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N-1 VICTORY2022【DAY7】中嶋勝彦VS小島聡〜己のスタイルを貫いた両者〜

※トップ画像はWRESTLE UNIVERSEのキャプチャです。

プロレスリング・ノアのN-1 VICTORYもDAY7をまで終了。いよいよブロック優勝争いも絞られてきました。DAY7の私的注目カードは中嶋勝彦VS小島聡です。プロレスにおいて痛みや戦いとしてのリアルさを研ぎ澄ませたスタイルの中嶋。一方プロレスのもう一つの魅力である相手の攻撃を全て受けきった上で勝つ。ロマンあるスタイルでグランドスラム(IWGP・三冠・GHC
の戴冠)を達成した小島聡。異なるスタイル同士の選手が戦ったときにどんな化学反応が起こるのか?直近の事例では拳王VS潮崎豪の一戦が「両者はスタイルを入れ替えて臨んだ試合」でした。しかし中嶋VS小島は「己のスタイルを貫き通した試合」でした。

中嶋は徹底して鋭い打撃を放ち。相手の攻撃を完全に受けきることはせず致命傷を避けて己の反撃に繋げる。小島はその中嶋の打撃をひたすら受けきりました。小島は受けきることで自分の頑健さを。中嶋は相手を痛めつける攻撃自分の冷徹さを。双方が自分の領域を最大限に活かし。それが相乗効果を産み観客に試合としての凄みを伝えていました。

特に試合終盤はそれがヒートアップしていました。リング中央で小島がエルボー、中嶋がキックの打撃戦。徐々に中嶋が小島を押し始めるも、小島は中嶋から一歩も引きません。一旦ダウンをしても上半身を起こし。追撃する中嶋の攻撃を胸を張って耐えきろうとします。中嶋はヴァーティカル・スパイクを狙い小島を引き起こすも小島はそれを垂直落下式のブレーンバスターで切り返す。好機とみるや小島はウエスタン・ラリアットを発動。中嶋がそれをキックで迎撃。しかし小島は折れず再度ウエスタン・ラリアットを狙い剛腕を振りかざします。これも中嶋は小島の右腕にキックを狙い撃ちします。このあたりは小島の「俺はそんなもんじゃ折れねえぞ!」というプライドが感じられました。その小島を折るには相手を粉砕する攻撃が必要です。その意味で中嶋がここから選んだ選択肢は壮絶でした。奥の手のダイヤモンドボム→頭部へのハイキック→必殺のヴァーティカル・スパイク。一つ一つがフィニュッシュホールドでもある技を全て繰り出し。中嶋は小島をリングに沈めました。

リーグ戦は「勝敗が自分のその後に大きく影響する状況」です。結果を優先すれば受け切るスタイルは不利かもしれません。しかし相手の攻撃を受け切るというスタイルを曲げなかった小島。その小島を徹底的に破壊することで己の強さを伝えた中嶋。本気で受けた小島と本気で潰そうとした中嶋。お互いのスタイルを曲げなかったからこそ誕生した名勝負。それが中嶋VS小島だったと私は感じました。


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