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東京名物百人一首(2) ミツワ石鹸/社団法人軍人遺族救護義会/神田橋/カスガオイル

ミツワ石鹸

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『東京名物百人一首

山邊赤人
玉の艶 あさむく ミツワ石鹸は
    ふ尽より高く 人は知りつゝ

【元歌】
  田子の浦に うち出でてみれば 白妙の
    富士のたかねに 雪は降りつつ

※ 「玉の艶」は、練り歯磨き粉(松本伊兵衛「大博士」)の販売代理店「玉の艶本舗」(瀬戸物町)でしょうか。詳細不明ですが「玉の艶」という名の売薬、香料・化粧品ジャンルの商標に「玉の艶」という登録(日本橋)もあります。大坂堺に「玉の艶」という名の銘酒がありますが、文意からすると歯磨き粉、または化粧品のほうがしっくりきます。何か分かれば追記したいと思います。

参考:『歌舞伎座筋書 第15号』『売薬製剤備考』『売薬製剤備考 改訂増補2版』『日本登録商標大全 第2輯上巻』『住吉堺名所並に豪商案内記』(国立国会図書館デジタルコレクション)

MITSUWA Soap
丸見屋製

※ 「丸見屋」は、万延元年(1860年)に三輪みつわ善兵衛ぜんべえが創業した屋号。


社団法人軍人遺族救護義会

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『東京名物百人一首

猿丸大夫
奥山の くもにそびえし 十二階
  見おろときぞ ゑりつめたし

【元歌】
  奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の
    声きく時ぞ 秋は悲しき

※ 「十二階」は、東京浅草の凌雲閣りょううんかく。十二階建てのため「浅草十二階」と呼ばれていました。

明治卅九年四月 廿二日 廿三日 廿四日 廿五日 廿六日 廿七日 廿八
浅草公園
十二階 半額観覧券
社團法人 軍人遺族救護議會

※ 「社團法人軍人遺族救護議會」は、帝国軍人後援会の前身となる組織。日露戦争後の「明治卅九年四月」に、社団法人軍人遺族救護議会から帝国軍人後援会へと改称されました。

参考:『社団法人帝国軍人後援会史』(国立国会図書館デジタルコレクション)


神田橋

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『東京名物百人一首

中納言家持
神田から わたせるはしは 御茶の水
  直下を見れば 目ぞ覚にけり

【元歌】
  かささぎの 渡せる橋に おく霜の
     白きをみれば 夜ぞふけにける


カスガオイル

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『東京名物百人一首

安倍仲麿
婦人等の 振よき見れば 春日オイル
  みやびの香ある 煉油かも

【元歌】
  天の原 ふりさけ見れば 春日なる
    三笠の山に 出でし月かも

※ 「煉油」は、練り油のこと。「煉」はねり合わせるという意味。

高評 煉香油
THE HAIR OIL
紳士婦人用 水油代用ねり油
直輸入發賣元
東 小川潮華園 京
到る処の
化粧小間物店 賣薬店にあり

※ 「水油」は、液状の油の総称。ここでは、頭髪用の椿油を指していると思われます。
※ 「ねり油」は、練り油。びんけ油やポマードのことを指していると思われます。



筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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