momoimoi

文章を書きたい欲求を満たすために、日記のようなものを。

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最近の記事

先日の雪。春を待ちわびて。

 東京に二度目の雪が降った。天気予報がそう言ってもまさか東京に雪が降るなんて思っていないから、かじかんだ手で傘をさして、履き古したスニーカーで濡れそぼったいつもの道を歩く。歩道橋は凍っていて、当然のように足を滑らす。恐怖の階段を抜けて、ダイヤ乱れの電車を待つ。  なかなか春が来ない。ぽつぽつと街に花が咲き始めたから春が来たかと思ったけれど、まだ雪の降る冬だ。冬はずっと続く。  寒いのは苦手。暑いのはもっと苦手だけれど、冬はなんだか気が滅入る。自分の選択のどれもが誤っていたよう

    • 理想の暮らし。憧れと、

      ひとつの憧れ。宇宙船の中のような閉鎖的な小さな部屋に籠って、今であればネズミとポツンと暮らすこと。物は少なくて、あまり大きくない家具が数点、そして可愛くて素敵なものをちりばめて、ポツンと暮らす。余計な感情を生まず、あくまでも淡々と。つるりとした表面と原色があって、それ以外の主張はペットのわがままだけ。そんな感じの、宇宙空間にポツンと置かれたような暮らし。  10代の後半に、母に勧められて『2001年宇宙の旅』という映画を見た。永遠と続く砂漠の映像と、やっと現れた猿の荒れ狂いを

      • ぬくぬくねずみと消耗品の私

         私はワインをちみちみ飲んで、ねずみは解凍したコーンを食べている。そういう夜。  つくづく私というのは社会に磨耗されている消耗品だなと思う。  22歳でどうにか就職して正社員になって、一日を磨耗に捧げて、たった手取り20万である。この人生を続けていくと考えると気が遠くなる。就職したばかりの私は本当に必死で、体が死んでいた。今生きているのが不思議なくらい。毎日眠たくて揺れていた。前任者の引き継ぎで入社して、一ヶ月で一人になり、これで合っているのかと不安な中、私の上司になった別の

        • 不二家のわんこに擬態したビタワンくんに惑わされる

           ポチャッコが描かれた大きなカバンにぬいぐるみを詰めて、ちょこっとずつおばあちゃんの家へお引越しをする。小さな頭たちがカバンからひょこひょこと飛び出ているけれど、誰も見もしない。私は足元にぬいぐるみたちを覗かせながら電車に揺られる。  もうハタチを超えて3年も経つというのに、年を重ねるごとに可愛いものに憑りつかれていく。むしろ、可愛いものを手にしていないと真直ぐに立っていられなくなってしまうのかもしれない。私の生命維持にぬいぐるみは恐らく必需なのである。私以外にも、そういう大

        先日の雪。春を待ちわびて。