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潮崎豪の300分6秒 序章.ノアはお前だよ

※トップ画像はTwitterのフォローをさせて頂いている@TACK59089236さんの描いた絵です。

序章〜ノアはお前だよ〜

第一章.1.4「新しい景色は俺にしか創れない」 VS清宮海斗〜27分42秒

第二章.3.29「潮崎選手は漢です」 VS藤田和之〜57分47秒

第三章.6.14「これで負けたけどさ、俺次に進むよ」 VS齋藤彰俊〜29分22秒

第四章.8.5「 I am real noah」 VS丸藤正道〜30分56秒

第五章.8.10「正真正銘1番強いやつを決めようぜ!」 VS拳王〜60分00秒

第六章.11.22「出戻りチャンピオン!」VS中嶋勝彦〜42分35秒

第七章.12.6「I am noahは俺に勝ってから言え!」VS杉浦貴51分44秒

終章.すべてを受け止めて〜I am noah

序章〜ノアはお前だよ〜

2019年5月28日。GHCヘビー級王者の清宮海斗と、挑戦者杉浦貴の前哨戦の意味合いが強かった6人タッグ。試合終了後に鈴木秀樹への興味をマイクで訴えた清宮。しかしフリーの猛者である鈴木は清宮には目もくれず、ある男に対してこう言った「ノアはお前だよ」「お前がだらしないからノアが上がらないんだ」。2019年のプロレスリングノア。この年はまさしく「清宮イヤー」といっても過言ではなかった。前年にグローバルリーグを初優勝。勢いのままGHCヘビー級のベルトを史上最年少で獲得。2019年も着実に防衛戦を重ねていった。多くのファンが清宮に「ノアの未来」を期待し、清宮もその願いに沿うように成長していった。

しかし鈴木は清宮には興味を示さなかった。鈴木が目をつけた男。それは10年前清宮のように「ノアの未来」を期待された男だ。彼の成長をファンは望んだ。そう、いつかあの三沢光晴を超えるレスラーになる。そんな未来をファンは期待した。しかし10年の時を経ても、彼はノアで時代を創ることができなかった。レスラーとしても迷っていた。自分に課せられた重荷を解くかのごとく、一時はノアを離れた。結果的に全日本に戦場を移し一旦は輝きを見せたが、それも長くは続かず、再びノアへ舞い戻った。しかしノアでは我々の期待した強い輝きを放つことができない状態が続いていた。

2019年7月27日カルッツかわさき大会。鈴木はシングルで彼と激突した。試合はお互いが決め手を欠き、30分フルタイムドロー。一言で言えばアンバランスな試合。「だれもが認める良い試合」というよりも「微妙に歯車がズレた試合」だった。ただし噛み合わないのではなく、ズレが観客の興味を引く試合でもあった。試合を終えた鈴木の彼に対する評価は5月から変わらなかった。ノアの行く末が彼にかかっていること。更に「お前は自分の行く先を自分で小さくしている」「なぜ大海に飛び込まないんだ?」と、視点を変えれば叱咤激励ともいえる言葉を発した。

なぜ鈴木は清宮ではなく彼を標的にしたのか。なぜノアの未来が彼にかかっていると言ったのか。当時の私はそれを理解することができなかった。普通に考えれば若さと勢いのある清宮を推すだろう。もしかすると他のファンも、私と同じように理解ができなかったかもしれない。

しかし。鈴木の考えはまったくもって正解だった。それを多くのノアファン、そしてプロレスファンは2020年に知ることとなる…

続く

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