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【家族日記備忘録】夫と読書

本を読まない(正確には小説を読まない)夫が、本を読み始めた。
どういう心境の変化かはわからない。
以前Facebookで私がこんなことを書いてしまったせいかもしれない。

「それにしても夫は小説を読むのに向かねーな」
「長男は私にとって貴重な《家庭内で唯一の読書してくれる家族》なので、そのへん大事にしたいなー」

彼なりに危機感でも覚えたんだろうか。だとしたら可愛いなw
ま、無関係かもしれないけどね。たまたま気が向いただけかも。


彼が読書を始めて少し経った頃、伊坂幸太郎『ジャイロスコープ』を勧めた。
収録作品『浜田青年ホントスカ』を読み終えた彼に、
「びっくりしたでしょ?」と私はワクワクしながら尋ねた。
彼の反応はこんな感じだった。
「まぁびっくりはしたけど…あれがありならもう何でもありなんじゃないかって気がする」

拍子抜けだった。
「あーこの人は終盤で驚かされる系はダメなのかー」と思った。
叙述トリック大好きな私としては、ガッカリでもあった。
が、彼には彼の好みがあって当然だし、まぁいいかと思うことにした。

数日後、彼がブックオフから入手してきた本を見て、目を疑った。

『イニシエーション・ラブ』がある!!!

「ちょww イニシエーションラブじゃんwww 言ってくれれば私持ってるから貸したのにwww ていうかなんで読もうと思ったの!?どういう作品か知ってる!?」
↑気が動転してテンションおかしくなる私。

最後の二行でひっくり返る、という宣伝文句に興味を惹かれたとのこと。
驚かされる系だとわかってて読んでみるのね、なら良かった。
今度こそ驚くかな、どうかなー。ニヤニヤ(・∀・)

前半の半分いくかいかないかのあたりで、
「この人のこの台詞、怪しくない?」と言いにくる夫。
「うわーよく気付いたねー!」と全力で反応したいが、
わりと核心に触れてしまうので「おぉぉ…うん…」と曖昧に返す私。

後半はじまって少しいったところで、
「これさー明らかに××だよね。だって全然……じゃん」と言う夫。
もう完全にこの小説のカラクリを見抜いているっぽいので、
「えー!よくわかったね!わたし初見で気付かなかったのに!すごい!!」
と今度は素直に反応した私。
カラクリに気付いてしまうとあとの部分は冗長だよね、とか
可能性として恐ろしいのは第三の…とか、しばし話が弾んだ。


こういう本を通じてのやり取りが増えたことが、楽しいし嬉しい。
まあ、本の好み自体は今のところあまり重なってはいないけど。
それでも。
むしろ、重ならないくらいの方がちょうどいいかもしれない。


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