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名もなき手仕事に、敬意を表して-ヴィクトリア&アルバート美術館(イギリス/ロンドン)-

ロンドンに旅行に行くと、大英博物館・ナショナルギャラリー・テートモダンというロンドン3大美術館(と勝手に命名)を回っているうちに時間がなくなってしまうとは思うが、それでもぜひ外さずに行って欲しい場所、それがヴィクトリア&アルバート美術館だ。

ここは、宝飾やタペストリー、衣装などの主に工芸品・装飾品の美術館なのだが、展示コレクションの質量共に最高峰で、何度行っても飽きない。行けば行くほど見るものがあり、まるで沼のように嵌っていく。そして、ここも観覧費は無料という大盤振る舞いのロンドン。すごすぎる。このコレクションを何度となく見にこれるのが、ロンドンの民度をあげているのは間違いない。

この美術館の魅力は、迷路のような展示の数々だ。まるで沼にはまっていくようにどんどん奥へ進めば進むほど魅力的な作品に出会い、帰ってこれない。

①圧倒的な収集癖から生まれる展示の迷路

展示品は工芸品、つまり立体物が多いのだが、そうすると一番問題なのは、空間に限りがあることだ。しかし、そんな事を物ともせず、展示品をあまりにも収集しすぎて、展示スペースが足りなくなるのでは思う位に所狭しと並ぶ作品達。でも、決して並べている訳でなく、そこに最初から存在したかのように、作品が鎮座している。
特に、陶器の展示ケースでは本来ならば正面を向けて展示するところを、作品が多すぎて縦に並べて展示されているところもあった。(なぜかその展示室の写真を取っていないのが無念。)イギリス人の物を大切にする(収集癖)の真髄を目の当たりにした。


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②ショップに並ぶ個性的でハイセンスなお土産

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このV&Aショップのラインアップがどれも心をくすぐるものばかりだ。世界各国から集められたハイセンスお土産を買うにも十分だし、自分の思い出の品を手に入れるにももってこいだ。

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お土産のオススメは、100枚綴りのポストカードセット。重いのが玉にきずだが、持ち帰りで壊れることはないし、帰って友達に選んでもらう楽しみも提供できる。
カフェもかなりセンスが良いらしいのだが、結局最後まで利用するチャンスがなく終わってしまった。

③ルーシー・リー
私がそもそもこの美術館に足を運んだ目的は、ルーシー・リーの陶芸作品を見るためだった。ルーシー・リーの作品は千葉で企画展をしていた時に1度見たきりだが、その繊細さと色の美しさに魅了される人も多いだろう。
そんなルーシーの活動の本拠地イギリスだからさぞ作品も多いはず。そして、事前の下調べでルーシーのアトリエの原寸大が再現されているとも聞いていたので、ますます期待に胸を膨らませた。

いざ、ルーシーの部屋へ向かうべく、陶器の展示室へ向かった。陶器類の展示室は一番高いで、そこにたどり着くだけでも階段を2、3度登る。やっと陶器の部屋にたどり着いた、と思っても、膨大なコレクションが次々と現れるだけで、行けども行けども部屋にたどり着かない。人影もどんどんまばらになる。2度と帰ってこれない迷路に迷い込んだようだ。

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このまま辿り着けないのではないか・・・と思っていると、日差しが降り注ぐ明るい部屋にたどり着いた。左手のガラスケースの中に、見覚えのある作品が見えた。これがルーシーの部屋!

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しかし、誤算だったのは作品自体が再現部屋の中に展示されているので、作品までの距離が遠いのだ。ガラス越しに遠くから眺めても、作品の機微が全く見て取れない。そして、見たところ、他にルーシーの作品が展示されているスペースもないようだった。せっかくの作品なのにこんなに距離があっては何も見えない・・・。

しかし、この展示スペースの隣でリーが出演したテレビの映像が流れていた。初めて聞くリーの肉声!実際の作業の様子もわかり、ついつい見入ってしまった。

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気がつけば、午後一時に入った後6時間近く館内を歩き回り、閉館時間担っていた。本当にあっという間だった・・・

思っているより時間をかけての見学をお勧めします。



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