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3.21三冠戦〜良い試合=タイトルマッチか?

さて。この試合をどのように見るか?それはおおいに判断が分かれると思います。この試合を「永田裕志VS石川修司のシングルマッチとして捉えるのか?」。それとも「三冠統一ヘビー級の試合として捉えるのか?」。観客がそのどちらのスタンスをとったかで、この試合の評価は分かれると私は思います。

まずは「永田裕志VS石川修司のシングルマッチとして捉えた場合」について。その視点で捉えれば、この試合を私は好勝負だったと考えます。外敵王者永田と所属の石川という構図に「大巨人石川を永田がどう攻略するか」というテーマをおく。ベテラン同士ではあっても互いに異なる色や背景を持つ両者なので、対比としては受け入れられやすい。実際に試合自体も石川の猛攻を永田がひたすら受けてそれでも耐え抜いての勝利。私は配信視聴でしたが、所属の石川だけではなく外敵である永田への声援も多かったように思います。全盛期の輝きはなくとも自分の手持ちの武器で泥臭く勝利を求める永田。全日本プロレス最強の刺客としてその強さを見せつけた石川。両者の良さは出ていたので試合としてはきれいにまとまっていたと思います。この試合を「永田裕志VS石川修司のシングルマッチとして捉えた場合」ならば。

この試合の評価をややこしくしてしまう理由。それはこれが三冠統一ヘビー級のベルトを賭けて行われた試合だからです。全日本プロレスにとって三冠というベルトは団体の顔でありフラッグシップタイトルです。その試合がきれいにまとまった好勝負で良いのか?少し突っ込んで言えば「ベテランが泥臭く耐える試合も悪くないが果たしてそれでよいのか?」「他にもっと凄い試合ができる選手がいるのではないか?」。そうした疑念を否定することは、少なくとも私にはできません。もちろん私が全日本プロレスのファンなので、全日本寄りの視点になっています。そのため「因縁なりを抜きにしたフラットな状態なら石川修司VS青柳優馬のほうがもっと面白い試合になったのでは?」と考えてしまいます。

あくまでも私の皮膚感覚ですが「永田裕志VS石川修司のシングルマッチとして捉えた視点」を持った方は全日本プロレスを久しぶりor初めて観戦したという方が多いように思います。宮原健斗や諏訪魔の三冠戦の記憶が無い方があの試合を見れば。あの試合は良い試合だったという感想になる。しかし全日本を長く応援しているファンは宮原健斗や諏訪魔(さらに過去の選手)の三冠戦の記憶がある。であれば「三冠統一ヘビー級の試合として捉える視点」となり不満の残る状態になるでしょう。

SNSでも「石川が負けたから全日本ファンが嘆いている」と思われがちですが、根っこの部分はそこではなく。「所属でももっと良い試合出来るのに!」という感情だと思います。同じ試合を見た観客であっても前提条件が異なれば感想は異なります。それはどちらが悪いという類の話ではなく、個人の趣味嗜好の話です。それをもって「あいつらはー」と殴り合いをするのは…。

※ちなみに「最近の三冠戦は見たことない」という方向けに全日本プロレスTVで無料視聴できる試合をご紹介します。
2019年2月24日宮原健斗VS諏訪魔
2019年3月19日宮原健斗VS野村直矢
2019年5月20日宮原健斗VS石川修司

あの試合の感想がどうであれ、状況として三冠ベルトが外敵に流出した状態は残念ながら継続しています。王者永田が全日本プロレス春の祭典チャンピオン・カーニバルには欠場を決めており、このリーグ戦の優勝者が永田に挑戦する形になります。個人的には野村直矢の優勝に期待しておりましたが、左膝前十字靭帯断裂のため欠場…。全日本プロレスにとっては厳しい状態が続きます。しかし誰かが抜けたときでも他の誰かがチャンスを掴む。その歴史の積み重ねが全日本プロレスです。選手の目の前にチャンス自体はあるわけで、それを掴むことができれば。そのときは新王者が新しい時代を創ってくれるはず…。それを信じて待ちたいと思います!



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