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2.4三冠戦〜依然として高い宮原健斗の壁、されど潮目は確実に変化している

さて。ようやく仕事もきりがよくなってきたので、全日本プロレス2.4三冠戦(宮原健斗vs青柳優馬)についてお話したいと思います。

2.4八王子大会は大仁田厚による電流爆破マッチが開催(それもアジアタッグをかけて)。という部分で論争がおきていました。「今の全日本に電流爆破マッチ(それもアジアタッグ戦で)が必要なのか?」。そんな声も多かったですし、「メインの三冠戦が大仁田の毒に染まるのか?」といった危惧もありました」。しかし終わってみれば会場の空気を制圧したのはメインの三冠戦でした。

とはいえ今回は少し毛色が違ったように思えます。それは「観客の歓声」です。この試合の王者は宮原健斗。全日本プロレスが誇るスーパーエースです。今の全日本プロレスは「宮原健斗が最後に締める世界観」によって成立している部分があります。誤解を恐れずに言えば「宮原健斗の敗北」を求めるファンは多くないと言えるかもしれません。

しかしこの試合の観客の応援の軍配は青柳優馬に上がっていたように私は感じました。私は配信視聴なので完全に会場の空気を伝えることはできませんが、「青柳優馬が宮原健斗に勝ってほしい」という空気だったように思えます。

それは「宮原健斗の世界観を変えてほしい」という観客の希望。そしてこの日の宮原の試合内容にもあったと感じました。比較的長い時間をとっての場外戦。エプロンに立つ青柳をバックから掴み場外への投げ捨てジャーマン。そしてここぞというときに放つラリアット。いずれもかなり激しい(エグみのある)攻撃が多かった印象です。

王者として相手を徹底的に潰す。一方で青柳の技を全て受け切る。それはある意味で完全なる上から目線で相手の違いを見せつける。そんな印象もありました。青柳のフィニッシュを全て受けても立ち上がるわけで、「相手の攻撃を受けていない」という言い訳すら許さない形。そんな形だからこそ「強い王者に立ち向かう青柳への声援」が倍増したのかもしれません。

青柳も宮原のシャットダウンスープレックスを一度は返しますが、自身のフィニッシュホールドを全て出し尽くしたあと。そこで捉えられた2回目の発射台からは逃れることができませんでした。

青柳が奮闘したものの試合自体は宮原が勝利。しかしこの試合によってこれまでとは確実に潮目は変わってきたと思います。宮原健斗一強時代に対して変化を求めつつある観客。そして宮原も「相手を引っ張ることではなく、己が突き抜けることを選んだ」。

宮原の唱えるゼンニチ新時代の最終的な景色は現時点ではわかりません。しかし全日本らしい安定感は持たせつつも、新しい世界が訪れる予兆がある。そんな期待感を抱かせてくれた三冠戦でした!





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