魅惑のカルテット*あとがき

美しいバランスって、難しい。
ちょっとでもバランスが崩れるということは、完全にバランスが崩れ始めてるということ。

ダンスでもバランスがよく求められる。そのバランスが格好良く決まれば、すべてが美しく見える気がする。

未読の方はこちらよりどうぞ。

なんとなく、抽象的な楽器に見えて、4つということでカルテットというタイトルが浮かんだ。
私は学生時代にやっていたトランペットとトロンボーンくらいしか、楽器は知らない。

カルテットに限らず、ブラスバンドでもソロで演奏するものと、みんなで演奏するものでは同じ曲でも全く異なると思う。みんなで演奏するのに、みんながみんな、自己主張していたら、美しいバランスは保てない。お互いを引き立てることも、美しいバランスのためには必要なことなのだ。

恋愛をするのには、どこかでバランスを崩さなきゃ進展はない。友達という、今の関係を壊すことを怖がっていては、ダメなのだ。

このお話では、そのバランスを壊すことはしなかった。それは、怖かったからではない。自分の気持ちより、このバランスを何よりも大切にしたいと願ったからこそ。素敵な音を奏でるために選んだ関係。
今はこの関係がベストでも、またいつかその関係に終止符を打たなければいけない未来がくることもある。

その時はきっとまた真剣に悩めばいいのだ。何が一番、自分にとって大切にしたいものなのかを。

バランスの取れたメロディーが、いつも一番美しいとは限らない。
それを超えた、もっと美しいものが見えるかもしれないのだから。


いつか自分の書いたものを、本にするのが夢です。その夢を叶えるために、サポートを循環したり、大切な人に会いに行く交通費にさせていただきます。