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2.15LIMITBREAK旗揚げ〜ノアを取り戻すとは?

行ってきましたプロレスリングノアのLIMITBREAK旗揚げ大会。ノアの大会なのに「旗揚げ大会」と書いてしまいましたが、LIMITBREAKはノアの主催大会ではないのでこの表現でもよいのでしょう。実際公式SNSでもLIMITBREAK旗揚げ戦という発信だったので。

まずは大会全体の感想から。全体的に「選手それぞれの重厚さ」を伝える試合が多かったと思います。「旗揚げ戦の第1試合はその団体の色を伝える」と昔から言われているように、それはTAKAみちのくVS Hi69のマッチアップからもしっかり伝わりました。jrの体格の二人でしたが、テクニカルな色は出しつつも序盤からバチバチした打撃を繰り出し。切り返しやスピードよりも重さを観客に見せ付けました。

第2試合の石川修司VS大和田侑は石川修司という「存在自体が重い選手」が躍動。第3試合は重さのある関本大介が真逆である桜庭和志を相手に静かな攻防からも終盤でのアルゼンチンバックブリーカーで重厚さを伝えれば。第4試合は田中将斗が序盤から本部席の机を持ち出してモハメド・ヨネを痛めつける。ここでこれまでと異なるハードな試合を見せたことで、大会の雰囲気もぐっと締まりました。

セミファイナルは藤田と真壁の再会マッチ。ヘビー級らしい体の分厚さでのぶつかり合いを両者がみせれば。齋藤彰俊と本間朋晃も負けじとそれについていく。

そしてメインイベント。潮崎豪&小峠篤司VS秋山準&永田裕志。ここで誰よりも限界を越えようとしたのは小峠でした。ヘビー級戦士の中で一人jrの選手が混ざる。通常であれば動きの速さや華麗さで違いを出すところ。しかしそれは行わず。小峠はあえて耐久力勝負に持ち込んだかのように。秋山にどんどん挑んでいきました。最終的に玉砕した小峠でしたが、そこにはある種の爽快感もあり。チームノアとして勝ち星に恵まれなかった大会であっても後味の悪さはありませんでした。

ではなぜそうした「後味の悪さ」がなかったのか?「プロレスは負けから始まる」「敗北から立ち上がる姿もプロレスの面白さだから」という格言によるためか?もちろんそれもありますが、ぼくはそれだけだとは思いません。

「ノアを取り戻す」。これは潮崎がチームノアを旗揚げした時に発した言葉です。今回ぼくは自分なりにこの言葉と、LIMITBREAKの大会の意味について考えてみました。

ぼくが思う「取り戻すノア」そしてLIMITBREAKという大会の意味。それは「みんなで上に上がる」「中心選手がみんなを引っ張り上げる」という姿勢です。

かつて潮崎豪は晩年の三沢光晴に次代のエースとしての活躍を見込まれ。彼と共に試合を行っていました。あの試合に至る過程でも潮崎は三沢とタッグを組み。順調にステップアップをしてきました。あのときの三沢はどちらかというと潮崎のサポートに回ることが多く。自分が前面に立たずに潮崎を引っ張ろうとしていたとぼくは思います。タッグパートナーを光らせて、その上で自分も活きる。潮崎が最後に接した頃の三沢はそんな立ち位置をとっていました。

「プロレス団体は選手みんなで上がろうとしちゃだめだ」「一人が突き抜ければ周りがついてくる」。そんな言葉もプロレス界には存在します。しかし一方で「波を乗るのも大変だが波を作る人がいないとそもそもが成立しない」とう言葉もあります。どちらも真実だと思います。しかし潮崎が体感したノアは「最前線にいる選手がみんなを引っ張るノア」だっと思います。

この日の潮崎は従来の力強さを出すものの。試合中は小峠に任せ。小峠を鼓舞するシーンが多かったです。潮崎が自分の完全復活の場としてLIMITBREAKという大会を捉えていたのならば。そんな姿勢はとらないでしよう。つまり潮崎は「自分が活きる」ではなく。「自分を活かして相手も光らせる」。そんな目的をもってLIMITBREAKに臨んだのではないでしょうか?それは三沢が見せた最後の後ろ姿であり。彼がそうして引き上げてもらった経験があるからこそ。それを他の選手にも還元したい。

「一人の選手が突き抜けたほうが団体は潤う」という意見も間違ってはいないでしょう。ただし他の団体ではありますが、「自分を活かして相手を光らせる」という姿勢で他の選手を引っ張り団体に勢いをもたらした選手。これは直近でも存在します。そう、かつての盟友といえばおわかりでしょう。

もちろんここで書いた潮崎の姿勢。それは全てぼくの想像でしかありません。でもこの日の試合のチームノアの面々はみな潮崎に近い思想だったのではないでしょうか?自らの勝利にこそ至らなくても。徹底して相手の攻撃を受けきり。敗北も前のめりに近い。全力を出し切っているからこそ敗北にネガティブなイメージがない。更に言えば「話題性は低い」という部分があれど「だからこそトラッシュトーク的な要素が薄く」。勝負論として爽快感もある。

満員のLIMITBREAK旗揚げ大会は大盛況でした。この熱気を次に繋げることは簡単ではないかもしれません。しかしチームノアの面々が体を張って戦う姿を見せれば?そこから生まれる熱気を求める観客はきっと増えるでしょう!

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