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会議や打ち合わせの「仕込み」をしないあなたは死神かもしれない

会議や打ち合わせをするにあたり、気をつけていることは「仕込みをしっかりする」ということです。つまり段取りや準備をしっかりしておくということです。

仕込みがしっかりされていない会議や打ち合わせは、主催者が困るだけであれば別に良いですが、参加者が自分のことを大事にされていない、リスペクトされていないと感じてしまいます。なぜなら、参加者は貴重な時間や体力を削って参加しているからです。時間や体力のコストを支払わせるにも関わらず、何も進まない、進められない会議や打ち合わせに参加させるというのは、金だけ払わせて実利を得させない詐欺と一緒です。信頼信用がしっかり損なわれます。

どんなに小さな会議や打ち合わせでも、そこに参加している方の時間をいただいています。役職が上だろうが下だろうが、人をそこに参加していただいているということは、Time is Lifeの概念で言えば命をいただいているに等しいのです。

厳しいことを書きましたが、自分も主催者の会議で大いに失敗したことがあります。組織外の参加者の名前すら把握しておらず、自己紹介していただくという段取りも飛ばしたことがあります。あれは致命的なミスでした。

多くの方が打ち合わせや会議の準備をしない、あるいは不足しているのにも理由があります。会議や打ち合わせの仕込みには、それ相応の技術が必要だからです。自分がいつも気をつけていること、技術をシェアできればと思います。

議題の目的をはっきりさせる

よく会議の種類が分類されたりしていますが、ひとつの会議や打ち合わせがひとつの目的のためだけに開催されることはあまりありません。ひとつの会議を構成する目的(議題)は複数あることが通常です。

例えば、新人教育の会議は、新人の技術の習得状況などの現状を把握する(報告)、新人の技術をどう高めていくか、教育方法について話し合う(ブレスト)、教育方法について決定する(承認)、プリセプターの教育方法について指導する(コーチング)。このように、ひとつの会議には、多くの要素が含まれています。部署の打ち合わせなどにありがちなのが、今この時点は、何の目的に話し合っているのかがわからなくなってしまうケースです。

新人の技術をどう高めていくか、教育方法についてブレストしていたと思ったら、急に愚痴大会になったり、プリセプターへの指導になったりと今この瞬間の話し合いの目的が、あやふやになったまま会議や打ち合わせが進行することにより、無駄に長くなってしまうという現象。あるあるなのではないでしょうか。

会議が主催する人、進行する人は、事前にどのような経過で会議を進行させるのか、会議中は今何をする時間なのかを意識しながら進行させることで、こういうトラブルは軽減できます。

レジュメ、資料をつくる

目的を明確にするためにも、レジュメや資料を作成しましょう。レジュメや資料を作成する最大の目的は、参加者全員の目線を合わせることです。つまり、今我々はどこに立っていて、何の目的でここにいて、どこに向かおうとしているのか、という現在地の確認をするためです。

会議や打ち合わせの資料とは、旅行で言えば「旅のしおり」です。未知の土地での旅は、目的地、そこにいくまでのスケジュール、移動方法、どこで何をするのかということが記載されているしおりがあれば、誰もが迷うことなく楽しめます。そもそもどこに行くかもわからないのに集合している旅行なんて(おそらく)ないはずですが、会議は往々にして目的地やどこに向かっているのかがよくわかっていないことがよくありますし、資料やレジュメがない会議ではだいたい、参加者も、進行役も迷子になったりします。

レジュメは会議のだいたいの流れ(議題)が把握できればOKです。参加者は議題が把握できれば、この先なにが待っているのかわかるので、会議の文脈、道筋に沿った発言ができるようになります。例えば、前述の新人教育会議では新人の現状についての「報告」の次に、教育方法に関する「ブレスト」があって、それを「承認」するというレジュメが用意されていれば、みんなで流れを把握できます。「報告」の段階なのに「ブレスト」しだすとか、「ブレスト」の段階なのに勝手に「承認」に持っていってしまうとかいうリスクが軽減されます。もちろん、リスクは0にはできません。議題を用意していても、そういう「越境」しだす参加者もいると思いますが、「その話は、レジュメにもあります通り、次の議題で話し合いますので、その時にお願いします」という言葉で否めることができます。

また、レジュメがあると良い点は、議事録が書きやすくなるということです。自分はレジュメを作成段階である程度議事録を仕上げておきます。議事録にも資料のプリントスクリーンを貼り付けして、議題提出者のだいたいの言葉を書いておきます。そうすると、あとは会議参加者のコメントだけそこに入れていけば、議事録がすぐに出来上がります。

議題が複雑で、報告、ブレスト、承認が目的であれば、絶対に資料を作るようにしましょう。特に報告、承認が目的であれば、参加者の理解していること、把握していることを蔑ろにしたまま議事が進行していくので、うまく話が通らなかったり、後々ひっくり返されたりする可能性が高くなります。

ブレストが会議の目的であった場合も、事前の情報を揃える資料や、そもそも何に対してブレストするんだっけ?という疑問にいつでも立ち返れるレジュメを作っておけば会議、打ち合わせの進行がしやすくなります。

結論の主義主張をはっきりとする

前二つの項目は、会議や打ち合わせ進行のテクニックとして多くのサイトや本に掲載されている内容ですが、この「結論の主義主張をはっきりとする」という技術はあまり見ません。

でも、この技術を持っていると、会議や打ち合わせがスムーズに進行します。特に承認を得るという議題だと、参加者全員、もしくは議題提出者全員がこの意識を持っていると威力を発揮します。

よくあるパターンは、「◯◯という状況ですが、どうしましょうか」という承認の取り方です。参加者一同が「で?」と言いたくなるようなものだと良い議題の提出とは言えません。

会議や打ち合わせに諮る場合、結論に仮説を立てて、主義主張をのせるべきです。「AとB、どちらがいいでしょうか」だけでなく、「AとBという選択肢がありますが、自部署としては◯◯という理由から、Bが良いと思います。いかがでしょうか」とすれば、参加者が何について答えを出すべきなのかがはっきりします。判断材料が足りなければ、質問することができますし、他の選択肢についての議論もしやすくなります。

何より、前述のあやふやな聞き方は、当事者意識が欠如しています。会議や打ち合わせの技術云々の前に、仕事に対して自分の思想信念主義主張が反映されておらず、他責のように見え、信頼を得ることは難しいのです。

ただし、この会議の目的が「ブレスト」であるならば選択肢を提示するよりも、選択肢を参加者と一緒に作っていく過程なので、逆に「どうしましょうか」という聞き方で良いと思います。会議の目的が「ブレスト」なのに、ある程度選択肢が狭まっていると、会議参加者は結局主催者や上司が決めるんじゃんという良くない印象が出てきてしまうので、要注意です。「みんなと一緒にアイデアを出すんだ!」という意気込みが感じられる聞き方であることが重要です。

いずれにしろ、会議の目的にあわせた思想信念主義主張の表明の仕方があります。

参加者のレベルにあわせる

会議や打ち合わせの参加者の情報は持っていますか。若手でしょうか。ベテランが多いでしょうか。部署のスタッフでしょうか。経営陣でしょうか。それらが入り混じっているでしょうか。発言のしやすい雰囲気はどんなもんでしょうか。淡々と進んでいく会議になりそうでしょうか。熱い議論が交わされそうでしょうか。

例えば、若手が多い会議や打ち合わせでは、なかなか自身で考えて意見を出すということが難しいかもしれません。その場合、まっさらな状態で「ブレスト」しても、出てこないかもしれません。なので、ある程度議論の発端となるような選択肢を用意しておくことが大事かもしれません。

逆に発言力があって、自分の考えが強いベテランが多い会議では、前提条件だけ揃えておけば、あとは意見がスムーズに出てくると思います。

このように、参加者のレベルをある程度把握して、シミュレーションをしておきましょう。そうすると、前述した議題の目的、資料やレジュメの粒度(どのくらいの詳細が必要か)、どの程度の結論を提示した方が良いかの検討がつきます。


会議や打ち合わせの準備は、病院で働くにしろ、どこで働くにしろ、自分の仕事への姿勢が問われます。ぜひ準備段階で、想像力を働かしてください。

関係各位の貴重な時間を無駄にせず、リスペクトを示すためにも、粛々と準備をして、物事を動かす仕事をしていきましょう。

最後に、自分が衝撃を受けた時間に対する考え方のツイートを引用して、このnoteを締めます。

自分が主催者の会議によって、あなたは「死神」と思われていませんか。自分も自問自答しながらやっていきたいと思います。

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