見出し画像

8.6三冠戦 青柳優馬vs諏訪魔〜馬鹿VS馬鹿〜

現在の全日本プロレス三冠王者青柳優馬。彼がデビューして数年間にわたり。日々の試合で彼をボコボコにして鍛え上げたのが諏訪魔とジョー・ドーリングでした。その諏訪魔が挑戦者として王者青柳優馬に立ちはだかる。いや。王者青柳優馬が迎え撃つという方がよいか(煽りVで本人が諏訪魔の全てを受け止めると言ってたし)。いずれにせよ青柳優馬時代を築くために絶対に倒さねばならぬ相手が諏訪魔であり。個人的にはこの試合が組まれたことそれ自体が感慨深いです。

この試合の諏訪魔は全日本プロレスの強さの象徴として素晴らしい出来でした。ラリアットやダブルチョップにラリアット。バックドロップにラストライド。現代風の高難易度の技ではないが。しかし諏訪魔が放つからこそ一発一発の重みが観客に伝わる。ある種原始的な要素があったからこそ、ハイテンポの現代プロレスとは一味違う良さが出ていたと思います。

その諏訪魔の攻撃を王者として受けきったのが青柳優馬。意図的なのかどうかはわかりませんが、王者となって以降の青柳優馬は徹底して相手の攻撃を受けている気がします。ただし今回は奪取した試合含めて初めて「自分よりサイズの大きい相手」だったこともあり、受け切るシーンがありつつ。一方では突撃する諏訪魔をジャパニーズレッグロールで切り返す。グラウンドでエンドゲーム(変形フロントネックロック)を仕掛ける青柳優馬を持ち上げる諏訪魔(書いてて意味がわからんです)を回転してリング中央に押し戻すなど。大きい相手をテクニカルに崩すというシーン(これは青柳優馬の真骨頂でもあるところ)があってとても興味深い内容でした。

猛獣諏訪魔の攻撃を全て正面から受け切る青柳優馬。そして諏訪魔もまた青柳優馬の攻撃に耐える。誤解を恐れずに言えば。相手の攻撃が来るのがわかっても受けるというのはある種の馬鹿です。全日本プロレスのイカした煽りVで青柳優馬が「この試合はプロレス馬鹿VSプロレス馬鹿の試合だ」と発したように。ある種の馬鹿(ズレてる人間)でないとプロレスはできないでしょう。

「プロレス馬鹿VSプロレス馬鹿」の試合は王者青柳優馬が諏訪魔のショートレンジラリアットの連発を耐えてスピンキック、さらにロックスターバスター→ザ・フールとつなぎ完璧な形で3カウントを奪いました。この試合単体で言えば真のプロレス馬鹿は勝者青柳優馬でした。しかし正面から青柳優馬に立ちはだかり、堂々と轟沈した諏訪魔もまた凄みと馬鹿さを見せつけてくれました。

青柳優馬は7.2に永田裕志を下して戴冠して以降、約一ヶ月で二度の防衛に成功。その間に世界タッグや天龍プロジェクトのUNタッグ(こちらは陥落)など。まさに大車輪の活躍で駆け抜けました。しかしすぐに王道トーナメントが開催と、王者に休む時間はありません。王道トーナメントには小島聡を筆頭に他団体の選手も多く参戦しています。彼らを下して青柳優馬が初優勝して次期挑戦者を指名するのか?それともトーナメント優勝者が青柳優馬に宣戦布告するのか?「俺たちの優馬と闘う夏」はまだまだ続きそうですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?