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明るい未来への閃光〜プロレスリングノアの矢野安崇

行ってきましたプロレスリングノアの8.5後楽園ホール大会。旗揚げ記念興行として翌日の8.6まで含めた2連戦興行(今年で旗揚げから21年目)。片方だけの参加でしたが、とても面白い興行でした。

多くのプロレスファンがご存知の通り、ノアの21年間は「良い景色」よりも「悪い景色」「見たくもない景色」の方が多かったかもしれません。三沢光晴逝去後からの失速と、その後の選手離脱や親会社の変更。そこから今は清宮海斗らの躍動(丸藤正道や杉浦貴らベテランが壁となって対抗。そこに武藤敬司、桜庭和志、藤田和之が混ざり、常にファンに新しい景色を提供しています。

そんなノアが「次の21年を迎える間」。そこで間違いなく柱になるのが矢野安崇です。

2020年10月にデビューしたjrヘビーの若手。2000年8月10日生まれの20歳。ちなみに私が人生で初めてデビュー戦を観戦した選手です。

この日の矢野は第3試合で小川良成とのシングルマッチに臨みました。小川良成といえばノアのみならず日本界に歴史を刻む匠の達人。その小川相手に矢野がどうやって自分を刻み込むか?試合前はそこに注目していた私でしたが、実際の試合はその予想を大きく超える内容でした。

ベーシックな腕の取り合いやロープワークで矢野の力量を確かめる小川。小川はそこでいくつかのテストを混ぜてきました。例えばキーロック。小川が矢野にキーロックを仕掛ける。すると矢野は小川の両足を掴みフォールで返す。それを小川が肩を上げて再びキーロック。今度は矢野が自身の体を後ろ周りで回転させて小川をフォール。これから肩を上げた小川は、グランドで回転しながら矢野をリング中央に引きずり込むと3度目のキーロック。ロープに逃げられない矢野は、今度は縦回転で小川のキーロックを外す。

単なるキーロックを巡る攻防ですが、矢野は3回とも異なる返し方で小川のテストに解答していきました。デビュー1年にも満たない選手の動きとは思えない技術です。

しかしリング上の攻防だけがプロレスではありません。小川は次に矢野を連続して場外に放り投げます。矢野の対応力を見ること、一旦試合の流れをリセットし、自分でそれを掴む。2つのことを両立させました。

一度流れを手放した矢野ですが、ドロップキックやフィッシャーマンズスープレックス、フライングボディアタックなどの躍動感溢れる動きで反撃を試みます。しかしこれらの技を受けきった小川が矢野にバックドロップ。これは矢野も返せず、矢野は小川に敗れました。

大ベテランと新人のシングルマッチといえば「若手は勢い」「ベテランは技術」という図式になりがちです。しかし矢野はしっかりと技術で小川に対抗しようとしました。もちろんまだデビュー1年目。矢野が小川に現時点でかなうはずはありません。しかしキーロックを巡る攻防だけでしっかりと「矢野は金を取れる選手」であったと思います。

まさに「末恐ろしい」「大器の片鱗」という言葉がこれ以上なくハマる矢野安崇。今から21年間で彼はきっとノアをさらに輝かせてくれる選手になるでしょう。他団体のファンの方も是非矢野安貴という選手のことを是非注目してみてください!

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