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1.8プロレスリング・ノア〜ジェイク・リーの見せた幅の広さ〜

※画像はWRESTLE UNIVERSEのキャプチャーです。

さて。2023年ノア記事の初回はジェイク・リーのノアマット初上陸試合です。1.1の武道館でノアのリングに登場し、ジャック・モリスと共闘を示唆したジェイク。その日のバックステージではノアの期待の星である稲村愛輝がジェイク討伐に名乗りを上げて。1.8後楽園ホールでのメインで両者の激突となりました。ちなみにこの日は昼夜興行で、昼が稲村愛輝とのシングルマッチ。夜がジャック・モリスと組んで清宮海斗&稲村愛輝との試合でした。

試合前に私が注目していたのは「ジェイクのキャラ付け」です。流石にトータル・イクリプス以前のキャラに戻ることはないとしても。20年〜22年の間で微妙にマイナーチェンジをしていた彼がどのキャラでノアに上がるのか?それとも別のキャラになるのか?

あくまで私の感想ですが、今回のジェイクは21年あたりのキャラに近い形だったように思います。試合中突如高笑いを発するなど不気味さを持つ状態ですね。21年の宮原健斗との三冠戦(60分フルタイムドロー)が近いイメージでした。そして結論から言えばこのジェイクのキャラ(世界観)に稲村も清宮も飲まれた感があります。

稲村といえば「観客の想像する試合を内容2割増しで実践できる」という素晴らしい才能の持ち主です。しかし今回彼はそれをあまり発揮できませんでした。それは「ジェイクの世界を崩せなかったこと」にあると私は感じました。稲村とのシングルでジェイクは稲村の突撃ファイトを受けつつ。要所の反撃時では先程述べた怪異性を観客に伝えるという流れ。単に体のぶつかり合いや技の出し合いであれば「どっちが凄かったか?」で観客は判断します。しかしそこに今回のような怪異性が加わると「技以外の何か」という価値観が生まれ、ぶつかり合いだけで優劣をつけることができなくなります。稲村が突撃してもそれを受けたジェイクが不気味な高笑いすれば「あれ?効いてない?」と錯覚します。誤解のないように言えば、ジェイクが逃げているわけではありません。サイズを見ても試合を見てもジェイクが稲村に完璧に当たり負けしたシーンは少ないです。

これまで稲村が敗北しても自分の良さを観客に伝えられたのは、シンプルにぶつかり合いを挑んでくる対戦相手が多かった。そんな要素があったのかもしれません。また相手が特異なキャラであってもサイズでは無効化できる。今回ジェイクは「俺はサイズだけの選手じゃないぞ」といった点を観客に伝えたかったのかもしれません。稲村とぶつかり合いをしても自分は負けないがそれでは自分が活きない。全く同じ土俵にはのらない。自分の幅を見せる。そんな印象を私は受けました。夜の部の清宮はジェイクとあまり絡みはありませんでした。しかしそれでも直線的に挑む清宮をうまくいなしたジェイクの上手さは光りました。

このあたりをもっと掘り下げると、いわゆる「眉間のシワ問題」に触れねばなりません。

この動画でジェイクは清宮に対して「王者が眉間のシワ寄せてたら子どもが逃げちゃうよ?」と発言しています。これは清宮の姿勢…悲壮感(ある意味ノアのエースの宿命)を持つエース…。これをジェイクが客観的に見て疑問に思ったから。はたまたジェイクのライバルであるあの男との比較か?など妄想が広がる発言でした。1.8の試合を終えて改めて「眉間のシワ」という言葉の意味を考えると。それは「清宮が直線ファイトに偏っている」という意図も含まれていたのかもしれません。

例えば過去の全日でジェイクが試合中に怪異性を表現したら?宮原であれば一旦場外におりて試合をクールダウンさせる。もしくはレフェリー和田京平へ言いがかりをつけて、二人で言い争いをする。青柳優馬であれば相手をおちょくるスタイルをみせる。つまりジェイクの世界観を別のアプローチで破壊しようとします。試合の流れを技以外で制御する力。それは眉間にシワをよせて突っ込んできたらできないよ?ジェイクの発言からそんな妄想もできます。

もちろん世の中には「眉間にシワを寄せても俺が動けば試合の流れは勝手についてくる」といった2020年潮崎豪というイレギュラーもいるので、一概に眉間のシワが悪とはいえません。ただ清宮と稲村がジェイクの作った試合の世界観を崩せなかったことは事実です。

※清宮に関しては今の突撃型超サイヤ人モードではなく、黒髪に戻ってノアの界王様から教わった界王拳を用いたスタイルで挑めばまた別だったかもしれません。あれは論理の沼に相手を引きずり込んで相手のキャラクターを破壊する武器でもあるので。

これまでのノアにいなかったタイプであるジェイクはノアで早くも己の特徴を観客にアピールしました。そこに他の選手がどう絡むのか?稲村の反撃はあるのか?ジェイクは丸藤や杉浦の名前を出していますが、果たしてどうなるのか…。楽しみなカードが多いので、できるだけ早く組まれてほしいです!






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