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潮崎豪の300分6秒 第六章.11.22「出戻りチャンピオン!」VS中嶋勝彦〜42分35秒

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※トップ画像はTwitterのフォローをさせて頂いている@TACK59089236さんの描いた絵です。

序章〜ノアはお前だよ〜

第一章.1.4「新しい景色は俺にしか創れない」 VS清宮海斗〜27分42秒

第二章.3.29「潮崎選手は漢です」 VS藤田和之〜57分47秒

第三章.6.14「これで負けたけどさ、俺次に進むよ」 VS齋藤彰俊〜29分22秒

第四章.8.5「 I am real noah」 VS丸藤正道〜30分56秒

第五章.8.10「正真正銘1番強いやつを決めようぜ!」 VS拳王〜60分00秒

第六章.11.22「出戻りチャンピオン!」VS中嶋勝彦〜42分35秒

第七章.12.6「I am noahは俺に勝ってから言え!」VS杉浦貴51分44秒

終章.すべてを受け止めて〜I am noah

第六章.11.22「出戻りチャンピオン!」VS中嶋勝彦〜42分35秒


「出戻りのお前がI am noah?笑わせんな!」。潮崎豪にとっての禁句である言葉をここまでストレートに発した男。それは中嶋勝彦が初めてかもしれない。2016年にノアに入団。その後鈴木軍を撃退し、2017年にエースの座を手中に収めかけた中嶋。しかし彼はエースに君臨することは出来なかった。いや、時代の巡り合わせが、彼を選ばなかったという方が適切かもしれない。もしあのときのノアに今のようなプロモーション力があったならば…。もし「今のような潮崎」がライバルとして中嶋の前に立っていたら…


時は流れ2020年。時代が潮崎をノアのエースに選びかけたそのとき。中嶋は潮崎に「出戻りチャンプ」という刺激的な言葉でNOを突きつけた。8.30に潮崎に決別のヴァーチカルスパイクを放った後。中嶋はその勢いのままN-1で決勝に進出。決勝で前GHCヘビー級王者の清宮に完勝し、中嶋の言葉で言えば「挑戦を受けてやる」宣言で、ついに潮崎との直接対決が決まった。


逆境の中でノアを救った中嶋でも成し得なかった絶対エース。その称号を「出戻りの」潮崎が得るなんてふざけるな!お前みたいな奴は「破壊する」。前哨戦から激しくぶつかった中嶋。特に潮崎の肩を徹底的に破壊し、潮崎にプレッシャーを与え続けた。また「今のノアを壊す」という言葉は「出戻りの奴がエース?なんでお前らファンはそんなこと許せるんだよ!」「俺は許せないんだよ!」「だからそんな空気は全部壊してやる」というニュアンスも込められていたかもしれない。


迎えた11.22横浜武道館決戦。「満員の観客の静寂」という特殊な状況で、序盤から激しく両者の打撃音が響く。潮崎は代名詞のチョップ。中嶋は必殺のキック。お互いがお互いの技を正面から受け続ける消耗戦。序盤に潮崎が断崖式キャプチュードを放てば、中嶋も中盤に潮崎の意識を断つかのようなハイキックを打ち込む。さらにヴァーチカルスパイクでもフォールを奪えなかった中嶋はダイヤモンドボムの体勢へ。潮崎はこれをスリーパースープレックスで切り返し反撃に出る。豪腕ラリアット、そしてムーンサルトプレスなどの大技を叩き込むが、中嶋はまるでこれまでの潮崎の如く、攻撃を受け止めてフォールを許さない。中嶋がこれまでの自分を超えた闘志を見せるも、最後は潮崎の右腕が唸りをあげる。ショートレンジの豪腕ラリアットで中嶋をダウンさせ、倒れ込むかのようなフォールで3カウントを決めたのだった。


試合後にお互いのわだかまりが無くなったようなシーンは無かった。しかしそれはこれからも二人の戦いが続くということを意味している。時代は一人で創ることができない。対角に立ってぶつかる相手がいるからこそ時代が築かれ、そこに絶対エースが生まれる。潮崎と中嶋の物語はこれからも続いてゆく。


そして…。かつて時代を創るために「潮崎というライバル」を渇望した。潮崎のノア離脱に激怒した。ついにあの男が。最強の男が宣戦布告を行った。



続く

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