※ 「|猶子《ゆうし」は、兄弟の子。甥、姪。
※ 「衣通姫」は、允恭 天皇の妃で、皇后 忍坂大中姫の妹。和歌三神の一として、玉津島神社(和歌山市)に祀られています。衣通は、美しさが衣を通して輝くという意味。
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『古今名婦伝』に書かれているエピソードは、『草子洗小町』という能の演目で、小野小町と 大伴黒主 が 歌合 をする話です。
ストーリーを見てみましょう。📖
歌合の前日、小町の屋敷に忍び込んだ黒主は、小町の歌を盗み聞きます。
まかなくに 何を種とて 浮草の
浪のうね/\ おひ茂るらん
それを聞いて勝ち目がないと感じた黒主は、ある策を思いつき、それに似せた歌を万葉の草紙に書き込みました。
まかなくに 何を種とて 瓜蔓の
畠のうねを まろびころび歩むらむ
そして、歌合 当日。
小町の歌が読み上げられると、黒主は「その歌は万葉の古歌だ」と声を上げて訴え出ました。さらに、その証拠として万葉の草紙を取り出して、帝の前に差し出します。
盗作者の汚名を着せられた小町。人々の冷たい視線をうけ、心を痛めながらも草紙をよく見ると、その歌の箇所だけ行の整えや墨色が不自然であることに気がつきます。
これは黒主の陰謀にちがいないと察した小町は、草紙を水で洗いたいと願い出ます。
小町が水盤で草紙を濯ぐと、書き加えられた歌が流れ落ち、入筆(後から加筆されたもの)であったことが明らかになります。
企みが露呈した黒主は自害しようとしますが、小町は歌道への熱心さゆえのことと許し、帝もまたお許しになられて円満に収まります。そして、周りから勧められた小町が祝いの舞を奏して終わります。
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謡曲や歌舞伎で
悪役として描かれる大伴黒主です。
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小町といえば、やはりこの歌ですね。
花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身よにふる ながめせしまに
筆者注 新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖