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「ベルスタ」を切り口に学級経営を考えてみる

 私は、現在38歳で小学校教諭として8年目を終えようとしています。今回は「ベルスタ」を切り口に学級経営を考えてみたいと思います。
 さて、そもそも「ベルスタ」が分からない方もいるかと思います。私の勤めている地域のみで使われている言葉かもしれませんが、ベル(チャイム)で授業もしくは活動がスタートするということを表しています。つまり、全員が授業や活動のスタートの時間をしっかり守れるということです。今回はこの「ベルスタ」を切り口に学級経営、もっと大きくいえば学校経営で大切だと思うことを書いていきたいと思います。

1.予鈴を鳴らしてみるのはどう?

 「予鈴を鳴らしてみるのはどう?」これは、子どもたちが、ベルスタをすることができていない現状から職員室で出てきた言葉です。子どもたちがベルスタができていない。それならできるような手助けとなる事はないか。そう考えた結果、チャイムが鳴る前に、「もうすぐチャイムが鳴りますよ~。」の合図としてチャイムを鳴らすのです。こうすることで、ベルスタができる子が育つのではないかということです。
 しかし、この話を聞いたときになぜか違和感がありました。なんで違和感を感じるのだろうと思いながら、ずーっと考えていて、一つの答えが出ました。それは、この予鈴を鳴らす、鳴らさないを大人の意見で決めているということでした。子どもから「予鈴を鳴らして欲しい。」という話ではなかったということです。私はここに違和感を感じました。気付くのが遅かったですが・・・。

2.どんな子を育てたいのか?

  【総則編】小学校学習指導要領 解説には、以下のような一節があります。

学校教育には,子供たちが様々な変化に積極的に向 き合い,他者と協働して課題を解決していくことや,様々な情報を見極め知識の 概念的な理解を実現し情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこ と,複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることが求め られている。

【総則編】小学校学習指導要領 解説より

 こんな時代の学校教育目標には、自分たちの力で未来を切り拓く子を育てるというような言葉がキーワードとして入っているように思います。
 そうしたときに、大人だけで話した「予鈴を鳴らしてみるのはどう?」から、予鈴を鳴らすことになったとして、それをきっかけにベルスタができるようになっても、それは学校教育目標とは繋がりが薄いのではないかと思うわけです。それでは、「大人の言われた通りにすることができる子」ではないのかと思うわけです。時には道を示してあげることも大切でしょうが、これでベルスタができるようになって力がついたでは、何か違うのではないかという気がしてしまうのです。では、どうしたらよいのでしょうか?


3.子どもに問うてみたらいいんじゃない

 私なりの方法は、「子どもに予鈴がいるかを問うてみる」です。大人だけで決めずに、子どもに聞いて、やっぱり予鈴が欲しいということなら鳴らしたらいいんじゃないかなと思うわけです。学年にもよるのかもしれませんが、子どもを子ども扱いせず、一人の人として意見を求めてみるのが大事だと思います。もちろん、ここで子どもに問うときの持ってきかたは重要です。それは、次に説明しますが、学級経営でも、子どもを一人の人としてしっかりと対話しながら物事を進めていくことが大事だと思っています。それは、職員も同じで、職員同士でしっかりと対話することが良い学校運営にも繋がってくるのではないでしょうか。

4.子どもたちにどう問うのか

 子どもに問うたらいいと言いましたが、しっかりと対話の道筋を立てないといけません。私なら、こう問うかなと思います。

① ゴールを見せて共有する

 例えば、今ベルスタができていない状況なら、なぜ、ベルスタが必要かを話します。例えば、社会に出たら時間を守ることは大事になってくるし、○○試験なども時間に遅れると受けれない可能性もあります。しかし、社会では予鈴を鳴らしてくれることはほとんどありません。時間を守らなければ切り捨てられてしまうかもしれません。そんな話から、時間は守ったほうがいいよねとゴールを共有します。ベルスタのメリット、デメリットについて、子どもたちの今と、将来に起こりうる世界を見せながら話をしていくことが大切だなと思っています。
 そもそもここでゴールを共有できなければ、進めません。ゴールを共有できない場合の手立てはまた別に考える必要があります。

② 手助けして欲しいことを問う

 私なら「そのゴールに向かうために手助けして欲しいことはある?」と問うかなと思います。その上で、「先生たちで話し合ったときに、予鈴を鳴らすって方法も出たけど必要かな?」と問います。そしたら、子どもたちから、必要と言われればやってみたらいいし、「社会に出たらないんだから自分たちでチャレンジしたい。だから、いらない。」と出てくるかもしれません。そしたら、「どんな方法でベルスタができるかな?」と問うてみて、アイデアを出して実行してみたらいいんじゃないかと思います。もちらん失敗するかもしれないけど、こちらの方が学校教育目標に近づくのではないでしょうか。
 ベルスタで予鈴が必要と対話の末に決まった場合にも、私なら「最終のゴールは予鈴なしの方がいいよね。」と子どもたちに提示するかもしれません。将来は自分で時間を守っていかなくてはいけないことが多くなるからです。

5.学級経営の肝は「対話」

 私は今回のベルスタのことも含め、いろんなことを子どもたちに問うてみて、対話してみて、学級を、学校を進めていくことが大事なのかなと最近特に思っています。
 以前、授業である子が、なぜ積極的に発表をするよう変化してきたのかを研修で話していた時に、教育委員会の先生が言っていた言葉が印象に残っています。それは、「なんで発表するようになったのか、その子に聞いてみたらいいじゃん。」です。
 それから、大人だけで話すのではなくて、子どもに聞いてみたらいいじゃん。いろんな事を子どもに問うてみたらいいじゃん。勝手に先生だけで決めないで、子どもと対話してみたらいいじゃんと思うようになってきました。もしかしたら、問うても答えは出ないかもしれないけれど、そうやって問うことが今の学校教育の「どんな子に育てたい」のかに繋がってくるような気がしています。そうやって、学級や学校を経営していくことが大事なんじゃないかって思っている今の私です。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。今回はベルスタを切り口に、学級経営において大切だと思うことを書いてみました。私の意見がすべてではないですが、もしどなたかの学級経営、学校経営の考えの一つになればと思っています。

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