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「できた!」から「もっとやってみたい!」へ導く仕掛け

 私は38歳の教諭です。教諭歴は8年目で正規採用になってから初めての特別支援学級の担任として過ごす1年でした。特別支援学級に限らず、課題に取り組もうとしても、なかなか意欲的にならず、固まってしまったり、注意が逸れてしまったりする児童はいます。前回の記事で書いた「分かる」楽しさを感じてもらいたいところですが、具体と抽象を繋ぐことが難しく、具体的なことはイメージできるけれど抽象的には理解できない。またその逆の経験が積み重なると「自分はできないんだ・・・。」と自己肯定感が下がってやる気を失ってしまいます。
 そこで、今回は「分かる」より先に、「できた!」を積み重ね、もっと「やってみたい」と思わせるための仕掛けについてnoteに書いていきたいと思います。前回の「分かる」について書いたnote記事については以下をご覧ください。

1.短時間でできる課題を選択

 「できた」を大切にするために、じっくり課題に取り組むより、さっと取り組むことができる比較的取り組みやすい課題を選択することが大切だと思い実践しました。その課題をクリアする時間の目安は5分~10分程度。児童に必要だと考えられる学習を短い時間で取り組むことができるように、量や難易度の調整を行い、授業時間45分内で、10分程度の課題を3つから4つ程度で構成するようにしました。そうすることで、児童にとってはたくさんの「できた」という経験を積むことができました。時間で課題を区切るため、プリントを全部やり切らなくても、できたところまでを評価するようにしてきました。児童は、このように自分でもできる課題を、時間で区切って成功体験で終えるため、自信がつき、「もうちょっとやりたい!」、「やってもいい?」と聞いてくるようにもなったりしました。

2.即時評価とスモールステップ

 短時間で細切れの課題設定以外に、授業を行うときに大切にしたのが、「即時評価」と「スモールステップ」です。できる限り児童が1問でも問題を解いたら、すぐに評価をするようにしました。そして、慣れてきたら少し難しい課題にチャレンジと段階を踏むようにしました。
 現在、子どもたちが好きな事の一つに、ゲームがあります。これも「できた」、「できなかった」の評価がすぐに出ることや、少しずつレベルが上がって難しくなることで子どもたちが夢中になっていくのだと考えらます。
 それならば、すぐに評価をし、できていれば、「合っているね!いいよ!」などと声をかけ、できていなければその原因を一緒に考え、次の問題にチャレンジするようにしました。そうすることで「これは分かる!」、「できるよ!」と自信を持って課題に取り組もうとする姿が見られるようになりました。そして、課題に慣れてきたころに少しだけステップアップする。その時には、「少しレベルアップするよ!」と言うと、「頑張る!」と意欲的に課題に向かうようになる姿がありました。

3.「できた」から「分かる」でもいいじゃない

 じっくり考える授業構成から、「できた」を大切にした授業構成にすることで、児童の学習に対する意欲が上がりました。子どもの思考において、具体と抽象をつなぎ、「分かる」楽しさを感じられるようにじっくり課題に向き合うことも大切です。しかし、「分かる」が感じられず、問題も解けない。そんな経験を重ねた子にとっては、学習が苦行になってしまうかもしれません。それならば、具体的には説明できないけれど、この問題の計算はできる。これなら問題を解くことが「できる」という経験を、先にたくさん経味わえるようにすることが大切なように感じます。RPG的に言うならば、問題を解く武器を手に入れさせるのではなく、先に武器を与え、戦う経験を重ね、十分に問題を解く自信を得てから、「分かる」へ繋げていってもいいのじゃないかなと今年度思うようになりました。

 私は、児童が抱えている困り感は、環境を調整することでなくしていくことができると考えています。今ある環境で児童が困り感を感じているのであれば、どのように環境を調整していけばよいか考えることを大切にしていきながら今後も児童と関わっていきたいと思います。





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