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潮崎豪の300分6秒 第三章.6.14「これで負けたけどさ、俺次に進むよ」 VS齋藤彰俊〜29分22秒

※トップ画像はTwitterのフォローをさせて頂いている@TACK59089236さんの描いた絵です。

序章〜ノアはお前だよ〜

第一章.1.4「新しい景色は俺にしか創れない」 VS清宮海斗〜27分42秒

第二章.3.29「潮崎選手は漢です」 VS藤田和之〜57分47秒

第三章.6.14「これで負けたけどさ、俺次に進むよ」 VS齋藤彰俊〜29分22秒

第四章.8.5「 I am real noah」 VS丸藤正道〜30分56秒

第五章.8.10「正真正銘1番強いやつを決めようぜ!」 VS拳王〜60分00秒

第六章.11.22「出戻りチャンピオン!」VS中嶋勝彦〜42分35秒


第七章.12.6「I am noahは俺に勝ってから言え!」VS杉浦貴51分44秒

終章.すべてを受け止めて〜I am noah


第三章.6.14「これで負けたけどさ、俺次に進むよ」 VS齋藤彰俊〜29分22秒


「神は乗り越えれる人にしか試練を与えない」という言葉がある。これはとても残酷な言葉だ。その人が試練を欲したわけではない。それなのに「神の見えざる手」によって試練を与えられる。「試練を与えられた人」がそれを乗り越えるために必要なこととは?。「寄り添うこと」「ともに歩むこと」これらもそうだが、もう一つ「相手の想いを正面受けとめる」も周りの人が出来ることなのではないか?

無観客配信試合を継続していたノアは、グローバルタッグリーグ戦も同様の形で開催することとなった。潮崎豪は中嶋勝彦と、齋藤彰俊は井上雅央とタッグを組み、リーグ戦初戦で激突した。試合は齋藤が潮崎からフォールを奪う金星となった。

直接的に齋藤が潮崎のGHCヘビーに挑戦したのはこうした経緯があったからである。しかし根本には今の潮崎なら。ノアを背負う覚悟を決めた潮崎なら。己の抱える感情をぶつけることが出来るのでは?と考えたからかもしれない。あの日から11年目の6.14。例年であれば盛大に催される試合だったはずだか、今年は無観客配信試合。無観客だからこそ二人の男の決闘としての趣きを感じることができた。

タイトル戦線から遠ざかっていた齋藤だが、この日は全身全霊をかけて潮崎に襲いかかった。序盤の右腕殺し、その後は投げ技を多用し潮崎をひたすら攻め続ける。ジャーマンスープレックスにパワーボム。持ち前のパワーを活かして潮崎にダメージを与える。

潮崎はこれらの攻撃を耐え抜き、豪腕ラリアットで反撃を試みる。しかし齋藤もその攻撃を耐える我慢比べのような展開となる。終盤試合が大きく動く。齋藤がスイクルデスを決め、さらに盟友バイソンスミスのアイアンクロースラムを炸裂。そして遂に急角度式バックドロップを繰り出す。

これらの攻撃、いわば齋藤の想いを潮崎は全て受け止めた。その上で潮崎が放ったのは左右のワンツーエルボー、そしてローリングエルボー。そのフォームはまごうことなき三沢そのものだった。そこから更にはエメラルドフロウジョン。潮崎はここでフォールにはいかず、齋藤を立ち上がられせてから豪腕ラリアット。これで齋藤の意識を断ち、潮崎が勝利を収めた。

齋藤の持てる力、そして想い。それらをすべて正面から潮崎は受け止めた。そしてファンの望む三沢への想いを背負った上で、最後は己の右腕で齋藤を介錯した。齋藤の抱える荷物を軽くすることは誰にもできない。しかし正面からそれを受け止めれば。齋藤の試合後の言葉からも、何か一つの区切りができたのかもしれない。


緑を背負い、齋藤の想いを乗り越えた潮崎。みんなが待ち望んでいたエース潮崎が誕生しそうな機運が高まった6月。しかし有観客興行開催となった7月。潮崎が真のエースを名乗るには彼の存在を超える必要があった…。

続く

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