妻が、帰ってきません。原因は残業によるものです。めったに残業しないくせに、なんだってこんな日に。

ぼくは、結婚以来、職場や仕事に恵まれ、あまり残業しなくなりました。必要がなくなった、という感じです。おかげで、残業することが嫌いになってしまったのです。

そして、妻は、結婚してからもずーっと残業している気がするのです。結婚当初、勤務先も僕のほうが自宅から近いこともあるのですが、いつも僕のほうが早く帰宅していました。買い物をして、夕食を作って、妻の帰りを待っている。そんな生活でした。

話を戻しましょう。

よりによって、産休前の最終出勤日に、残業をするんじゃない！と怒っているのです。働き方を変えたとはいえ、長い長い休みに入るのだから、調整しつつ仕事をしてほしいのです。そして、調整できる環境を普段から作るべく、自分だけでなく他人の休みや事情にも配慮すべきだと思っているのです。

たとえ仕事が好きでも、職場が温かくて離れがたいとしても。最後の日には帰ってきなさい。家ではないのだし、普段帰る時間に母親が帰ってこない娘の気持ちも考えてほしい。でも、今回の場合は、勤務先と保育園が近いから、娘は妻がピックアップ済で、同伴残業だけど。

誤解をしないように書くと、妻の仕事場はなかなかに特殊な環境にあるから、子どもがいても大丈夫だったり、何時間でも働ける場があります。だからこそ、自律がとても大事だと思うのです。時給で稼ぐ仕事だと、少しでも長い時間働きたくなる気持ちは分からないでもないですが。

業を煮やして、迎えに来た車の中で、僕は怒りを言葉に替えているのです。家族が待ってるぞ、そしてあなたはひとりじゃないんだから、しっかり休みなさい。気持ちはまるで小姑のようです。

あ、LINEが入った。そろそろ出て来るかな。

せっかくの最終日、みんなでご飯を食べに行こう。おつかれさま。