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妙心寺の掲示板

  おかげさまで、
「京都祇園もも吉庵のあまから帖」が巻を重ねています。
 一重に、読者の皆様のおかげです。
 
シリーズが続くと言うのは嬉しいことですが、それは年柄年中、締め切りが訪れるということでもあります。
訪れるというより、
「襲ってくる」
という感覚の方が近いかもしれません。
とにかく、取材のために、京都へ通っています。
どこまでが観光で、どこからが取材かの境目が自分でもわからないのですが、お寺の掲示板には小説のネタのヒントが宝庫なので注意してみています。
 
妙心寺を訪ねた時、山門の脇の掲示板に、こんな言葉に目が留まりました。
 
「守れ時間
 惜しめ時間
 活かせ時間
 時間は生命だ」
 
聖路加国際病院の元・名誉院長の日野原重明さんは、こう言っておられました。
「時間は生命(いのち)」だと。
寿命が100年とすると、それは100年という時間なのですね。
ということは、「今日」という日の24時間。
ドラマを1本見る50分。
スマホでSNSをチェックする1分。
さらに、今この瞬間の0.01秒も「いのち」なのです。
それこそ、縁起でもない言い方になりますが、「今、この瞬間」も、確実に「死」へ進んでいるということを忘れてはならないという訳です。
 
では、どうしたらいいのか。
「明日、いや、この後、出掛けた帰り道で死んじゃうかもしれない」
と言うのであれば、今というこの時間をどう生きたらいいのか、ということが課題になります。
もも吉なら、どんなことを言うだろうか。
そんなことをつらつらと考えていたら、
もも吉の声が聞こえて来たような気がしました。
 
「時間を守りなはれ。
時間を惜しみなはれ。
時間を活かしなはれ。」
 
  とはいうものの これほど難しいことはありません。
昨日も、締め切りの原稿を後回しにして、映画のビデオを見てしまいました。
今日こそ、時間を守り、惜しみ、活かしたいと思います。
もも吉お母さんに、叱られないように。

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