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〜ここにはないもの〜 #6


あやめさんに連れられて買い物を済ませ、私たちは家に戻ってきた


あやめ:ただいま〜!

〇〇:おかえり…!

あやめ: ……!?

さくら:ただいま…

〇〇:あやめに変なこと言われてない?笑

さくら:大丈夫、言われてないよ笑

あやめ:言うわけないでしょ!笑

〇〇:ならよしっ!笑

さくら:ふふっ笑

あやめ:お父さんは?まだお風呂?

〇〇:今さっきあがって、部屋に戻ったよ
  ご飯になったら呼んでくれってさ。

あやめ:お兄ちゃんも先にお風呂入ってきなよ

〇〇:あぁ、そうするわ…


〇〇くんにはお風呂に向かった
2人になるとあやめちゃんは口をひらいた


あやめ:お兄ちゃん、泣いてた…

さくら:えっ、、、



私はあやめちゃんに言われるまで、
〇〇くんが泣いてたことに気づきませんでした…

〜ここにはないもの〜 #6



さくら:はぁ…


晩御飯の支度をしながら、ため息をつく。
これで何度目かはわからない…


あやめ:あの…大丈夫ですか?

さくら:あ、ごめんなさい…

あやめ:兄なら大丈夫だと思います、さくらさんがそんなに思いつめなくても…

さくら:ううん…私がダメだなって…

あやめ:え?

さくら:あやめちゃんに言われるまで、分からなかったから、、、〇〇くんが泣いてたこと…

あやめ:そんな…私達は兄妹ですから…

さくら:3年も付き合ってるのに、、、私、何もわかってないんだなって…

さくら:彼女として失格だな…

あやめ: ……

さくら:ごめんなさい、あやめちゃんのが辛いのに…

あやめ:あの…さくらさんってお兄ちゃんのどこが好きなんですか?

さくら:えっ…///

あやめ:教えてくださいっ!

さくら:えっと…や、優しい所かな…///

あやめ:へー笑

さくら:私が仕事の発注でミスしていつもの" 3倍 "の量を注文したことがあって、それを〇〇くんがカバーしてくれて…

あやめ:うわぁ、それ大変…

さくら:その時に言われたことが…///

あやめ:お兄ちゃんが何て言ったんですか?笑

さくら:それはね…


〇〇:これをさ、帳消しにしてミスじゃなくしたら僕たちカッコよくない?笑



あやめ:やだー笑 聞きたくなかったぁ笑

さくら:もうっ私も言いたくなかったよ…///

あやめ:笑笑 それで帳消しにしたんですね!笑

さくら:ううん…

あやめ:え?

さくら:帳消しにできなかったんだ…

あやめ:うわぁ、かっこわるい笑

さくら:残り1セット…

あやめ:え!?

さくら:22時過ぎに汗だくで会社に帰ってきて…残りは1セット。そしてその第一声がね…


〇〇:ごめんね、遠藤…


さくら:そう言われてからこの人についていこうって決めて、気付いたら…好きになってて…///

あやめ:ふぅ〜ん(やるじゃん、お兄ちゃん)

さくら:でもアピールしても気付いてくれなくて…

あやめ:あぁ、うちの家族みんな鈍感なんで笑

さくら:バレンタインのチョコとかひとつだけ明らかに違うのにしたりしたのに…

あやめ:ふふふっ笑

さくら:恥ずかしいからこれでおしまい///


私が照れ隠しで笑っていると、あやめちゃんは少し考えて話を始めた


あやめ:あの…さくらさんってお兄ちゃんの泣いてる所見たことないですよね?

さくら:え、うん…

あやめ:やっぱり…お兄ちゃんはさくらさんのこと大好きなんですね

さくら:え、、どうして?

あやめ:昔から大切な人の前だと強がるんですよ…

さくら:そうなんだ…

あやめ:家族にも言わないくらいですから笑
  1回、学校で大喧嘩した時があったんです

さくら:う、うん

あやめ:その日、たんこぶだらけに服は破けて帰ってきて…父と母からどうしたんだって聞かれてもずっと黙ってるんですよ 笑

さくら:え、それで…

あやめ:お母さんが散歩しようって見晴らし台まで連れて行って…


飛鳥:なんで話してくれないの?

〇〇: ……

飛鳥:お母さんね、〇〇が話してくれるまでずっと一緒にここにいるから。

〇〇: ……




10分



20分…



〇〇:誰にも言わない…?

飛鳥:うん、言わないよ。

〇〇: ……ぐすっ

飛鳥:大丈夫、ゆっくりでいいよ。

〇〇:むこうがね…

飛鳥:うん。

〇〇:あやめの悪口いってきたから…

飛鳥:!!…そう。

〇〇:だから許せなくて…

飛鳥:そっか…それであやめがいる家で話せなかったんだね。

〇〇:うぅ…ひぐっ、ごめんなさい…

飛鳥:〇〇、話してくれてありがとう。

〇〇:お母さんごめんなさい…

飛鳥:うん、よく頑張ったね!!えらいっ!!


あやめ:ってことがあったんです。

さくら:〇〇くんらしい…

あやめ:まぁ私が聞いたのはその数年後ですけどね、お母さんが後日談で怒りながら教えてくれました笑

さくら:え?怒る?

あやめ:30分黙ってたら〇〇のことヘッドロック決めようかと思ったって冗談まじりでw

さくら:ふふふ 笑

あやめ:昔から人に話すのが苦手なんです。
   きっと周りに迷惑がかかると思って…

さくら:そっか…

あやめ:そこはお父さんも一緒なんです…
  お母さん死んでから泣くの見てなくて…

さくら:そうなんだ

あやめ:言いたいこと言えばいいのに…
   " そのための家族 なんだから… "

さくら:そうだね…

あやめ:あっごめんなさい、長々と…

さくら:ううん、むしろ聞けてよかった。

あやめ:たぶん、お兄ちゃんはさくらさんのこと大好きなんです!!

さくら:そうだと嬉しいな…

あやめ:これからも兄を宜しくお願いします!

さくら:ありがとう…あやめちゃん。

あやめ:はい。ご飯できたのでお兄ちゃん呼んできてもらえますか?

さくら:わかった。

あやめ:私はお父さん呼んできます。






……





さくら:そのための家族か…

この時、私は1つの覚悟を決めたのでした

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