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Doll Doller Dollest

春の訪れを感じる季節、家の中をだいぶ占領する人形たちがいるにも拘らず、noteに書けないでいることにヤキモキする思いでした。

このnoteが見ず知らずの方にも読んでいただけているということもあり、数ヶ月前まで、子がいることは書いても性別を明かすのを避けていました。

そのため、性別がわかるような話題もあえて書かずにいたこともあります。ただそれも数ヶ月前に解禁した節があり、ようやく、ひな祭りのことを書ける気持ちになりました。

ついつい気になってしまう、この時期限定の遊び方について。(いつもより少し長い)


我が家には娘が二人おりますが、その子たちの雛人形があり、さらに妻が祖母から贈られた雛人形があります。

娘が生まれた当時、その祖母が大変喜んでくれて、雛人形を贈りたい、ついては7段・・・ちょちょちょ、ちょっと待ってー!そんなに広くないし、飾るどころかしまう場所もないので・・と、自粛をお願いし”内裏雛”を贈っていただきました。

そして、家を購入して引っ越すと、紆余曲折あって、妻の雛人形もやってきました。こちらは7段。スペースと時間とが必要な人形たち・・。

僕は、子どもの頃からずっと、雛人形って観賞用の人形だと思っていました。そうやって教えられてきたのです。

子どもの成長を願って、いつか来る(かも知れない)結婚式まで健やかに生き延びる願いを形にしたものだ・・と思っていたのです。

もちろん、どのご家庭でも実践されるように、時期が来れば、おごそかに飾り付け、子どもたちには触らぬよう言い聞かせていました。


しかし、我が家の子どもたちは違いました。

ひな祭りの日が近づいてきたある日のこと、内裏雛がいた場所に見たことのない“ぬいぐるみのようなもの”が載っていました。

近くに寄って持ち上げてみると、それはお雛様でした。うつ伏せで寝かされていたのです。

「ねんねしてるのー!」

(子:当時2歳)

ぎゃー!こんなの見たことない・・!

“ぬいぐるみのような”部分は、お雛様の裏側(台に接している部分)でした。人形の命とも謳われる顔面は、硬い台に直撃状態・・。

普段見たことのない裏側を見られて・・ちょっと得した気分・・なわけもなく、がっくり。シルバニアファミリーのように強靭な人形ならいいのですが、本来、こんなに動かされる想定はないはず。

お殿様が持っているはずの”釈”も、あっという間に紛失・・無念。お雛様とお殿様を、小さな手にそれぞれ持って、落とさないかとヒヤヒヤさせられたりする瞬間もありました。

引っ越しをして、妻のお雛様も飾るようになると、さらに遊びが“加速”しました。遊ぶ子どもも2人に増えました。

ある年の2月、来るべきその日に向けて、たくさんの箱を開けては飾り付け、慎重に手持ち道具類を持たせていきました。ようやく全ての人形並べると、大人たちは達成感と疲労感を感じて、しばしぼんやりと過ごしていました。


気がつけば、人形たちがいない。

人形どころか、家財道具もなくなっています。みんな、どこに行ってしまったのでしょうか。

呼ばれていない男子が2人いるが・・

壇を降りた(降ろされた)人形たちは、ひな壇の下に集合していました。

五人囃子は輪になって語らい、三人官女+姫は噂話に夢中。

おじさんたちは、膳を囲んでどんちゃん騒ぎ。

え?これは、おままごと?雛人形この子たち、実は純和風のシルバニアファミリーだったのかしら・・。ままごとの風景を想像して、なぜかママ口調になる、僕の頭の中・・。

そういえば、この箪笥もちゃんと開くし、茶道具の茶筅なんかとてもリアル・・牛車もリニューアルして荷物を運びやすい屋根のないリヤカーに。

雛人形にイノベーション・・!・・いや、ダメでしょ。

しまいには、五人囃子の少年と三人官女の女子が、顔をくっつけさせられて、

「ちゅーしてるー!」

(子:当時4歳)

いや、それもう、シルバニアでも出てこない世界観だから!!


親として、人形が壊れないように優しく見てね・・と注意するも、その価値観が揺さぶられるくらい子どもたちは「遊ぶための人形」として扱っているのです。

雛人形って観賞用の人形ではなかったでしょうか(再掲)。僕の人生40年ほどの常識を、子どもたちにひっくり返されたのでした。

娘たちは成長して、ようやく雛人形の大切さに気がつき始め、ゆるやかに遊ぶようになりました。寝る時間になれば、おやすみと語りかけるように、きちんと台に戻しています。


今年のひな祭りを数日後に控えたある日、夜中に起きてぐずっている赤ちゃんのミルクを作るためにリビングに入りました。

そこには、いつものように雛人形が飾って・・・あれ?

あれ?

なんて空気感ではありませんでした。むしろ「ヒィィ!!!!!」くらいの衝撃的な状態でした。

抱っこしていた赤ちゃんを思わず落としそうになってしまいそうになるくらい、心臓がドキリと音を立てました。

人形たちが入れ替わっとる!
(適当に戻していたのを知らなかった)

お雛様が突っ伏して寝ているとか、三人官女が楽器を持っているとかなんて、序ノ口でした。ちょっと横を向いたような官女の怖さよ・・。

大人だけれど、常に冷静だと言われる僕だけれど、人形たちが夜中に動いているんじゃないかと、ゾッとしてしまいました。

・・ほんと、子どもたちよ、お雛様をなんだと思っているのだろうか・・。


今週末は、人形たちに怒られないように、大切に大切にしまいたいと思います。

・・姉妹だけに。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! サポートは、子どもたちのおやつ代に充てます。 これまでの記録などhttps://note.com/monbon/n/nfb1fb73686fd