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教えから学びへ

 私の趣味の一つに読書があります。本は、人が長い年月をかけて得た知識を学ぶことができますし、まだ経験したことのないことを疑似体験させてくれます。
 つまり、自分の人生を生きている以上のものを、比較的短時間で、しかもあまりお金をかけなくても与えてくれるのです。私は、本を読むことで、人生はさらに豊かになのではと思っています。
 このnoteでは、私が読んでみてよかったなと感じた本を紹介していきたいなと思います。

 今回読んだ本は、汐見稔幸さんの「教えから学びへ~教育にとって一番大切なこと~」


1.この本を手にとったわけ

  教育関係の本はよく読みます。私自身、教員になったのは周りより遅く、学校の当たり前を、当たり前だと考えて過ごすことがありました。その当たり前は、本当に当たり前なのかと疑問に思うこともあり、自分自身が学ばなければという思いがあるからです。ちなみに、この本を購入したのは、1年前、なかなか本を読めずにいましたが、自分の考えをアップデートしなければと思い、読み始めました。

2.この本から得た学び

 ここでは、私がこの本から学んだことをいくつかご紹介させていただきます。教育のことなので、賛否両論あるかとは思いますが、自分がこの本から感じたことですのであらかじめご了承ください。

①方法が原理になっていないか

本来、新しいものを取り入れる場合には、自分たちで実際に使い、試行錯誤するプロセスを経てこそ新たな可能性が生まれるものですが、できあいの一つのメソッドから逸脱しないよう真似ることに全力が注がれがちです。
『教えから学びへ 教育にとって一番大切なこと』著:汐見稔幸

  現在、学校ではGIGAスクール構想でICT環境を整えていますが、実際、現場では使うにあたりいろいろな制限があったりもします。たくさん端末に触り、試行錯誤することで、いろいろな発見があり学びにつながると思うのですが、触ることに対するリスク管理の側面が強いように感じることもあります。だから、一つのやり方を提示して教えることにつながり、その方法を真似るということが起こっていいないかを見直す必要があると思います。本来なら、もっと子供たちも試行錯誤しながら良い使い方を発見してしいくことが貴重な学びの機会になるのではないかと思いました。自分自身の実践も振り返って、今後の取り組みに生かしていきたいと思います。

②これからの世代に必要とされる能力


アメリカの心理学者マクレランドによる分析の結果、優秀な職員には次のような特徴があることが分かりました。
文化の違いがあっても、それを踏まえた上で相手の真意を聞くことができる。対立している人を含めて、尊厳をもって他者を前向きに励ますことができる。そして、人間関係において互いの影響力やそれぞれの政治的立場を素早く理解でき、リーガルリテラシーが高い。
『教えから学びへ 教育にとって一番大切なこと』著:汐見稔幸

 OECDのよって今後大切になってくるとされるコンピテンシーがキーコンピテンシーとして3つ定義されています。「異質な集団で交流する力」「自律的に活動する力」「相互作用的に道具を用いる力」です。これらは、テストの結果で測れる認知能力ではなく、非認知能力と言われるものです。
 目の前の出来事を、自分事ととらえ、他者と協同しながら解決に向かう。そんな場面を大切にしていくことで必要です。私はスポーツをしてきましたから、例えば、スポーツの場面でも、仲間とともに、問題解決をしていく過程の中で、自分の意見を言い、相手の考えを聞き、折り合いをつけながら前に進んでいくことなどの経験は成功、不成功に関わらず、子どもたちにとって大きな力となるのではないかと思います。そんな場面を学校生活の中でもたくさん作っていくことが必要だと考えます。そのためには、物事を「自分事」として考えられるような場が必要だと思います。

③子弟モデルでの学び


教育というのは、学ぶ意思のある人が師と仰ぐ人を見つけ、「どうぞ教えてください」とお願いすることから始まります。~大学の教育学部の研究テーマが「教え方」の工夫になってしまった理由も、そう考えると納得できます。要するに、その人師として求めているわけではない子どもたちに教えるのですから「教え方」に工夫がなければ、聞いてくれない、ということになるのです。
『教えから学びへ 教育にとって一番大切なこと』著:汐見稔幸

 現在、子どもたちは簡単に情報を得ることができる世界にいます。学校でしか教えてもらえなかった時代から、いつでも、どこでも情報を得て学ぶこことができる時代になっています。自分事として捉え、学ぶ喜びを感じられる場を作ることが大切です。自分が授業者であるときの、子どもたちに自分事として学びに向かってもらうときのポイントは、「今までの常識とのズレ」、「比べる」、「隠す」です。教えなければではなく、学びに向かう姿を支えるという視点が大事だと感じます。

④問いと答えの間を充実させる

しかし、人間の人間らささの所以は、「問い」に対して間違う可能性があるとしても、自分で考え、自分で選び、迷ったり回り道をしたりしながら「答え」にたどり着く「間」の充実であり、それが人間を飛躍的に発達させるのです。
『教えから学びへ 教育にとって一番大切なこと』著:汐見稔幸

 学校現場の授業では、限られた時間の中になりますが、このような経験ができる場の設定は大切かと思います。また、授業場面に限らず、日々の生活の中でこの視点を大切にしていくことが必要だと思います。簡単に答えにたどり着くのではなく、一生懸命悩み、仲間と話したり、自分から学びに行く中でこそ、その子の成長につながるのです。早期教育には賛否両論あると思いますが、素晴らしい知識を持った大人に習えば成長できるのではなくて、学びの過程の中で、課題を持ち、自分ごととして学んでいるかが重要になってくるのではないでしょうか。

⑤熱中し没頭する時間をつくる

大人はどこかで、「子どもだからそんなことはできない」「子どもだからまだやるべきではない」と子どもの可能性を見くびっていることがあります。しかし、子どもたちは、大人にもできないことができる可能性を秘めています。体験を通して何かを知ることで、居てもたってもいられなくなる行動力を持っているのです。「子どもたちが没頭する、熱中する時間をつくる」ことが、本当に子どもたちに必要な授業であり、教育です。
『教えから学びへ 教育にとって一番大切なこと』著:汐見稔幸

 没頭する時間は、ポジティブ心理学者のチクセントミハイ教授によると「フロー体験」といいます。とても大切な時間です。子どもたちの没頭していられる時間をいかにして作るかという視点を持っていたいし、子どもたちの没頭していることを大切にできる大人でいたいと思います。「信じて待つ」かな・・・。

3.おわりに

 大切なのは「自分事」。自分事になる学びの場面をいかにして作るか。そして、自分の子どもが何かに没頭しているとき、それを大切にしてあげられる自分でいたいと思いました。
 学んだことを少しでもアウトプットし、自分の学びを深めていけたらと思います。つたない文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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