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梅子黄 うめのみきばむ

初夏は季節の保存食作りに忙しい。とは言っても私の場合大人数分を作るわけでもないが、それなりに手間と神経を遣う。

しばらく山椒まつり?でテンションが上がっていたが、ようやく落ち着いてきた。実山椒も今のうちにと、せっせと塩茹で、あく抜きをして、冷凍庫におさめ、ちょくちょく料理に入れて満足していた。ずっと京都のを買って食べていたちりめん山椒もついに作ったが、いつもと違う醤油を使ったためか、満足の行く味ではなかった。何事も経験。もちろん自分が食べる分には誰にも迷惑をかけることはないので、お茶漬けにしたり大事に味わってはいたが、山椒もたっぷり保存してあるので、またリベンジするつもりである。

ちりめん山椒 by Yoko

【梅雨入りと共に初体験の梅干作り】

さて、今日の本題はこちら、『梅子黄』、七十二節気、二十七侯である。『梅雨』と言う言葉は梅の雨と書くがちょうどこの頃梅の実が熟してくると言う事から来ている。 今年は綺麗な青梅をあまり見ないうちに梅が黄ばんで熟してきたように思うが、たまたまチェックを怠っただけなのかもしれない。慌てて取りあえず梅シロップは少し仕込んだ。

青梅、梅ジュース用

若い頃、梅酒はずいぶん作ったが、梅干しだけは手が出なかった。土用干し、と言うのがネックだったためである。梅雨明けの晴れて暑い日に三日三晩外に出して干さなければ美味し梅干しは出来ないと言う。うっかり仕事が入ったりしたらと思うと億劫していた。                ほどほどに黄色く熟した南高梅を見つけた。これもタイミングなのですぐに買い物かごへ。梅干しに最適な和歌山産の南高梅である。3キロは作りたいと思っていたが、自慢ではないが一度目は必ずと言って良いほどうまくいかないことから、2キロにした。

◆用意したもの。                          梅2キロ、塩360グラム、殺菌用の焼酎少々、酸に強いホウロウの容器、梅の2倍の重石と重石板。

◆梅の下処理。                           ①黄色く色づいた梅のヘタを竹串で取り除きたっぷりの水で優しく洗い水気を切る。                               ②水気が残っているとカビが生える危険があると言うので、ざるに上げた後、一粒一粒、ペーパータオルでふき取った。

梅干し用2キロ

③梅を漬ける容器、重石などを熱湯で消毒し、さらに焼酎をしみ込ませたペーパータオルで容器も梅も拭き清め乾かした。                  ④容器の底に軽く塩を振り、梅を一列に並べ、又塩を振り入れる作業を繰り返した。とは言ってもたった2キロ、59粒程度のものなので3段で終了。一番上に残りの塩を載せて重石板を載せ、2.5キロと1.5キロの重石を二つ乗せた。水(梅酢)が上がったら半分の重さにするため、二つの重石を用意した。減塩とも思ったが、失敗のない割合で18パーセントの塩に落ち着いた。塩辛ければ、塩出しをして減塩にすることもできると言う。買う時も極力自然の製法で梅と塩だけの昔ながらの梅干を好んで求めていた。少し赤い色も混じった綺麗な黄色の梅を眺めて、もう成功したような満足感に浸っていた。

梅干し下漬け

【二日後の梅の様子】                        様々な情報を参考にしたが、たいてい一日から二日くらいで透明な梅酢が上がってくると言う。今日で丸2日が経ったが、水が上がってきた様子もなく梅の表面には白い塩がたっぷり乗っている。これは早々に失敗か!と暗澹たる気持ちになった。梅酢に梅が浸らないと、カビが生えると言うので,冗談ではなく、悩んだ末、よく手作り梅干のおすそ分けにあずかっていた、幼馴染のA子ちゃんに電話で相談した。彼女は毎年10キロは漬け込むと言う梅仕事のみならず手作り保存食のベテランである。私の慌てた訴えにも落ち着いた様子で、面接のごとく、チェックをしてくれた。彼女のは減塩で11パーセントの塩の量で漬けているとのこと。でも常にカビが生える危険があり丹念に拭き取っていたらしい。私が全く水気が出ていないと言うと、底の方には少しはたまっているはず、と言う。1日や2日で梅酢は上がらないが、心配であれば今のうちに梅を取りだし、底の梅と上の梅を入れ替えて。漬け直してはどうかとアドヴァイスしてくれた。善は急げ、すぐに取り掛かった。確かに底には多少の梅酢が出ていた。透明な綺麗な梅酢だった。天地返しをして、容器の回りも焼酎で拭き清め、重石を乗せ、漬物用のポリ袋で覆っで出来上がり。背景の大きな竹の笊はよく土用干しのシーンで見かける定番のもの。DIYの店にあった。プラスチックのものもあったが、水切れの良さ、そして竹には抗菌作用もある。

梅干し漬け直氏、6月17日

【梅雨明けを待つ】                         これで第1段階が終わった。すぐに梅酢が上がることを想像してすでにちりめん赤紫蘇を用意してしまい早すぎた。鮮度が良いうちに、同じく18パーセントの塩で2回揉んでアク出しを終わっているが梅酢が上がらないので、冷蔵庫でスタンバイしている。友人の話では、もう少し梅酢が上がったら、少し早いが、赤紫蘇を梅酢に浸して、梅の上に広げて置いても良いとの話だった。今度はうまく水が上がりそうな予感がしたので、あと数日待つことにした。タイミングを間違って早く紫蘇の用意をしてしまったが、塩で揉んであるので大丈夫だろうと楽観している。

梅干し用ちりめん赤紫蘇

赤紫蘇は袋にギュウギュウに詰められていたので、大きな笊にいっぱいになり早速役に立った。二回に分けて塩で揉んで絞ってアクを棄てると、拳二つ分くらいになっていた。2キロの梅には赤紫蘇が少し足りないかもしれないが、紫蘇を使わない天然の色の梅干もあるくらいなので、今回はヨシとした。 この大笊に赤い色に漬かった梅干しを広げて土用干しをする日を夢見て待つことにする。その日が無事に来ますよう祈るのみである。この年になって初めての梅干し作り、と言うのも恥ずかしいが、やらずにいるよりはましだろうか。新しいことにチャレンジするのは脳の活性化につながるらしいので、淡い希望を持つことにする。失敗しない限り、土用干しでご報告の予定。

では今日はこの辺で。

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