先にでます。これを何と言ったらいいんでしょう。覇気が感じられるというか。
FL  あ、そうですか?(笑) 覇気がある!
GQ  フィリックスさんのアイディアですか?
FL  そうです。始まりは音なしで、話すように、もちろん話すトーンにもメロディーがあるけど、ほんとうに普通に相手に話すようにしたかったんです。全体的にピアノで表現するのがこの曲にぴったりだと思って、シム・ウンジさん(作曲)にピアノの演奏をお願いしました。タイトルが<Deep End>じゃないですか。僕がこれまで楽しい歌をたくさんやってきたから、今回は全然違うようにして見たかったんです。海の底まで表現したかったんです。海を泳いでいたら遠くまでいってしまって誰もいない。だけど海の中を見てもなにもないじゃないですか。見れば見るほど、深くなるほど暗くなるでしょう。それくらい心が<Deep End>くらい落ちている、そういう表現をしたかったんです。

GQ  どのフレーズを一番最初に書いたんですか?
FL  How’ve You Been? I Guess You’re Fine.
GQ  最初の歌詞が曲の初めになったんですね。
FL  はい、友達に話すみたいに。誰でも、いい時間を過ごしていようと、そうではなく別れていたとしても、また会うことになった時は、「Hey, How’ve You Been?」って挨拶するじゃないですか。「元気だった?」って。だからです。
GQ  How Have You Been? 元気だった?
FL  そうです。ありがとうございます。みんなそれぞれ自分の幸せは違うじゃないですか。たとえば甘いものを食べたら幸せな人もいるし、塩辛いものを食べたら幸せになる人もいるし、自分だけのテイストが違うんだから、みんな自分だけの幸せを見つけたらいいなと思います。自分がしたいことをゆっくり見つけたらいいなと。見つけたらお祝いしてあげたいし、そのままうまくヒーリングしてくれたらいいなと思うって言いたいです。
GQ  
聞かずにはいられないですね。フィリックスさんが見つけたい幸せはなんですか?
FL
  僕はステイが熱心に見守ってくれて、愛をたくさんくれるので、そういう幸せをもう見つけたんですけど、だからメンバーたちやステイと一緒にいると幸せですが、でも「一人でいるときは自分がどうやったら幸せになるんだろう?」って思うときがあるんです。だから僕も探してます。一生懸命。

*カメレオンは専門家の管理下で安全に撮影しました。