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ドアが増えている

最近、ホームドアが増えている。

ホームは、Homeではなくて駅のホームである。

かつて大学に通っていた頃、僕は東京メトロ南北線に乗っており、その地下鉄部分はホームドアがあった。他の路線は詳しくないが、ホームドアがあったのは当時珍しかったはずだ。

地下鉄は空気の逃げ場がないため、電車がホームに到着する際、風が起こることが多い。あらぬ方向になった時、思いがけず強かった時、風は凶器となる。

じっさいに事故が起きたかどうかは分からないが、ホームドアを設置する理由として十分考えられる。

ホームドアはカッコいい。

これは幼い頃の、僕の感想である。

ホームドアを初めて見たのは新幹線のホームだった。当時は、新横浜駅で乗降することが多く、新幹線が近づいてくる時の放送も、到着してからホームドアが開くまでの少しの時間も、出発する時のメロディも好きだった。

ホームドアは、新幹線の乗降口部分ではないところは、柵のようになっていた。背の小さい僕は、ホームから新幹線全体が見られない状態で、背が伸びればちゃんと見られるのに、と不満でもあった。

大人になった。

通勤で使っている路線に、ホームドアが設置されることになり、設置された駅が増えてきている。かつて通っていたような、頑丈な板のようなホームドアではなく、フレームが左右に開くタイプで、正直、ドア感がない。

ドア感、の最もわかりやすいのはドラえもんのどこでもドアだ。あのタイプのホームドアはそもそも無理だとしても、ドアの先が見えないとかガラス張りとか、背丈を超えるフレームとかがあって欲しかった。

そんな大袈裟な装置がいらない、維持管理がしやすい、運用上の安全性など、フレームドアには利点があるのだろう。

設置されたホームドアは、確かに車両と人を分かつものではあるが、ドアのように出入りするための装置というよりも、障害物のように見えてしまう。意地悪なだけかもしれないが、カッコいいドアではないと思う。

開閉時の音も、新幹線のホームで聞いたメロディではなく、アラーム音が鳴るだけ。

安全になった。もう「黄色い線の内側まで、アお下がりくだっさいー」みたいなクセのあるアナウンスが聞けなくなった。

フレームドア、幼い僕がこれを見ていたらどう思っただろうかと考えてしまった。



#ホームドア

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