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変わったのは仕事だけじゃない。家族、私生活の前向きな変化 - シングルマザーが挑戦した1年

MOM FoR STAR は、シングルマザーが未経験からWebスキルを習得し、キャリアアップを目指すプロジェクトです。参加して1年が経った2期生の6人には、スキル面だけではない変化がありました。新しい挑戦で変わった環境、マインド、子供との向き合い方......。1年の成果を、本人の言葉とともにご紹介します。

Web業界で少しずつキャリアを積む日々

およそ1年前、プロジェクト2期生として参加した6人。事務職、清掃員、販売員など、別の仕事をしていた彼女たちは「新しいスキルを獲得してキャリアチェンジしたい」「子どもたちにチャレンジしている姿を見せたい」「シングルマザーだからといって諦めたくない」そんな思いで、Webスキルを学び始めました。

MOM FoR STAR プロジェクトとは
MOM FoR STARは、「学ぶ」「働く」「つながる」の3つの活動からなる、沖縄のシングルマザーのためのWebデザイン就業・協働プロジェクト。東京と沖縄のデジタルデザイン企業と沖縄の支援団体が連携し、1年間のプログラムで未経験からスキルを習得し、Web業界で活躍できるまでを公私ともにサポートします。

全員がWeb業界は未経験。研修はパソコンの基本操作からスタートしました。東京のフォーデジットと沖縄のレキサスというデジタルデザイン企業2社から、現役のWebディレクターやエンジニアが直接指導。PhotoshopやXDなどツールの使い方、HTMLやCSSといったWeb業務の基礎を身につけていきました。

未経験の業界で、わからない用語だらけ、覚えることだらけ。頭がパンクしそうになることもありました。ですが初歩的なことから徐々に難易度を上げ、1ヶ月経った頃には業務を模した演習に取り組むようになりました。

1年後の現在は、新しい知識や技術の学びを並行しながら、実際の業務を行っています。Webサイトの運用・更新や新規Webサイトの制作など。プロジェクトメンバーとしてWebの現場で働き始めた6人は、Web業界でキャリアを積み、活躍の場を広げていくことを目指します。

※研修のようすはこちらの記事でもご紹介しています。

今はまだサポートを受けながらではありますが、自分の担当作業をミスなく終えたとき、関わったWebページが公開されたとき......Web業界の現場で働くことの喜びを実感する場面は増えてきました。同時に、あらたに直面する課題に向き合い、チャレンジの日々をつづけています。

デザイナーやほかの職種のメンバーと関わることも多くなってきました。いろんな職種の方と関わることで、プロとしてのコミュニケーションの仕方に戸惑ったり。自分のタスクだけやればいいわけじゃない、ということにも気づきました。多くのメンバーが関わってプロジェクトが成り立っているんだと責任を感じていますが、自分の作業にOKが出た瞬間はうきうきします(笑)。

先日、社外の方も参加するプロジェクト会議があり、こんなふうにメンバー同士が意見を交換しながら“ものづくり”をしていくんだと知りました。これまでの自分の作業範囲では決まった要件をもとに「こうしてください」と任されて作業をしていた。自分は受け身だったなと。会議にも能動的に参加していかなければと痛感しています。

3月には、1年の経験を発表する機会がありました。那覇市・琉球新報ホールで行われた「OKINAWA SDGs プロジェクト(OSP)」の年次フォーラムです。SDGsに取り組むさまざまな企業や団体が集まる場で、2期生が MOM FoR STAR の活動報告をすることになりました。

この日のために、6人で協力して制作したWebサイトをスクリーンに映し、プロジェクトを紹介。子供のため、自分のために、現状を変えるチャレンジに挑んだ1年を振り返り、「Change & Challenge」の大切さを呼びかけました。

仕事、家族、私生活...この1年で変わったこと

「Change & Challenge」は、2期生の1年をあらわすのにぴったりの言葉です。プロジェクトを通じて、スキル面の成長だけでなく、さまざまな変化がありました。

ひとつは、シングルマザーが集まる職場という、前職とは違うこのプロジェクトならではの環境。あるメンバーは「全員がシングルマザーだからこそ、居心地がいい」と話します。

前の職場では、シングルマザーだと打ち明けにくかったんです。偏見もあり、休みも取りにくいことも......今は同じ立場の者同士、お互い共感しやすい。MOM FoR STAR では、さまざまな研修やワークショップがあるのですが、親子で参加することもあります。みんなの子供たちとも触れ合ったり、職場とは違うリラックスした中でお互いの状況を話したりしました。

浜比嘉島で開催したアートワークショップ

必要なときは、MOM FoR STAR オフィスに子供と一緒に出勤することも。子供にとって、母親が働く姿を間近で見ることはなかなかあることではありません。

6歳の子が「大きくなったらお母さんの職場で働く!」と言い出しました。急に興味を持って、パソコンがほしいと言ったり(笑)。職場を見て、仕事というものがなんとなくわかったみたい。働きに出ることへの理解にもつながっている気がします。

Web制作という仕事の性質から、働く時間・場所の融通が利くようになったこともうれしい変化をもたらしました。前職では営業職で朝早く夜遅い、土日も出勤があったというメンバーは「子供との時間が大切にできるようになった」と語ります。

年長さんの子供の送り迎えができるようになりました。他のお母さん方と顔を合わせるようになり、ママ友ができて連絡先を交換したんです!休日に子供たちを一緒に遊ばせてあげられるのがうれしいです。

新しい挑戦をすることで、それまでとは違う前向きな気持になり、プライベートも充実するようになったと話す方もいます。

プロジェクトに参加してから、なぜかプライベートが忙しくなりました。それまで休日はベッドでゴロゴロしていたのですが(笑)。不定休だったのが土日休みに変わり、子供の部活にも参加できるようになりました。気持ちがポジティブになり、毎日が充実しているように感じます。子供の習い事を見学して「私もやってみようか」と思ったり。仕事で大変なはずなのに不思議です。

あるメンバーには、仕事に対する気持ちの変化がありました。「初めてひとつのことにこんなにも固執した」と自分でも驚きながら、明かしてくれました。

私は社会経験があまりなくて、パートタイムでしか働いたことがありませんでした。フルタイムで働くことに不安があったけど、今は何時間でもやりたい!という気持ちです(笑)。以前は仕事と私生活を切り分けたいと思っていたのが、今では終業後も仕事のことが気になったり。変わった理由は、“仕事への責任感”かもしれません。プロジェクトメンバーの一員としてやらせてもらっているから、自分も120パーセントの力で返したい。自分がこんなふうに変わるとは思いませんでした。初めてひとつのことに、こんなにも固執したんです。しがみついてでも、はいつくばってでも、やり遂げたい。こんなふうに思ったのは初めてです。

挑戦への思いが強いあまり、家庭とのバランスが上手く取れなくなったこともあったそう。プロジェクトに参画する、支援団体しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄の担当者との面談を通じて、子供と対話することを決めました。

「子供だから」と思わずに1人の人間として対等に話すことが大事。同じ目線で認め合える仲になれるとアドバイスをいただいたんです。「お母さんには今、こんな目標があるんだ。集中して頑張りたいと思っているんだよ」と話すと、子供も「いいじゃん」と言ってくれました。それまで「えー、仕事なの」という感じだったのが、応援してもらえるようになりました。

メンバーたちは子供との関わり方を大切にしながら、新しいチャレンジに挑んでいます。このプロジェクトのゴールは、シングルマザーのみなさんが輝くこと。そして子どもたちにも、いきいきと働くお母さんの姿を見て「お母さんってかっこいいな」「こんな大人になりたいな」と感じてほしい。そのゴールに少し近づけているのではないでしょうか。

今回は2期生のことをご紹介しましたが、4月からは MOM FoR STAR プロジェクト3期目がスタートし、3名の3期生も挑戦をはじめています。引き続き応援をよろしくお願いします!

MOM FoR STARの活動について、もっと詳しく知りたい方は以下よりご覧ください。


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