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南デボンの旅②昔ながらの風景が残る コッキントン村。

旅の3日目は、ブリクサムから少し北上してコッキントン村にきました。村全体が古き良き時代のままで残る、それはそれは美しいところです。コッツウォルズ地方とはまた違う、昔の雰囲気をそのまま味わえる場所の一つです。
今回で2回目の訪問。前回に来た時の写真も交えて、ご紹介しますね。

【コッキントン家が領主だった場所】

今回は、この入り口から歩いてマナーハウスへ向かいます。

この地域には、8世紀ぐらいにサクソン人が定住しマナーハウスを建てて、いくつかのコテージや農場がありました。コッキントンと呼ばれるようになるのは、ノルマン王朝時代に領主(大地主)だったRoger de Cockingtonの名に由来します。この土地は、800年の間にコッキントンカーリーマロックと3つの家系に受け継がれ、1931年に最後の所有者であったマロック(Mallock)家がこの敷地一帯のすべてを法人コッキントン・トラストに売却しました。翌年の1932年にコッキントン・トラストは、トーキー・カウンシル(トーキー市)に223エーカーの敷地とコッキントンコートを999年の期限付きで貸し出します。のちにトーキー市は、50,000ポンドで敷地内を一般公開する権利も取得します。

小さな湖が6つ作られた庭園。自然と一体化している。

現在は、村の中心部からコッキントン・マナーハウスへ通じる敷地一帯がコッキントン・ナショナルパークとして管理されていて、無料開放。木々が生い茂る美しい樹木園の遊歩道を家族連れや、犬の散歩をする人など市民の憩いの場として愛されています。

椿の花が咲いていました。樹木園には様々な木が植えられています。
緑があふれる遊歩道。

【コッキントン・コート】

現在は、左手がティールーム、右手はアート&クラフトショップ。

コッキントン村の中心から少し離れたところに、コッキントン・コートがあります。いま建っているお屋敷は、この敷地の2番目の領主(1375~1654年の間)ケアリー家が建設しました。時代を経て3階部分を取り壊したりと建物の姿は変わってるようですが、現在は1階はティールームとクラフトショップになっています。

正面入り口。
コキントン・コート / コキントン大地主のマナーハウス 
ティールームを入ったところ。壁一面にある古い木のパネル。
古い建物を生かしつつ、モダンなインテリアで開放的なティールームです。
このお屋敷の豪華さがわかる、立派な暖炉です。

ティールームは二部屋に分かれています。奥の方へいくと壁一面に立派な暖炉があり圧巻。壁にある木のパネルは、マナーハウスや宮殿でよく見かける装飾です。

とにかく広い敷地。美しい風景を堪能できます。


【ゆかりのある有名人は?】

コッキントン・コートに滞在した有名人と言えば、アガサ・クリスティーが有名ですが、もう一人私が大注目している女性がいます。

ヘンリー8世に2番目の王妃アン・ブーリンの『姉 メアリー・ブーリン』です!

メアリーとアン姉妹は、フランス王ルイ12世に嫁いだヘンリー8世の妹メアリー(当時はフランス王妃)の侍女でフランスの宮廷につかえていました。フランス王の死去に伴い、メアリーともに姉のメアリー・ブーリンだけが、イギリスへ帰国。そこで、メアリー・ブーリンはヘンリー8世に気に入られ、愛人になりますが、5年後にはお払い箱になり、ヘンリー8世の側近ウィリアム・ケアリーと結婚します。それからしばらくして、妹のアンがフランスからイングランドの宮廷に戻り、ヘンリー8世のお気に入りとなると、メアリーは宮廷から追放されます。その時に夫の親戚であったケアリー家が所有するコッキントン・コートに居留していたのだそうです。

メアリーとアンについては、映画「ブーリン家の姉妹」もぜひご覧ください。スカーレット・ヨハンソンがメアリー役。ナタリー・ポートマンがアン・ブーリンの豪華なキャストで楽しめる映画です!
(メアリーがアンの姉であったのか妹であったのかはいろいろな説があり、映画の中ではメアリーはアンの妹という設定です。物語には、史実と異なる点がいくつかあります。)

【アガサ・クリスティーが訪れた館】

もう一人、このお屋敷を頻繁に有名人が、アガサ・クリスティーです。
彼女は、近くの町トーキー出身。マロック家と親交があり、チャーリー・マロック夫妻とは親しい友人になりました。1934年には、クリストファー・マロック氏に向けて、小説 ‘Why didn’t they ask Evans’ を、彼の父チャーリーの死への追悼、感謝と友情のしるしとして捧げています。

参照 https://www.agathachristie.com/en/about-christie/christies-devon


【南デボンの楽園、コッキントン村】

ビジターセンターの前から見える村の景色。どこを見ても古いままの建物が残されています。
かつて鍛冶屋さんだった建物。
Old School House 今はお土産屋さんとティールーム。
学校の入り口だったのでしょうか。本当に美しい景色です。


有名なティールーム。冬の間はAirB&Bになっている模様。2月か3月から再営業するそうです。(2023年1月)
Weavers Cottage Tea Garden
マナーハウスに通じる樹木園の中に咲く椿の花。


【コッキントンの教会】

コッキントンの敷地には、マナーハウスと教会。そして村の中には鍛冶屋さんなど様々コテージがあります。
教会の歴史は古く11世紀にまでさかのぼります。マナーハウスのすぐ近くなので、ぜひ中も訪れてみてください。

教会の基礎は1069年にこの土地の所有者によって作られました。その後、コッキントン家、ケアリー家、マロック家が大地主となりこの教会を受け継ぎました。驚くべきことに、宗教改革(ヘンリー8世)や清教徒革命/イングランド内戦(チャールズ1世とオリバー・クロムウェル)も乗り越えて、教会は破壊されずに1400年代のまま今まで残されています。

(イングランド内には数々の歴史的建造物が残っていますが、オリバー・クロムウェルによって破壊された大聖堂や教会がたくさんあります。ウィンチェスター大聖堂がその一つ。)

マロック家に関係する家系の紋章が飾られている。
アーチ型の天井が美しい。

トーキーの町からすぐにある自然豊かなコキントン村。
古き良き時代の建物やノスタルジックな風景。コキントン・コートを囲む広大な敷地を市民へ一般開放しているのは、素晴らしいと思いました。春から夏の観光シーズンには、英国人にも観光地として人気のスポットです。

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