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青葉町の子育て世代の今と未来

谷内 政昭さん
48歳。新札幌わかば小学校PTA会長、パパ育休プロジェクトメンバー、NPO法人ファザーリング・ジャパン会員。お子さんの誕生をきっかけに、15年前から”青葉町”へ移住。子育てに取り組む傍ら、小学校でのPTA活動や、男性の育休などの子育て問題にも積極的に取り組む。

青葉町への移住と育児

もともと私自身は青葉町ではなく別の地域で育ちました。当時は父が働き、母が専業主婦という昔よくある家庭の形でしたね。たまに母がPTAでの活動をしていたような記憶はあります。そんな中で私が青葉に移住したきっかけは、子どもが誕生して家を購入したことでした。それが15年前になります。青葉を選んだのは本当にたまたまでしたね。

現在はエンジニアとしてテレワークなどを併用しながら働いていますが、以前は長時間残業が続いた時期もありました。ワークライフバランスがとれていないことにモヤモヤする時期でした。しかしファザーリング・ジャパンのお話を聞いたときに感銘を受け、パパ育などの活動に精力的に取り組むようになりました。パパ育の活動では、父親による子育てとワークライフバランスの実現を目指しています。

実際に子育て、仕事、PTA、パパ育活動を両立するコツは、やるってハッキリと決めて進めることです。食事の際にご飯をおいしいと言ってくれることはやっぱり嬉しいですね。子どもたちが成長したときに“男性だから〇〇をやらないといけない、女性だから〇〇をやらないといけない”と思うことがないよう心がけています。

パパ育休活動を通して感じること

若い世代の父親達には夫婦で役割を分担するのが自然に当たり前になっている人が増えていると思います。しかし、現実としてなかなか男性の子育てが進まないのは”自分ごと”として捉えていない人が多いという側面があるかもしれません。仕事でもそうですけど、言われことだけやらされていてもつまらないですよね。自分でやり方が分かって、自分の裁量で出来るようになってくると面白くなるじゃないですか。それは家事や育児でも同じだと思います。奥さんに言われるまま、あれこれやっていると面白くなくてやりたくないってなってしまう。

一方で若いお父さんたちは子育てをする人が増えている印象があります。家事や育児をやらざるを得ない状態なので、自分ごととして楽しさを見つけて継続出来ているのかもしれません。

地域での教育活動

先日不登校の座談会を開催しましたが、思った以上に人が集まり盛況でした。開催してよかったと思うことは、不登校児を持つ親の経験値が違うので、自分の子どもが最近不登校になった親と、不登校になって数年経つ親とでは経験値が違ったことです。その点で経験値のある方のお話は励みを与えてくれましたね。

小学校でのPTA活動は、コロナと学校統合があったので思うようにできませんでした。昔に比べると “旗振り役をどうするか” ”もっとシンプルな組織にしよう” など様々な課題もありますが、PTAはまず親のためにあってほしいと考えています。というのも親が楽しくしていれば、子供もまっすぐと育つと思うんです。PTAもパパ育活動でも、楽しいお父さんや親を増やそうという思いの元で活動しています。

お父さん同士の繋がりを持てることが来年度以降もできたら良いですね。地域での繋がりという点では、先日開催したイベントでは幼稚園や保育園など公共施設にチラシを貼っていただきました。子育ての最初に良いきっかけが出来ると、PTAなどの地域活動にもつなげることが出来るかもしれないので。そういった人が増えると、地域も活性化されていくと思います。

1人で子育てをしていると悩みも増えてきたりはしますが、そんな中でお父さん同士のコミュニティが出来れば良いですよね。せっかく地域活動をやっているので、自分の足元であるこの地で、そのような活動が出来ればいいなと思います。

子育て世代と青葉町のこれから

子どもの誕生をきっかけに青葉町に来て以来、地域には良くしてくれる人が沢山います。一方で若い家庭の人たちには、町内会の活動に壁を感じている部分はあるかもしれません。そもそも町内という単位で生活していない人も多いため、そこをどう上手く繋げるかは課題だと思います。

“青葉町で子育てをしている”という感覚があるのは、子供が小学校の年齢くらいのまでかもしれません。まずは子育て世代が地域でどうしたいかということが大事になりますね。定期的にお祭りなんかをやると、地域に横のつながりが出来て盛り上がるのかもしれません。特に子育て世代が楽しめるような、イベントが出来るといいですね。児童会館を使って何か出来たらなとも思います。そんな取り組みを続けるなかで、結果として若い家族世帯が青葉町に増えるといいですね。

若い人へ伝えたいこと

ひとは大人になってからでも成長できるし、価値観も変わります。地域活動にしても、PTA活動にしても、もっとやりたいと欲が出て変化していくものだと思います。私はそのきっかけが子育てであり、変わっていく自分も面白かった。子育てじゃなくてもいいので、なにか一つのことを続けることで広がっていく世界があると思いますね。

ステューデントアンバサダー編集後記 田中 寛(北星学園大学 経済学部 経営情報学科 3年)

私たちのような若い世代には、子供を持ちたくない割合が増えていると言います。また変化が多く先行き不透明な社会が故に、共働きを希望する若者が大多数を占めています。「自分ごととして、主体的に取り組むことで子育ては楽しくなる。」こんな谷内さんのメッセージは、私たちのような将来的な子育てへの不安を抱える世代のみならず、現在子育て中の親を含めた多くの人へのアドバイスとなる一言であると感じます。育児のみならず、仕事や趣味においても主体的に取り組むことを心掛けたいものです。

今回のインタビューでは、谷内さんのような子育て世代から見る、地域への関わり方への課題も浮き彫りとなりました。どんな世代であっても、周りの助けが必要であることは同じなのではないでしょうか。あらゆる世代を巻き込んだ、持続可能な新しいコミュニティや仕組み作りを考えていく必要があります。 

ステューデントアンバサダー青葉町コーディネータ-鳥本  優至

ある就職情報サイトの調査によると、来年大学や大学院を卒業する見込みの学生のうち、5人に1人に相当する19.2%が「子供はほしくない」との結果が出ました。その理由は「一方の収入だけでは生活できないから」「それぞれ自分の仕事を持っていることが自然だから」があげられているようです。
学生が不安なく子どもを持つ親になるためには男性の育休取得制度の確立は必須。育休による男性の子育てが当たり前の世の中になり、「男性だから、女性だから」という概念がなくなる社会が求められています。
いつの日か子どもたちは成長し親の元を離れる日が来ます。その限られた日を夫婦共に子どもたちと一緒に楽しむ。学生の方々、谷内さんのライフスタイルを参考にされてみてはいかがでしょうか。

賛否両論はありますが「よそ者 若者 ばか者」が地域を変えるという考え方があります。(よそ者=第三者の視点を持った冷静な分析をする人、出来る人。若者=年齢的なものだけではなく、積極的に活動に取り組む「実行」できる常に前向きの人。ばか者=時に羽目を外すアイデアや大胆な企画を出す街を愛している人。)

田中さんは今回のインタビューを通じて「自分が旗を持つ役割=地域活動のトップになったとき」若者の目線から町内会の役員高齢化、PTAの役員不足解消のためにそれぞれの役員の合流はできないものか、という意見を出していました。田中さんが、地域活動を自分の視点でとらえ、自分のできる範囲でこれからどう関わってゆくか期待したいです。

もみ・あお FACES ディレクター 山屋 恵嗣
今回は、インタビューイーに、札幌でパパ育の推進、コミュニティづくりの活動をされている谷内さん、そして、北星学園大学 経済学部3年の田中さんにご参加いただきました。今回は現役の子育て世代で、PTA活動をされている視点で、パパ育について、PTA活動について、そして、地域への関わり方についてお話を伺わせていただきました。谷内さんは、言葉を選ばれながら丁寧に、真摯に受けこたえていただきました。独身で子どもがいない私にとって新しいことばかりでした。「楽しいお父さんであれば子どもはまっすぐ育つはず」といった言葉が心に響きました。自分が育った家庭は、母が子育てを担い、父親が仕事と役割分担がされていました。父を表現するのは、「楽しい」よりも「威厳」、といったものでした。

少子高齢化の今、共働きが珍しくもなく、女性の社会参画が求められ、楽しく子育てもできる能動的なお父さんがいっぱいいるというのは社会、地域がとても明るくしてくれるように思いました。もみじ台、青葉でも期待したいことですよね。今回の谷内さんのお話からは、このようなお父さんがいても、地域活動への参加には、仕事とのバランスとは別に世代間の価値観のギャップから入りづらさを感じていることを知ることができました。もみじ台、青葉の地域活動に従事されている方々からは、次世代がいないという声をよくききますが、ひょっとしたら地域にいるかもしれないということは、やり方次第でいかに協働できるかということかもしれません。

この次世代の方々の地域活動への参加促進には次がポイントとなるかと今回のお話から感じました。
①地域活動における世代間バリアフリー(次世代が入りやすいしくみづくり)②仕事している人でも地域活動に参加しやすくすること。

今回は子育て世代の視点でお話を伺いとても新鮮でした。谷内さんお忙しいところ誠にありがとうございました。

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