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巨人が暴力事件の中田翔を無償トレードで獲得したことを発表、それでいいのかねぇ?

速報、というには遅すぎるが、8月20日の午前中に北海道日本ハムファイターズの中田翔内野手を巨人がトレードで獲得したことがネット配信された。
サンスポの記事になる。


日本ハム、中田の巨人へのトレード移籍を発表 出場停止処分は20日に解除
日本ハムは20日、中田翔内野手(32)が巨人にトレード移籍すると発表した。
中田は4日に行われたDeNAとのエキシビションマッチ(函館)の試合前に、ベンチ裏でチームメート1人に暴行。球団から1、2軍の全試合の出場停止処分を科された。
栗山監督は17日に会見を開き、中田について「正直、このチームでは(プレーを続けるのは)難しいと、ちょっと思っている。だからといって(他球団に)お願いします、というものでもない。何かいい方法はないのか」と悩ましい心境を吐露していた。
日本ハムによると、野球協約第60条(1)項を適用し「出場停止選手」としていた中田の処分は、20日をもって解除されるという。
https://www.iza.ne.jp/article/20210820-TNVARVZ7BBMJJEOZZGJUILXATA/?utm_source=yahoo%20news%20feed&utm_medium=referral&utm_campaign=related_link


初報では、中田の代わりに日ハムへ行く選手は誰なのか?日ハムの苦しい懐事情を勘案して、ひとまず金銭での対応なのか?など諸説が流れたものの、続報で無償トレードであることが明かされた。そして、20日のうちに中田は大手町の球団事務所で会見を行い、更に東京ドームへ移動してチームに合流、早くも背番号10のユニフォーム姿を披露し、打撃練習まで行っている。
中田は、21日の試合から出場するものと見られており、ポジションは外野ではなく、現在中島が守っている一塁へ入ると予想されている。

過去記事で、8月末のトレード期限まで必死に日ハムは中田の放出先を探すことになる、と書いておいたが、実際にこのトレード話を持ち掛けたのは栗山監督だったようだ。本来なら、クライマックスシリーズ進出の切り札として中田を再生させなければならなかったはずが、巨人の原監督へ電話をかけて中田の面倒を見て欲しいと懇願することになろうとは、皮肉以外の何物でもない。
やはりサンスポの記事になる。


日本ハム・栗山監督 涙で巨人への感謝語る「野球でしか人生は良くならない…あとは翔がどうするか」
 日本ハムから巨人へのトレード移籍が決まった中田翔内野手(32)について、日本ハム・栗山英樹監督(60)が目を潤ませながら熱い思いを口にした。
【写真】入団が決まり、原監督(左)とガッチリ握手を交わす中田翔
 まずは「現場の責任者である俺にもの凄く責任がある。ファンのみなさんとか、子供たち、野球界の先輩方に対して本当に申し訳ない」とあらためて中田の暴行騒動について謝罪。その上で「本当に原さんを含め、ジャイアンツも凄く覚悟がいることだと思う。本当に感謝しかない。人は間違いを起こした時にちゃんと謝って、それで道をつくってもらえるならば、やっぱり野球でしか人生は良くならないと俺は思った。あとは翔がどうするかだけ」と目を潤ませながらチャンスを与えてくれた巨人に感謝の言葉を口にした。
 栗山監督は16日に神戸市内の宿舎で担当記者に対し「うちのチームじゃ難しい」と打ち明けた。そこから「一気に動いた」と巨人とのトレードが進展したと説明した。中田とはスケジュールの関係で電話でやり取りしただけとなったが「今、野球をやらせていいんですか、という意見は世の中にはあると思う。だけど、何が大事か。人は迷惑をかけたら迷惑をかけた分をどこかに返さないといけない。誰かのためにならなきゃいけないだろう。一回失敗して、“本当にすみません”って言って、“お父さんこうやって頑張ったよって、やってみろよ”って」と伝えたことも明かした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/77d9f47822347e5eb7e85e181af47811203fa84d


日ハムにとって痛いのは、主軸の中田を失って何も見返りがないという点だ。4番を打てる選手ではなく、ローテ末端やロングリリーフができる投手であっても、支配下登録できる1軍レベルの選手なら誰でも欲しかったのだろうが、結局中田の今季年棒3億4000万円が来季は浮く、というメリットだけしか得られなかった。もちろん、今季は2軍降格も経験したほどの不調に喘いでいたことを思えば、来季の契約は減額更改が必至だったとはいえ、最低でも4番を打てる新外国人選手の獲得が必須となるので、金銭的な余裕も一瞬で消える可能性がある。

中田離脱は日ハムの営業面に大きな影響を与える可能性があり、こちらも今後は厄介な問題になるかもしれない。チームはダルビッシュ、大谷、有原という目玉選手を順次メジャーへ送り出してしまい、今季は中田を看板にして集客せざるを得なかった。そこで打撃不振に暴力事件を起こされてファンの期待を裏切り、挙句の果てには巨人へ無償トレードとなれば、続けて応援してくれと言うのもおこがましい状況だろう。実際のファイターズファンがどういう動きを今後見せるのか、この点が最初の関門という印象だ。
更に痛いのは、現在建設が進んでいる北広島の新本拠地球場へ、ファイターズは中田も含め「挨拶」へ行かせている点だ。
過去記事をご覧いただきたい。


【NPB】日ハムが北広島の新球場建設現場へ陣中見舞い、そして憂う札幌の落日
https://note.com/momo19992000/n/n7422d50e3d1a?magazine_key=mfa5bc86e9f09


日ハムと札幌ドームの関係はひどいもので、官民一体の第三セクターでありながら殿様商売をやめなかった札幌ドームに対し、再三改善案を出していきながらことごとく拒否された日ハムが自前の球場を用意する、という流れになって決まったのが北広島移転だった。
これで慌てた札幌ドームは、最後には掌を返してダンピングするから残留を、と日ハムへすがる醜態まで見せての決別だったこともあり、日ハムとしても北広島へ送った選手に懸ける思いは格別だったはずだ。
そして、その中に中田を入れていた、つまりそれは「北広島でも4番は中田でいく」という宣言でもあったわけなのだ。そんな中田が暴力事件を起こし、結局無償トレードで放出せざるを得なくなって、北広島に連れていくことはできなくなった、これは笑って済まされる話ではない。日ハムという球団に対する北広島の信頼が揺らぐ可能性は十分にあるからだ。ここまで蜜月関係にあると言われているだけに、変なさざ波が起きなければいいが、と思うばかりだ。

無論、今季の日ハムは店じまいと言っていいだろう。この状況でベストな展開は、2軍でも相変わらず打てない清宮が覚醒し、4番1塁でプレイするくらいではないだろうか。今季での退任が規定事実のようになっている栗山監督のモチベーションも、原監督と並んだ中田の巨人のユニフォーム姿を見て、終わったのではないかとも感じる。残り50試合あまりが、果てしなく長い消化シリーズになりそうだ。

一方の巨人だが、実は今季は補強がうまくはいっていなかった。
新外国人としてやってきたテームズは、1軍初出場となった神宮での対ヤクルト戦でいきなりアキレス腱を断裂し帰国、単身赴任で巨人生活を開始したスモークはいつまで経っても家族の入国許可が下りないことを理由に、やはりアメリカへ帰ってしまった。野手の外国人選手はウィ^ラーが一人で気を吐いている状況で、一塁に中島を入れざるを得ない点に原監督はもちろん、ファンも満足はできなかったに違いない。その煮え切らないチーム状況が、阪神の首位快走を許している理由の一つとも言われている(いや、それでも坂本、丸、岡本のクリーンナップは強烈以外の何物でもないのですけどね、ええw)。

原監督は、出場停止になった事情をわかった上で「中田を自分が何とかしてやりたい」という気持ちから、栗山監督からのオファーを快諾したと言われている。
まぁ、それが原辰徳の100%な本心だとは思わないが、そういう曰く付きの選手を受け入れる点で起きる批判も承知、という意味も含めての「何とか」なのだろう、と解釈している。中田がバカスカ打って巨人が連勝すれば、マイナスな面は表に出なくなるのは確かなわけで、問題は巨人へ来てもやっぱり不振から脱出できない時、となるのだろう。
中田は、チームに合流していきなり打撃練習に参加、柵越えを3本放った、らしいのだが、一応は動かせるよう体調の維持はできていることらしい。
後は、セ・リーグの水にどこまで早く合わせていけるのか?いや、巨人のチームカラーに合わせて大人しくしていられるのか?が最大のポイントか、だw

しかし、今回の顛末を見ていると、FA権まで時間のかかる選手が、巨人に行きたいからとわざと事件を起こして出場停止になり、拾ってもらうのを期待する、などというケースが出てこなければいいな、ということだ。これは別に中田のような1軍スタメン級ではなく、育成契約レベルの選手でも、やろうと思えば可能となったように思えるので、そうした「善意を悪用した移籍」が出てくるのはなぁ、と心配している。何しろ、暴力事件を起こすのは選手で、球団がそそのかして暴れさせていたわけではないのだから。第二、第三の中田が出てこないことを願いたい、それが正直なところではあるのだ。

それにしても、こんな形で戦力を補強をした巨人が優勝したら、ほんとにセ・リーグはつまらなくなるよなぁ、と個人的には感じている。違反があっての移籍ではないにしても、禁じ手に手を出してでも勝つ、それで球界の盟主巨人の野球って守られるの?とも。勝てば官軍、と納得すべきではあるのだろうが、割り切れないねぇ、どうしてもさぁ。

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